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更新日:2019年1月29日

理想と現実の狭間で(後編)|凍みこんにゃくをめぐる冒険 #03

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凍みこんにゃくをめぐる冒険

腹をくくる、ということ

同じところをいったりきたりしながら悩み続ける中、私に力を与えてくれたのは周りの人の存在でした。

コンペのときから相談にのってくれていた夫は、私の姿を見て「君が凍みこんにゃくの行く末を全てを担おうとする必要はないんじゃない?」とひと言。何でもいいからまずは一歩進むことが大事ではなないか、と背中を押してくれました。このひと言によって、私はものごとを複雑に考えすぎていたのかもしれないと気付き心が軽くなりました。

同じコンペに出場した仲間が頑張る姿も、自分にとっての励みになりました。近況報告をしたり、メディアや講演で見かけるたびに、自分も頑張ろう、と思う気持ちが強くなります。そして「凍みこんにゃくのプランを楽しみにしています」と期待してくれるみなさんの声が、何より自分を奮い立たせる要因になりました。まったく何の実績もない私に対して、期待して、信じて、待っていてくれる。こんなことは初めての経験で、その人たちの存在が自分のモチベーションにつながっていることを強く実感しました。

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こうなったら、もう腹をくくってやるしかありません。そこからは、抱えている課題をひとつずつクリアしていくことに注力しました。

優先順位をつける

まずは、交通費と子どもへの負担をどうするかを考えます。私としては、現場へ足を運ばずしてものをつくるということは考えられなかったため、交通費の負担を抑えるために行く回数を減らす、ということはまず選択肢から外しました。また、打ち合わせをまとめるというのも逆に効率が悪くなるため、選択肢から外しました。こうして優先順位をつけて選択肢を減らしていくことで、迷いが少なくなり覚悟も決まっていきます。

交通費はなるべく抑えたいところですが、それにより移動に時間がかかって子どもたちへの負担が増えるなら、交通費より子どもの負担軽減を優先しようと決めて電車を使うことを選択しました。子どもたちは寝る時間が一番さみしい気持ちになるようなので、朝早く家を出て、寝る時間までに家に帰ることを心がけてスケジュールを組み立てます。

また、打ち合わせに行くのは出来るだけ平日にして、土日は子どもたちと過ごせるように調整しました。子どもを優先することにより交通費を減らすことは難しくなりましたが、それはそれで割り切る必要があります。すべての課題をクリアにすることは困難で、それにとらわれると身動きが取れなくなってしまうからです。それよりも、こうありたい、と思うかたちにどれだけ近づけるかに意識を傾けました。

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疲労がたまってイライラしては意味がないので、たまにグリーン車も使います。その代わり食べ物を持参するようにしています。

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朝早く出かけるときは、子どもたちにメッセージを残すようにしています。

 

自分にとってのメリットを明確にする

自分にとってのメリット、というと自分自身の利益を優先しているように聞こえてしまうかもしれません。でもこの部分がうやむやになってしまうと、実現に向けて腰が重くなるということがよく分かりました。始めたことを最後までやり遂げるためにも、凍みこんにゃくのプロジェクトで自分が何を得られるかを今一度明確にする必要がありました。

当初のプランとしては、3社の凍みこんにゃくをひとつの商品にして付加価値をつけて売る、ということを考えていました。しかしそれぞれの業者さんが思い描くビジョンが違うなら、1社ずつと走って3つの商品を作るほうがいいに決まっています。1社ずつと走ること=労力が3倍、ということなりますが、そのぶん私のデザイン実績は3倍。今後に繋がる可能性も3倍。生産者の方にも満足していただけるものが作れるだろうと思いました。私自身のメリットは、デザインの実績を作ること、その実績をもとに今後はお金を頂いて凍みこんにゃくのリブランディングに携わること、地域の伝統を残すことに貢献すること、その3つに的を絞ることにして、この時点でプランを大きく変更することに決めました。

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もちろん、3つの新しい商品を作っても『現状維持』から進めない可能性もあります。作って終わりになる可能性だってあります。でもそれを無駄なこと、遠回りなことと思うかは考え方によることです。何もしなかったらゼロはゼロのままですが、ゼロからイチが生まれたらそこからまた見えてくるものがきっとあるはずです。私自身はその可能性に賭けたいと思いました。だからチャレンジしてみよう、まずはやってみよう。そんな思いで、凍みこんにゃくのプランを練り直していきました。

さあ、ここまできて、やっとスタートラインに立てたような気がしました。しかし、どうやって利益を生み出すのか、という問題はそう簡単には解決しません。凍みこんにゃくの商品づくりへの道のりはまだまだ続きます。

 

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