果樹類の病害虫防除‐啓蟄、動き出す前に‐(2018年2月)

太陽と虫、カエルのイラスト

厳しい寒さも一段落、あと10日もすれば二十四節気の啓蟄です。暖かくなるとともに冬ごもりしていた虫も動きだす頃といわれています。

果樹類の管理作業では、病害虫の被害を減らすために病害虫が本格的に動き出す前のこの時期の防除が大切です。 まずは、家庭果樹として広く栽培されているカキの病害虫防除です。
カキの害虫防除としては、幹の粗皮を粗皮削り鎌などで削り取ることで、樹皮下で越冬しているカキノヘタムシガなどの繭を除去でき、コナカイガラムシ類などの越冬害虫を防除できます。
次に、病害防除としては、葉に円形または多角形の褐色病斑が多数発生して早期に落葉する落葉病の発生が多い場合、落葉を樹の下にそのまま放置しておくと病害の発生源になるので、集めて地中に埋めるなど適切に処分します。また、枝に炭疽病(黒色の少しくぼんだ病斑)がある場合、生育期の発生源になるので、病斑のついた枝はせん定の際に取り除きましょう。
その他、薬剤防除として、越冬病害虫を対象に石灰硫黄合剤を発芽前に散布しましょう。希釈倍数は商品により異なりますので、各商品の使用方法や適用内容を確認したうえで適切に使用してください。

一方、ウメ、スモモ、モモなどの核果類では、近年コスカシバの被害が多くなっています。コスカシバは、樹皮直下を食害し被害部が大きいと、樹勢が衰えて枯死してしまう場合がありますので適切に防除しましょう。3月頃からコスカシバの食害による虫糞が樹皮上に見られます。虫糞がでている部分の粗皮を削り捕殺するか、被害部から針金を挿入して刺殺します。または、樹皮の上から被害部を金槌などで叩き幼虫を潰してもよいでしょう。

病害虫防除は、被害が大きくなってからでは手遅れです。特に、果樹類は永年性の作物なので、病害虫の被害は当年の果実だけでなく、次の年の生育にも大きく影響します。この時期から病害虫の予防に努めて、美味しい果実をつくりましょう。

専門技術指導員室N.K

2018年01月29日