土づくり-根育成に適度な隙間を-(2015年4月)

畑に水やりをする女性のイラスト

土づくりの基礎知識

作物は土にしっかり根を張り、養分や水、酸素を吸収することで健全に生育します。土の中には養分などを蓄える「隙間」があり、適度な隙間を作ることは「土づくり」の基本となります。有機物を無機物に分解する微生物も隙間作りに重要な役割を担っています。

根がのびのびと育つような条件を備えている土は、作物を健全に生育させることができる「良い土」といえます。この条件を科学的にいうと、【物理的な特性】【化学的な特性】【生物的な特性】の3つに大きく分類され、それぞれは相互に影響し合っています。

物理的な特性では、【保水性(水もち)】【透水性(水はけ)】【通気性】が適度であることが重要です。これらに共通するのは隙間の大きさであり、砂土のように大きすぎても、粘土のように小さすぎてもよくありません。

土の中の微生物は、有機物を分解した後にのり状の物質を分泌して、土の粒がくっついて塊状(団粒構造)になり、適度な隙間を作ります。

化学的な特性は、酸性・アルカリ性の度合いを示す「pH」が重要で、多くの作物は土のpHが6・0~6・5の時に最もよく生育します。pHが低いと酸性になり、石灰や苦土の欠乏や土の中のアルミニウムが溶け出して根の生育を阻害します。逆に高いとアルカリ性になり、ホウ素やマンガンなどの微量要素欠乏が起こりやすくなります。

また、土には雨やかん水で養分が流れることを防ぐ保肥力があり、pHが低くなると保肥力が弱まります。

土にはさまざまな生物が生息し、多くは作物栽培に有益です。病害虫などの発生や生育不良になる連作は、生物多様性が崩れて特定の種類の生物が増えるためで、輪作の対策が重要となります。

「土づくり」とは、土を作物の根に適した環境に整えることで、大変重要な農作業の一つです。健全でおいしい食材作りに役立ててください。

専門技術指導員室Y.F

2015年04月27日