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更新日:2020年9月4日

統計用語の解説≪経済≫

 

 国民経済計算

国民経済計算【こくみんけいざいけいさん】

国民経済計算(SNA:System of National Accounts)は、一国の経済の状況を体系的に記録するマクロの経済統計体系である。我が国の経済の全体像を国際比較可能な形で体系的に記録することを目的に、国連が勧告した国際基準(2008SNA)に準拠しつつ、統計法に基づく基幹統計として、国民経済計算の作成基準及び作成方法に基づき作成される。

国民経済計算は「四半期別GDP速報」と「国民経済計算年次推計」の2つからなっている。「四半期別GDP速報」は速報性が重視され、GDPをはじめとする支出側系列等について、四半期毎に作成・公表されている。「国民経済計算年次推計」は、生産・分配・支出・資本蓄積といったフロー面や、資産・負債といったストック面も含めて、年に1回作成・公表されている。

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 県民経済計算

県民経済計算【けんみんけいざいけいさん】

県民経済計算は、国民経済計算の基本的な考えや仕組みに基づき、県という行政区域を単位として1会計年度間の経済活動の成果を計測するものである。
県民経済計算は、県内あるいは県民の経済の循環と構造を生産、分配、支出面にわたり計量把握することにより、県経済の実態を包括的に明らかにし、総合的な県経済指標として、県の行財政・経済政策に資することを目的とする。併せて、国経済における各県経済の位置を明らかにするとともに、各県経済相互間の比較を可能とすることによって、国経済の地域的分析、地域の諸施策に利用しようとするものである。
県民経済計算は、国民経済計算の諸概念を都道府県に適用したものであり、県民経済計算の47都道府県の合計は、理論的には国民経済計算と一致するものであるが、
(1)推計主体が異なり、その間の整合性などについての調整は行っていない。
(2)推計に用いる資料の制約上、都道府県間で推計方法が異なる項目が存在する。
などの理由から若干の差が生じているため、利用に当たっては留意する必要がある。
なお、国民経済計算が平成28年度(平成27年度推計)に1993SNAから2008SNA(SNA:System of National Accountsの略。国連統計委員会が勧告した国民経済計算体系の国際基準)に移行されたことに伴い、県民経済計算においても、平成29年度(平成27年度推計)に2008SNAに移行した。また、推計結果の公表の都度、平成18年度まで遡って計数の改定を行っている。

三面等価【さんめんとうか】

経済活動によって生産された付加価値は、労働者や企業に賃金や利潤として分配され、分配された所得は消費や投資として支出される。これらは同一の付加価値を3つの異なった側面から捉えたものであり、理論上は一致する。このことを三面等価という。
従って、県内総生産は生産活動の側から見ても、支出側(消費や投資、県際取引など)から見ても同額となるため、県内総生産(生産側)と県内総生産(支出側)は等しくなる。
しかし、実際の統計では、両者は推計方法や推計に使用される資料が異なっているため一致しない。このため、統計上の不突合という調整項目を県内総生産(支出側)に設けることによって、両者が一致するようにしている。

一般政府【いっぱんせいふ】⇒制度部門別分類

インプリシット・デフレーター【いんぷりしっと・でふれーたー】

デフレーションを行うべき対象についてのデフレーターが直接作成されるのではなく、その対象の構成項目ごとにデフレーターを作成して実質値を求め、全体としてのデフレーターは(名目値)/(各構成項目の実質値の合計)として逆算によって求められる場合がある。例として、ある支出項目が2つの個別品目で構成されているケースを考え、それぞれの品目の名目値をX1、X2とし、デフレーターをP1、P2とする。このケースでは当該支出項目の名目値(X)は、X1+X2となり、実質値(XR)は個別品目の実質値の合計(X1/P1+X2/P2)となる。ここで当該支出項目のデフレーター(P)は

X/XR=(X1+X2)/(X1/P1+X2/P2)〕

として事後的に求められることになる。このようなデフレーターの算出方式をインプリシット方法といい、求められたデフレーターをインプリシット・デフレーターと呼ぶ。

営業余剰・混合所得【えいぎょうよじょう・こんごうしょとく】

生産における企業等生産者の生産活動の貢献分であり、雇用者報酬、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税(控除)補助金とともに付加価値の構成要素の一つである。このうち混合所得は個人企業の取り分であり、その中に業主等の労働報酬的要素を含む。営業余剰・混合所得は、原則として市場での利益の追求を目的とする市場生産者においてのみ生じるもので、非市場生産者(政府、非営利)は営業余剰を生まない。

家計【かけい】⇒制度部門別分類

家計最終消費支出【かけいさいしゅうしょうひししゅつ】

居住者である家計(個人企業を除いた消費主体としての家計)の消費財・サービスに対する支出である。住居にその所有者が住む場合は、住居が算出する居住サービス(持ち家の帰属家賃)はその所有者の産出額であると同時に最終消費支出として記録される。なお、居住用の固定資産に対する支出は、固定資本形成であり、最終消費支出には含まれない。

企業所得【きぎょうしょとく】

企業所得とは、営業余剰・混合所得に企業が受取った財産所得を加算し、企業が支払った財産所得を控除したものであり、民間法人企業所得、公的企業所得、個人企業所得に分類される。

帰属計算【きぞくけいさん】

帰属計算とは、県民経済計算上の特殊な概念であり、財貨・サービスの提供ないし享受に際して、実際には市場でその対価の受払いが行われなかったのにもかかわらず、それがあたかも行われたかのようにみなして擬制的取引計算を行うことをいう。例えば、家計最終消費支出には、自己所有住宅の帰属家賃等が含まれ、通常の家計簿ベースの支出より範囲が広がっている。

帰属家賃【きぞくやちん】

帰属家賃とは、実際には家賃の受払いを伴わない自己所有住宅(持ち家住宅)についても、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され消費されるものと仮定して、それを市場家賃で評価した帰属計算上の家賃をいう。また、帰属家賃には給与住宅等における実際の家賃と市場家賃との差額の評価分(給与住宅差額家賃)も含まれる。県民経済計算では住宅自己所有者は不動産業(住宅賃貸業)を営んでいるものとされ、その帰属家賃は家計の生産額に含まれており、その営業余剰(=帰属家賃-中間投入-固定資本減耗-生産・輸入品に課される税)は家計の営業余剰になる。なお、給与住宅の分は現物給与として雇用者報酬に含まれる。

金融機関【きんゆうきかん】⇒制度部門別分類

経済活動別分類【けいざいかつどうべつぶんるい】

経済活動別分類は、財貨・サービスの生産及び使用(消費支出、資本形成)についての意思決定を行う主体の分類である。(所得の処分や資金の調達、運用などの意思決定に関する制度部門別分類と対比される。)経済活動別分類は技術的な生産構造の解明に力点が置かれるため、実際の作業を行う工場や事務所などが分類単位及び統計単位としてとられる。
経済活動別分類は大きく、以下の3分類で表章される。

  1. 市場生産者
    市場生産者とは、経済的に意味のある価格(生産者が供給しようとする量と購入者が買おうとする量とに意味のある影響を及ぼす価格)で生産物のほとんど、または全てを販売する生産者である。産業は、民間企業の事業所のほか、公的企業として産業に分類される政府関係機関がある。また、家計などが所有する住宅の帰属サービスや家計などが自ら使用するために行う住宅などの建設活動についても産業に含められる。
  2. 非市場生産者(政府)
    一般政府(⇒制度部門別分類)を経済活動として分類したもので、国家の治安や秩序の維持、経済厚生、社会福祉の増進などのためのサービス等、政府以外によっては効率的かつ経済的に供給されないような、社会の共通目的のために行われる性格のもの。
  3. 非市場生産者(非営利)
    対家計民間非営利団体(⇒制度部門別分類)を経済活動として分類したもので、他の方法では効率的に提供し得ない社会的、公共的サービスを、利益追求を旨とすることなく家計へ提供するもの。

経済成長率【けいざいせいちょうりつ】

通常、県(国)内総生産(GDP)の対前年度増加率を経済成長率と呼んでいる。
経済成長率には、名目値における対前年度増加率を表す名目経済成長率と、実質値における対前年度増加率を表す実質経済成長率とがある。

県外からの所得(純)【けんがいからのしょとく(じゅん)】

県民所得から県内純生産を差し引いて求められる。県外との所得の受払いには雇用者報酬、財産所得が含まれる。

県内概念と県民概念【けんないがいねんとけんみんがいねん】

県経済を把握するうえで県内概念(属地主義:「県内ベース」ともいう)と県民概念(属人主義:「県民ベース」ともいう)とがある。
県内概念とは、県という行政区域内での経済活動を、たずさわった者の居住地に係わりなく把握するものである。一方、県民概念とは県内居住者の経済活動を、地域に係わりなく把握するものである。なお、ここでいう居住者とは個人のみならず、法人企業、政府機関等経済主体全般を指す。
県民経済計算では、生産及び支出を県内概念、分配を県民概念で捉えている。

県内純生産【けんないじゅんせいさん】

県内総生産(生産側)から固定資本減耗を控除したものであり、市場価格及び要素費用で評価される。
県内純生産(市場価格)=県内総生産(生産側)-固定資本減耗
県内純生産(要素費用)=県内総生産(生産側)-(生産・輸入品に課される税-補助金)-固定資本減耗

県内総生産(支出側)【けんないそうせいさん(ししゅつがわ)】

県内総生産は、最終生産物に対する支出の面でも把握することができる。これを県内総生産(支出側)という。
県内総生産(支出側)は、財貨・サービスの処分状況を、最終消費支出、総資本形成、財貨・サービスの移出入の需要項目ごとに把握し、これに統計上の不突合を加えることによって表示される。

県内総生産(生産側)【けんないそうせいさん(せいさんがわ)】

1年度間に、県内に所在する事業者(市場生産者及び非市場生産者)の経済活動により新たに生み出された付加価値の合計額であり、産出額から中間投入を差し引いて得られる。
県内総生産(生産側)=産出額-中間投入

現物社会移転【げんぶつしゃかいいてん】

一般政府及び対家計民間非営利団体が、個々の家計に対して財貨・サービスを、現物による社会移転として支給することであり、当該財貨及びサービスは、政府及び対家計民間非営利団体が市場で購入したかあるいはその非市場産出として生産したものである。
現物社会移転は、「現物社会給付」と「個別的非市場財・サービスの移転」からなり、支出側で推計した一般政府の個別消費支出と対家計民間非営利団体の最終消費支出の合計に等しい。

現物社会給付【げんぶつしゃかいきゅうふ】

県(国)民経済計算においては、一般政府から家計への医療保険給付分及び介護保険給付分は現物社会移転の一項目である「現物社会給付」として記録している。また、現物社会給付は、社会保障基金が家計に対して払い戻しを行う形での「払い戻しによる社会保障給付」と、関連するサービスを直接受給者(家計)に支給する形での「その他の現物社会保障給付」に細分化して記録している。

県民可処分所得【けんみんかしょぶんしょとく】

県民可処分所得は、市場価格表示の県民所得にその他の経常移転(純)を加えたものに等しく、県民全体の処分可能な所得を表している。
県民可処分所得=県民所得(市場価格表示)+その他の経常移転(純)

県民純生産【けんみんじゅんせいさん】

要素費用表示の県内純生産に県外からの所得(純)を加えたものであり、要素費用で評価される。また、これは要素費用表示の県民所得に一致する。
県民純生産=県内純生産(要素費用表示)+県外からの所得(純)=県民所得(要素費用表示)

県民所得【けんみんしょとく】

県の居住者(法人も含む)が生産要素を提供することによって、県内外から受け取る所得であり、県民雇用者報酬、財産所得、企業所得からなる。
なお、県民所得は、市場価格表示及び要素費用表示の両方で評価されるが、通常、県民所得と言えば、要素費用表示で評価されたものをさす場合が多く、「一人当たり県民所得」の算出に用いられている県民所得も要素費用表示の県民所得である。
県民所得(要素費用)=県民雇用者報酬+財産所得+企業所得
県民所得(市場価格表示)=県民所得(要素費用表示)+(生産・輸入品に課される税-補助金)

県民総所得【けんみんそうしょとく】

県内総生産(支出側)に県外からの所得(純)を加えたものであり、市場価格で評価される。
県民総所得=県内総生産(支出側)+県外からの所得(純)

県民貯蓄【けんみんちょちく】

県民貯蓄とは県民可処分所得から最終消費支出を控除したものであり、県民可処分所得のうち処分されずに残ったものを表す。
県民貯蓄=県民可処分所得-(民間最終消費支出+政府最終消費支出)

公的企業【こうてききぎょう】

公的企業とは、非金融法人企業(⇒制度部門別分類)や金融機関(⇒制度部門別分類)のうち、次の2つの基準のいずれかを満たしている場合に分類される。

  1. 政府が議決権の過半数を保有している。
  2. 取締役会等の統治機関を支配している(過半数の任免権を持つ)。

なお、公的企業は経済活動別分類では市場生産者に分類される。
公的非金融企業の例として日本電信電話株式会社、日本中央競馬会等の公的法人企業や地方の公営事業会計(病院、上水道等)があげられる。
一方、公的金融機関としては財政融資資金等の金融業務を営む特別会計や国際協力銀行、日本政策投資銀行、各公庫等の政府関係金融機関が該当する。
また、中央銀行は公的金融機関とするという国民経済計算の考え方に基づき、日本銀行は公的金融機関に含められる。

固定資本減耗【こていしほんげんもう】

構築物、設備、機械等再生産可能な固定資産(有形固定資産、無形固定資産)について、経年劣化、陳腐化、通常の破損及び損傷、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等からくる減耗分を時価ベースで評価した額であり、固定資産を代替するための費用として総生産の一部を構成する。
また、県民経済計算では政府と対家計民間非営利団体を生産者として格付けしているため、これらの固定資産についても固定資本減耗が計上されている。
なお、生産や固定資本形成などで、固定資本減耗を含む計数は”総”(Gross)、含まない計数は”純”(Net)を付して呼ばれる。

個別消費支出と集合消費支出【こべつしょうひししゅつとしゅうごうしょうひししゅつ】

非市場生産者の最終消費支出は、個々の家計の便益のために行った「個別消費支出」と社会全体のために行った「集合消費支出」に区分される。
具体的には、「個別消費支出」は、医療保険及び介護保険によるもののうち社会保障基金からの給付分である「現物社会給付」、及び教科書購入費、教育、保健衛生などの個別的サービス活動に要する消費支出である「個別的非市場財・サービスの移転」の和となっており、「現物社会移転」の額と等しい。
一方、「集合消費支出」は、外交、防衛、警察等の社会全体に対するサービス活動に要する消費支出である。
一般政府の最終消費支出については、個別消費支出と集合消費支出に区分される。一方、対家計民間非営利団体の最終消費支出は、全て個別消費支出とする。

雇用者報酬【こようしゃほうしゅう】

雇用者報酬とは、生産活動から発生した付加価値のうち労働を提供した雇用者への分配額をさす。雇用者とは、市場生産者、非市場生産者(政府、非営利)を問わずあらゆる生産活動に従事する就業者のうち、個人事業主と無給の家族従事者を除くすべての者であり、法人企業の役員、特別職の公務員、議員等も雇用者に含まれる。
雇用者報酬は、具体的には以下のような項目から構成されており、このうち(1)の(b)、(2)及び(3)の一部は、実際に現金の形で雇用者に支払われるものではなく、帰属計算項目として雇用者報酬に含まれているものである。

  1. 賃金・俸給
    1. 現金給与(所得税、社会保険料雇用者負担等控除前)。一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与などの他に役員給与や議員歳費等も含まれる。
    2. 現物給与、自社製品等の支給など、主として消費者としての雇用者の利益となることが明らかな財貨・サービスに対する雇主の支出である。給与住宅差額家賃もこれに含まれる。
  2. 雇主の現実社会負担
    健康保険・厚生年金等の社会保障基金への負担金(雇主の強制的現実社会負担)及び、厚生年金基金・適格退職年金等の年金基金への負担金(雇主の自発的現実社会負担)。
  3. 雇主の帰属社会負担
    退職一時金等の無基金への負担金。

財貨・サービスの移出入【ざいか・さーびすのいしゅつにゅう】

県内居住者と県外居住者との間の財貨・サービスの取引をいう。

在庫変動【ざいこへんどう】

企業が所有する製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産のある一定期間における物量的増減を市場価格で評価したものである。仕掛工事中の重機械器具、屠畜や商品用に飼育されている家畜も含まれる。

在庫品評価調整【ざいこひんひょうかちょうせい】

県民経済計算においては、発生主義の原則がとられており、在庫変動は、当該商品の在庫増減時点の価格で評価すべきものとされている。しかし、入手可能な在庫関係データは企業会計に基づくものであり、後入先出法や先入先出法等企業会計上認められている様々な在庫評価方法で評価されている。従って、期末在庫残高から期首在庫残高を差し引いて得られる増減額には、期首と期末の評価価格の差による分も含まれている。
そこで、企業会計から得られたデータをもとに県民経済計算を作成する場合、両者の評価の相違を調整する必要が生じ、その額を在庫品評価調整額と呼んでいる。すなわち、企業会計における評価額-県民経済計算における評価額=県民経済計算における在庫品評価調整額という関係にある。この調整価格の差による分を除くための調整が在庫品評価調整である。

財産所得【ざいさんしょとく】

財産所得とは、カネ、土地及び無形資産(著作権・特許権など)を貸借する場合、この貸借を原因として発生する所得の移転である。利子及び配当、地代(土地の純賃貸料)、著作権・特許権の使用料などが該当する。ただし、財産所得中の賃貸料には、構築物(住宅を含む)、設備、機械等の再生産可能な有形固定資産の賃貸に関するものは含まれない。

市場価格表示および要素費用表示【しじょうかかくひょうじおよびようそひようひょうじ】

市場価格表示とは、文字通り市場で取引される価格による評価方法であり、消費税等の生産・輸入品に課される税(控除)補助金を含んだ価格表示のことである。
一方、要素費用表示とは、各商品の生産のために必要とされる生産要素に対して支払われた費用(雇用者報酬、営業余剰、固定資本減耗)による評価方法であり、生産・輸入品に課される税(控除)補助金を含まない価格表示のことである。要素費用表示は、生産者価格表示から生産・輸入品に課される税(控除)補助金を控除したものに等しい。
県民経済計算では、県内総生産(生産側及び支出側)、県民総所得、県民可処分所得は市場価格表示で、県民所得は市場価格表示と要素費用表示の両方で評価されている。

社会扶助給付【しゃかいふじょきゅうふ】

一般政府及び対家計民間非営利団体から家計への移転のうち、社会保障制度を通じる以外のものである。一般政府分としては、生活保護費、原爆医療費、遺族等年金、恩給などがあげられ、対家計民間非営利団体分としては、無償の奨学金などが含まれる。

社会負担と社会給付【しゃかいふたんとしゃかいきゅうふ】

社会給付とは、「病気・失業・退職・住宅・教育あるいは家族の経済的境遇のような一定の出来事あるいは状況から生じるニーズに対する備えとなることを意図して家計に支払われる経常移転」と定義されている。わが国においては、老齢年金などの「現金による社会保障給付」、適格退職年金などの「年金基金による社会給付」、生活保護などの「社会扶助給付」、退職一時金などの「無基金雇用者社会給付」、医療保険給付及び介護保険給付からなる「現物社会移転」の五つに分類している。
社会負担とは、「社会給付が支払われることに備えて社会保険制度に対して行う現実または帰属の支払」と定義されている。わが国では、社会保障基金への負担金のうち雇主負担分である「雇主の強制的現実社会負担」、雇用者負担分である「雇用者の強制的社会負担」、年金基金への負担金のうち雇主負担分である「雇主の自発的現実社会負担」、雇用者負担分である「雇用者の自発的社会負担」、無基金制度への負担金である「帰属社会負担」の五つに分類している。

社会保障基金【しゃかいほしょうききん】

社会保障基金とは、社会全体あるいは大部分を対象として社会保障給付を行うことを目的としていること、加入が法律により義務付けられていること、の条件を満たす組織である。
中央政府及び地方政府とともに一般政府を構成しており、国の社会保険特別会計(厚生保険、国民年金、労働保険、船員保険)、共済組合(国家及び地方公務員組合等)、及び健康保険組合などがそれに該当する。

所得・富等に課される経常税【しょとく・とみとうにかされるけいじょうぜい】

所得・富等に課される経常税とは

  1. 労働の提供や財産の貸与、資本利得など様々な源泉からの所得に対して、公的機関によって定期的に課される租税
  2. 消費主体としての家計が保有する資産に課せられる租税

をいう。
所得税、法人税、都道府県民税、市町村民税等のほかに家計の負担する自動車関係諸税及び日銀納付金がこれに該当する。
なお、所得・富等に課される経常税と生産・輸入品に課される税の区別は、それが所得から支払われるか、生産コストの一部とみなされるかによって区別される。従って、自動車税のような租税は、生産者が支払う場合には生産コストを構成するものとして生産・輸入品に課される税とみなされるが、家計が支払う場合には生産活動との結びつきがないため所得・富等に課される経常税に分類される。

生産・輸入品に課される税【せいさん・ゆにゅうひんにかされるぜい】

生産・輸入品に課される税とは、(1)財貨・サービスの生産、販売、購入または使用に関して生産者に課せられる租税で、(2)税法上損金算入を認められ、(3)その負担が最終購入者へ転嫁されるものである。これは生産コストの一部を構成するものとみなされる点で所得・富等に課される経常税と区別される。
例としては、消費税、関税、酒税等の国内消費税、不動産取得税、印紙税等の取引税、事業税、固定資産税、企業の支払う自動車税などがあげられる。住宅(含む土地)に対する固定資産税も、帰属家賃の一部を構成するとみなされ生産・輸入品に課される税として扱われる。また、日本中央競馬会納付金など、特定の公的企業における利益の一部も、財政支出を目的として徴収することから生産・輸入品に課される税に含まれる。

制度部門別分類【せいどぶもんべつぶんるい】

制度部門別分類は、独立した組織として所得の受払いや財産の所有・運用に関する意思決定を行う制度単位を基準として行われる。この分類において、取引主体は主として機能、行動、目的等を基に次の5つに大別される。

  1. 非金融法人企業
    市場財及び市場非金融サービスの生産を主活動とするすべての居住者である非金融法人企業または準法人企業である。財貨及び非金融サービスの市場生産に携わる非営利団体も含まれる。
  2. 金融機関
    主に金融仲介活動または、金融仲介業務に密接に関連した補助的金融活動(金融仲介活動を円滑、促進する活動)に従事しているすべての居住者である法人企業または準法人企業である。金融的性格をもつ市場生産(保険業務など)に従事する非営利団体も含まれる。
  3. 一般政府
    中央政府(国出先機関)、地方政府(県、市町村)と公的年金、医療、介護、雇用保険等を取り扱う社会保障基金から構成される。これらには、政府による支配(所有による支配またはその他の根拠による支配)があり、かつ非市場生産に従事している非営利団体も含まれる。
  4. 家計
    同じ住居を持ち、所得や富の一部または全部をプールし、住宅や食料を中心に、共同で特定の財貨やサービスを消費する人々の小集団。自営の個人企業も含まれる。これは、家計の構成員が独自の企業を所有し、それが法人企業または準法人企業でない場合、所属する家計部門の利益となるために活動していると見なされ、その企業はその家計自身と不可分のものと見なされることによる。
  5. 対家計民間非営利団体
    政府による支配(所有による支配またはその他の根拠による支配)があるものを除き、家計に対して非市場の財貨・サービスを提供するすべての居住者である非営利団体により構成される。対家計民間非営利団体は、ある特定の目的を遂行するために家計が設立する自発的な団体であり、その活動は通常、会員の会費や家計、企業、政府からの寄付、補助金によってまかなわれる。労働組合、政党、宗教団体、私立学校等がこれに含まれる。

政府最終消費支出【せいふさいしゅうしょうひししゅつ】

一般政府の財貨・サービスに対する経常的支出である非市場生産者(非営利)の産出額(中間投入+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)から、他部門に販売した額(財貨・サービスの販売額)及び自己勘定総固定資本形成を差し引いたものに現物社会給付等(医療保険及び介護保険による給付分等)を加えたものを一般政府の最終消費支出として計上している。

総固定資本形成【そうこていしほんけいせい】

民間法人、公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体及び家計(個人企業)が新規に購入した有形または無形の資産(中古品やスクラップ、土地等の純販売額は控除。マージン、移転経費は含む)であり、以下のものが該当する。

  1. 有形固定資産
    住宅、住宅以外の建物及び構築物、輸送機器、機械設備、育成資産(種畜、乳牛、果樹、農園等)。民間転用が可能な防衛関係設備等も含む。
  2. 無形固定資産
    鉱物探査、コンピュータ・ソフトウェア、R&D(研究開発)、プラントエンジニアリング。
  3. 有形非生産資産の改良
    土地の造成等。

総資本形成【そうしほんけいせい】

民間及び公的企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計の生産者としての支出(購入及び自己生産物の使用)のうち、中間消費とならないものであり、在庫変動と総固定資本形成からなる。
中間消費と総固定資本形成の区分は、当該期間内において使用されつくすか、あるいは、将来に便益をもたらすかを基準としてなされる。例えば、固定資産等の修理についてみると、固定資産の改造や、新しい機能の追加など、その耐用年数や生産性を大幅に増大させる支出(資本的修理)は総固定資本形成に含まれる。これに対し、単なる破損の修理や正常な稼働を保つための支出(経常的修理・維持)は中間消費に分類される。

総資本形成に係る消費税【そうしほんけいせいにかかるしょうひぜい】

消費税は事業者を納税義務者としているが、税金分は事業者の販売する財・サービスの価格に上乗せされ、最終的には消費者が負担する税であり、県民経済計算では生産・輸入品に課される税に分類されている。
県内総生産(支出側)における総資本形成(総固定資本形成及び在庫変動)については、仕入税額控除できる消費税額は含まれていない。これは、課税業者の投資にかかる消費税は、他の仕入れにかかる消費税とともに、事業者が消費税を納入する時点で納税税額から控除できるためである。
一方、県内総生産(生産側)では、付加価値額はすべて消費税が上乗せされた市場価格で評価せざるを得ないため、この仕入税額控除できる消費税額は「総資本形成に係る消費税」として一括控除されている。

総(グロス)と純(ネット)【そう(ぐろす)とじゅん(ねっと)】

建物、機械設備などの固定資産は生産の過程において消耗していく。この消耗の価格分(固定資本減耗)を含んだ形で付加価値を評価するものを「総(グロス)生産」といい、控除して評価するものを「純(ネット)生産」という。

対家計民間非営利団体【たいかけいみんかんひえいりだんたい】⇒制度部門別分類

対家計民間非営利団体最終消費支出【たいかけいみんかんひえいりだんたいさいしゅうしょうひししゅつ】

県内総生産(支出側)の一構成項目であり、対家計民間非営利団体(非市場生産者(非営利))の産出額から財貨・サービスの販売額及び自己勘定総固定資本形成を控除したものである。すなわち、対家計民間非営利団体の販売での収入は、生産コスト(中間投入+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)をカバーし得ず、その差額が自己消費とみなされ、対家計民間非営利団体最終消費支出として計上されることになる。

統計上の不突合【とうけいじょうのふとつごう】

県内総生産(生産側)と県内総生産(支出側)は概念上一致すべきものであるが、推計方法や推計に使用される資料が異なっているため、両者の数値は一致しない。このため、県民経済計算では支出側に統計上の不突合という項目を設けて両者の整合性を図っている。
なお、国民経済計算では生産側に統計上の不突合を設けている。

非金融法人企業【ひきんゆうほうじんきぎょう】⇒制度部門別分類

保険契約者に帰属する投資所得【ほけんけいやくしゃにきぞくするとうししょとく】

「生命保険準備金及び年金基金に関する家計の純持分(責任準備金の純増)」と、「保険料の前払い(未経過保険料)及び未払い保険金に対する(支払準備金)純増」を合わせて保険技術準備金というが、保険契約者に帰属する財産所得とは、保険技術準備金の投資により得られる所得のことであり、これは国民経済計算においては、保険契約者に帰属することから保険契約者の受取りとして記録し、追加保険料として再び保険会社に全額支払われるように取扱う。従って、最終的に家計に帰属する。

補助金【ほじょきん】

県民経済計算上の補助金とは、(1)企業に対して支払われるものであること、(2)企業の経常費用を賄うために交付されるものであること、(3)財・サービスの市場価格を低下させると考えられるものであること、の3つの条件を満たす経常交付金である。
一方、対家計民間非営利団体や家計への経常的交付金は補助金ではなくて政府による他の種類の経常移転(他に分類されない経常移転)として扱われる。また、投資、あるいは資本資産、運転資産の損失補填のために産業に対して行われる移転は補助金ではなく資本移転に分類される。

連鎖方式と固定基準年方式【れんさほうしきとこていきじゅんねんほうしき】

固定基準年方式のラスパイレス指数やパーシェ指数は、相対価格の変化が大きい場合、経年変化するにつれて「指数バイアス」がかかることが知られている。すなわち、数量と価格に負の相関があるとき、ラスパイレス指数には上方、パーシェ指数には下方のバイアスがかかる(いわゆる「代替バイアス」)。一方、連鎖指数は隣接する2時点間の比較に着目した指数であり、毎期基準改定しているのと同じこととなるため「指数バイアス」はほとんど生じないことが知られている。このため、国民経済計算の国際基準では実質値及びデフレーターの計算においては連鎖方式を採用することが勧奨されている。県民経済計算では、県内総生産(生産側及び支出側)の実質値産出において連鎖方式が採用されている。
なお、連鎖方式では、実質値における「加法整合性」が成立しない。すなわち、固定基準年方式の場合、実質値の内訳項目を合計したものは、集計項目の実質値と一致するが(「加法整合性」が成立)、連鎖方式では一致しない。このため、県民経済計算では「開差」の欄を設けることで加法整合性の欠如を示している。
また、実質化にあたっては、生産側では産出額と中間投入を実質化して、その差から実質県内総生産を求めるダブル・デフレーション方式を用いている。

 

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 産業連関表

産業連関表【さんぎょうれんかんひょう】

ある一定地域の経済活動について、ある一定期間(通常は1年間)に行われた財貨・サービスの産業間の取引を行列表示してまとめたもの。
W.W.レオンチェフにより創始され、わが国では昭和26(1951)年表が作成されて以来、5年ごとに作成されている。
本県においても、昭和55年表以降5年ごとに茨城県産業連関表を作成している。

産業連関表の仕組みは下表のとおり、ヨコの行とタテの列による組み合わせによって表示され、タテ(列)とヨコ(行)のがバランスするように構成されている。
この表を列ごとにタテ方向にみると、「中間投入」と「付加価値」の部分とから成り、各商品の生産に用いられた投入費用の構成(どの産業がどの産業からどれだけ原材料を購入したか)が示される。
行ごとにヨコ方向にみると、「中間需要」と「最終需要」との部分から成り、各商品の産出の需要先の構成(生産した商品を、どの産業がどの産業へ供給したか)が示される。
このため、産業連関表は別名「投入・産出表(Input-output table)」又は「IO表(アイオー表)」ともいわれる。
産業連関表の仕組み
産業連関表の仕組みの概念図

上記のように、産業連関表は、産業相互間の取引を記録する「内生部門」(=「中間投入」と「中間需要」が重なる部分)と、付加価値及び最終需要を表す「外生部門」とで構成されており、国民所得統計(国民経済計算・県民経済計算)では捨象している産業間の取引を含む産業活動の全容を明らかにしているところに特色がある。

産業連関表の基本となる上記の表は、他の付帯表と区別するため「生産者価格評価表(取引表ともいう)」と呼ばれ、この「生産者価格評価表」から「投入係数表」や「逆行列係数表」などの各種係数表が作成される。

「生産者価格評価表」が、産業相互間等で取引された財貨・サービスを金額で表示したものであるのに対し、「投入係数表」は、「生産者価格評価表」における各産業の投入原材料等の額をその生産額で除した費用構造を表す係数表で、各産業において1単位の生産を行うときに直接必要となる原材料等の量を示すものである。よって、「投入係数表」からは産業ごとの生産技術構造を読み取ることができる。
また、「逆行列係数表」は、ある部門に1単位の最終需要があった場合、それが各産業部門に対して直接・間接にどれだけの生産波及を及ぼすかその波及効果の大きさを示した係数表である。

産業連関表は、「生産者価格表」だけでも対象地域の産業構造を明らかにすることが可能だが、「投入係数表」や「逆行列係数表」を用いて分析を行うこと(産業連関分析)によって、経済予測や経済計画の策定など広範に利用することができる。

~リンク~
全国産業連関表(→総務省ホームページ産業連関表部分へリンク)(外部サイトへリンク)
茨城県産業連関表(→産業連関表部分へリンク)

アクティビティベース【あくてぃびてぃべーす】

部門分類の基準の一つで、生産活動単位と呼ばれ、同じ生産活動を統一して取り扱う。したがって、一つの事業所内で二つ以上の生産活動を行っている場合には、それをそれぞれの生産活動の部門に分けて分類する。いわば一種の商品分類といえる。

影響力係数【えいきょうりょくけいすう】

ある部門(産業)に対する最終需要が1単位だけ発生した場合に、産業全体に与える相対的な影響力の度合を表す。(影響力係数=逆行列係数の各部門の列和÷逆行列係数の列和の平均値)

感応度係数【かんのうどけいすう】

各部門(産業)に対してそれぞれ1単位の最終需要が発生した場合に、どの部門が相対的にどれくらい影響を受けるかという度合を表す。(感応度係数=逆行列係数の各部門の行和÷逆行列係数の行和の平均値)

帰属計算【きぞくけいさん】

見かけ上の取引活動は行われていないが、実質的な効用が発生し、その効用を受けている者が実際に存在する場合について、その効用を市場価格で評価し、その効用を発生させている部門の生産額として計算することをいう。(例 帰属家賃:持家住宅でも家賃を支払っているものと見なす)

逆行列係数【ぎゃくぎょうれつけいすう】

レオンチェフ逆行列とも呼び、最終需要が1単位与えられたときに各部門(産業)への生産に対する直接、間接の波及効果を示している。

競争輸移入方式【きょうそうゆいにゅうほうしき】

県内産品と輸移入品を区別することなく需要部門に配分しておき、輸移入分を同種財貨の属する行と最終需要欄に設けた輸移入との交点で控除する方式である。

屑【くず】

主たる生産物に付随して生産される(発生する)が、これを主たる生産物(商品)とする生産活動(産業)がほかに存在しないもの。(例 鉄屑)

県外流出率【けんがいりゅうしゅつがく】

生産波及効果が県外へ流出する割合を表す。(県外流出率=100-県内歩留り率)

県際関係【けんさいかんけい】

県外(他都道府県及び国外)との財貨・サービスの取引である。県外と県内を経済的に結び付ける方法として、産業連関表では、輸移出、輸移入の部門を設ける。

県際収支【けんさいしゅうし】

輸移出と輸移入の差で、国における国際収支と同じ概念である。各部門(財貨・サービス)の県外との取引で出超か、入超かがわかる。

県内自給率【けんないじきゅうりつ】

県内需要を満たすための県内生産の財貨・サービスの割合。(県内自給率=1-輸移入率)

県内生産額【けんないせいさんがく】

一定期間に県内に所在する事業所の生産活動によって生み出された財貨・サービスの総額をいい、コントロール・トータルズ(Control Totals=CT)とも呼ぶ。

県内歩留り率【けんないぶどまりりつ】

[I-(I-)A]-1型逆行列係数の列和を(I-A)-1型逆行列係数の列和で除して100を乗じたもの。輸移出による生産波及効果が県内にとどまる割合を表す。これに対し、[I-(I-)A]-1(I-)型準逆行列係数の列和を(I-A)-1型逆行列係数の列和で除して100を乗じたものは、県内最終需要による生産波及効果が県内にとどまる割合を表す。

購入者価格評価【こうにゅうしゃかかくひょうか】

需要部門が投入する各財を流通コストを含めた購入者価格で評価するもの。

サービス投入【さーびすとうにゅう】

生産物の生産に必要となる原材料等の中間投入のうち、金融・保険、不動産、運輸、通信・放送、公務等の形のないサービス提供部門の投入量のことである。これに対し、農林水産業、鉱業、製造業、建設及び電力・ガス・熱供給は物的投入となる。

最終需要【さいしゅうじゅよう】

生産活動での粗付加価値に対応する支出面の外生部門で、家計外消費支出、民間消費支出、一般政府消費支出、県内総固定資本形成、在庫純増からなる県内最終需要と輸移出からなる。(最終需要-輸移入=粗付加価値)

最終需要率【さいしゅうじゅようりつ】

県内最終需要(消費・投資)と輸移出からなる最終需要を、総需要で除して求めた割合。

産出【さんしゅつ】

各部門で生産した財貨・サービスが、どの部門に供給されたかという内訳(需要内訳)を示している。(産業連関表をヨコ方向にみる。)=販路構成

実際価格【じっさいかかく】

同一財でも、需要部門が例えば大口消費者か小口消費者かで、あるいは契約消費者か否かなどで価格が異なる場合(例えば、電力料金)に、それぞれの実際の価格で評価する方法。

ストーン方式【すとーんほうしき】

副産物・屑が発生した場合の産業連関表上の処理方法の一つで、その発生額を発生部門の列と競合部門の行との交点にマイナス計上し、かつ、その産出内訳を需要部門ごとにプラスで計上する方式。マイナス投入方式ともいう。

生産者価格評価【せいさんしゃかかくひょうか】

財貨・サービスの取引額の評価方法の一つで、財貨・サービスの運搬や購入に伴って生ずる流通コスト(商業マージン及び貨物運賃)は需要部門が商業及び運輸部門から一括して投入することとし、その他の投入各財をすべて生産者価格で評価するもの。

生産誘発依存度【せいさんゆうはついぞんど】

各部門(産業)の最終需要項目別生産誘発額の構成比で、各部門(産業)の生産がどの最終需要に依存しているかがわかる。

生産誘発額【せいさんゆうはつがく】

最終需要の各項目(民間消費支出、輸移出等)により誘発された各部門(産業)の生産額を表す。生産活動とは、最終的に最終需要を充足するための活動であるという考え方による。

生産誘発係数【せいさんゆうはつけいすう】

最終需要項目別生産誘発額を最終需要項目別合計で除して求める。最終需要1単位が誘発する各部門(産業)の必要生産単位。

総供給【そうきょうきゅう】

総需要を充足するために対応するもので、県内生産額と輸移入の合計。

総合粗付加価値係数【そうごうそふかかちけいすう】

ある部門(産業)に最終需要が1単位発生した場合に、直接、間接に全部門(産業)で誘発される粗付加価値の単位。

総合輸移入係数【そうごうゆいにゅうけいすう】

ある部門(産業)に最終需要が1単位発生した場合に、直接、間接に全部門(産業)で誘発される輸移入の単位。

総需要【そうじゅよう】

中間需要と県内最終需要からなる県内需要と輸移出の合計。(総需要=総供給)

属人主義【ぞくじんしゅぎ】

域内の居住者が生み出した生産額を把握する方法。したがって、域内居住者の生産活動に従事する地域が、域内域外であるかは問わない。

属地主義【ぞくちしゅぎ】

生産活動の主体が存在する域内で生産額を把握する方法で、通常は行政区域内で把握している。産業連関表の生産額は、原則として属地主義で把握している。

粗付加価値【そふかかちがく】

各部門の生産活動によって生み出された価値であり、各部門の生産額は中間投入額に粗付加価値を加えたものである。家計外消費支出、雇用者所得、営業余剰、資本減耗引当、間接税(除関税)、(控除)補助金からなる。

粗付加価値誘発依存度【そふかかちゆうはついぞんど】

各部門(産業)の最終需要項目別粗付加価値誘発額の構成比で、各部門(産業)の粗付加価値がどの最終需要に依存しているかがわかる。

粗付加価値誘発額【そふかかちゆうはつがく】

最終需要の各項目により誘発された各部門(産業)の粗付加価値を表す。

粗付加価値誘発係数【そふかかちゆうはつけいすう】

最終需要項目別粗付加価値誘発額を最終需要項目別合計で除して求める。最終需要1単位が誘発する各部門(産業)の粗付加価値の単位。

粗付加価値率【そふかかちりつ】

財貨・サービスの生産により生み出された粗付加価値額を、各部門の県内生産額で除して求めた割合。(粗付加価値率=1-中間投入率)

中間需要率【ちゅうかんじゅようりつ】

各部門が生産・輸移入して供給された財貨・サービスを生産活動の中で原材料等として使用した額(中間需要額)を、総需要(=総供給)で除して求めた割合。

中間投入率【ちゅうかんとうにゅうりつ】

財貨・サービスを生産するために必要な原材料等の中間投入額を、各部門の県内生産額で除して求めた割合。

統一価格【とういつかかく】

すべての需要部門に対し価格は不変で均一価格によって評価する方法。

投入【とうにゅう】

各部門が、財貨・サービスを生産するために必要な原材料や労働、生産設備をどのように使用したかという内訳を示している。(産業連関表をタテ方向にみる。)=費用構成

投入係数【とうにゅうけいすう】

各部門からの原材料等の投入額を、その部門(産業)の県内生産額で除したもので、その部門(産業)の財貨・サービス1単位の生産に必要な各部門からの原材料等の投入割合がわかる。

特化係数【とっかけいすう】

本県における各部門(産業)の構成比を国の各部門(産業)の構成比で除して求める。係数が1より大きければ全国水準より当該部門(産業)が活発であることを示し、1より小さければその逆である。

内生部門(中間投入、中間需要)【ないせいぶもん(ちゅうかんとうにゅう、ちゅうかんじゅよう)】

産業の生産活動による財貨・サービスの産業間における取引関係を表す部門である。タテ方向にみると、原材料等として各部門が購入する財貨・サービスの内訳を示す(中間投入)。ヨコ方向にみると、各部門で生産した財貨・サービスをどの部門に販売しているかを示す(中間需要)。

波及効果【はきゅうこうか】

最終需要(消費・投資・輸移出)の発生が経済に与える影響をいい、産業連関分析では最終需要額に[I-(I-)A]-1型逆行列係数を乗じて測定している。(生産誘発額、粗付加価値誘発額、輸移入誘発額、雇用者誘発数等を算出する。)

非競争輸移入方式【ひきょうそうゆいにゅうほうしき】

同一財であっても県内産品と国外及び他都道府県からの輸移入品とに区別し、あたかも別々の財であるかのように表示する方式である。したがって、行が列よりも、輸移入品の部門数だけ多い縦長の表となる。

副産物【ふくさんぶつ】

ある一つの生産活動の結果、主たる生産物に付随して生産される生産物(商品)で、かつ、その生産物を主たる生産物(商品)とする他の生産活動(産業)が存在するもの。(例 都市ガス供給業におけるコークス)

部門(産業)【ぶもん(さんぎょう)】

品目別に分類した財貨・サービスをそれぞれ個々に生産する活動単位であり、原則的には、1品目1部門(産業)としている。

輸移出【ゆいしゅつ】

県内生産物の国外に対する出荷である輸出と、他都道府県に対する出荷である移出を統合したもの。

輸移出率【ゆいしゅつりつ】

各部門(財貨・サービス)の県内生産額に対する輸移出の割合。

輸移入【ゆいにゅう】

国外生産物の県内への搬入である輸入と、他都道府県生産物の県内への搬入である移入を統合したもの。ただし、県内需要(中間需要+県内最終需要)を賄うために購入した場合に限り、財の単なる通過取引は計上しない。

輸移入誘発依存度【ゆいにゅうゆうはついぞんど】

各部門(財貨・サービス)の最終需要項目別輸移入誘発額の構成比で、各部門(財貨・サービス)の輸移入がどの最終需要に依存しているかがわかる。

輸移入誘発額【ゆいにゅうゆうはつがく】

最終需要の各項目により誘発された各部門(産業)の輸移入額を表す。

輸移入誘発係数【ゆいにゅうゆうはつけいすう】

最終需要項目別輸移入誘発額を最終需要項目別合計で除して求める。最終需要1単位が誘発する各部門(財貨・サービス)の必要輸移入単位。

輸移入率【ゆいにゅうりつ】

各部門(財貨・サービス)の県内需要に対する輸移入の割合。

(I-A)-1型

逆行列係数の型の一つで、輸移入を想定しない封鎖経済モデル。

[I-(I-)A]-1型

逆行列係数の型の一つで、県外からの輸移入を想定して県内自給率をモデルに導入した開放経済モデル。各産業に輸移出が1単位生じたときの生産波及効果を示している。

[I-(I-)A]-1(I-)型

[I-(I-)A]-1型逆行列係数に県内自給率を乗じた準逆行列係数。各産業に県内最終需要が1単位生じたときの生産波及効果を示している。

 

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〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2637

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