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更新日:2019年3月25日

かどやでの2年間、常陸太田市でのいまとこれから / Digital dish studio高橋信泉さん (前編)

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かどやでの2年間、常陸太田市でのいまとこれから

畑、広い空、どこまでが敷地なのか分からない大きな家、木に吊るされたブランコ、これらはよくある地方の風景。しかし、ここはすこし、違っていた。音があったのだ。うつくしい音をいくつも編んでつくられた音楽だ。この風景と相まって、映画のヒロインになったかのような気持ちになったことはナイショにしておこう。その音楽は、振り返った視線の先に佇んでいた倉庫から発せられていた。倉庫には、ギターやドラムなどの楽器、大きなパソコン、そしてひとりの男性の姿があった。

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その男性は、 Digital dish studioの高橋信泉さん。本ウェブサイトでは2年前にお話をうかがっている。

昔も今もここから。新しくなった『かどや』

 

「常に音楽ができる場所を探している。自分の住居含め、そうやって生きてきている」

 

 

高校卒業後にアメリカへ渡り、その後東京でDJとして活躍。結婚・子育てを機に、妻・美紀さんの故郷である群馬へ移住。そして2016年6月、家族で茨城に。常陸多賀駅(日立市)そばのシェアオフィス『かどや』に入居し、音楽を通じた人々との繋がり、広告(映像・紙・web)を利用した活動を始めたのであった。そんな高橋さんは、2018年4月、常陸太田市に住居兼オフィスを移した。かどやでどんな2年間を過ごし、いま、どんなことを思い描いているのだろうか。

 

音が共通言語。音楽を軸に地域とつながる。

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「昨夜もライブだったんですよ。シビックセンター(※日立駅前にある公共文化施設「日立シビックセンター」)のステージで。アコースティックギター1本抱えて、ひとりで1時間ぐらい」

お邪魔した制作部屋で昨日のライブ動画を見せてくれた。月に一回、デビューの地であるこの場所で音を奏でている。この日は、ひとりで歩いていた男性や、大学生グループ、ラップをしていた男の子二人組などが立ち寄ってくれた。

「反応は良いんですよね。最初はシーンとしていてだれもしゃべれないくらいの緊張感があるけれど、ギターを弾いてくうちに笑い声が聞こえてくるんです。友達になりたいというような感覚で近づいてきてくれる人もいる。みんな求めているんだなぁ、きっかけを探しているんだなぁ、と感じますね。そこでちょっとアクションを起こしてみると、中学の先輩後輩だったり、知人と同じ会社の人だったり、なにかしらつながることが多くて。地方ならではの、おもしろい距離感ですよね。」

場の雰囲気をガラっと変えてしまう『音』の力。確かにそうだと頷いていると、「いわゆる愛の歌を歌って共感したいわけではなく、音を共通言語として使う、そんな感覚を共有したい」と高橋さんは加えた。例え言葉が通じなくとも、ギターを弾くことで現地の人とコミュニケーションがとれる。頷きをやめ、その感覚を想像してみた。

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高橋さんは、かどやに入居していた頃も、それを体現していた。あえてドアを開けっぱなしにして、制作活動やギターを演奏することで、スタジオの外に音をだだ漏れさせる。そうすることでミュージシャンとして自分の曲を聴いてもらい、その感覚がおもしろいと思ってくれた人とつながっていく。Uターンとはいえ、20年もこのまちから離れていた高橋さん。ましてやミュージシャンやDJの少ない日立市で、活動を始める・活動を広げていくことは、決してたやすいことではなかったことだろう。しかし高橋さんは、日常の中にもそういったさりげない工夫を折り交ぜ、着実にまちの人々との関係をつくっていった。

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かどやに入居して5か月後に開催された日立市産業祭では、新都市広場野外ステージDJとして音楽を担当。県北芸術祭では、和田永(役割を終えた古い家電を新たな電子楽器として蘇生させるアーティスト/ミュージシャン)主催『Electoronicos Fantasticos』のメンバーとして活躍。その後も、県北芸術祭フォローアップ事業への協力や、Cocoon(2017年9月に常陸多賀にオープンしたシェアスペース)という新たな空間の立ち上げに携わるなど、音楽を軸に活動を広げていった。

「自分がかどやに入居した頃は、『アートなんて私は…』という人がほとんどだったけれど、県北芸術祭に参加したアーティストたちが壁を壊してくれたように感じます。Cocoonもアーティストたちの橋渡しが実ったひとつの結果なのではないでしょうか」

アーティストとのつながりは東京で活動していた頃からあったそうだが、地域の人々とは新たな関係が生まれたと、県北芸術祭について振り返る。フェスティバルの力は強い、高橋さんはそう言うが、地域とアーティストとの架け橋的役割をも担ってくれた高橋さんの存在があってこそなのでは、と私は思う。発想とアイディアだけでは難しく、まちの人といかにコミュニケーションをとっていくかがカギになる。地方では特にそれが必要なのかもしれない。

〈後編につづく〉

 

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