冬季から春季にかけての病害虫対策(耕種的防除)について(2019年2月)

 

病害虫対策と聞くと、農薬散布作業を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実は農薬を使用しない方法(耕種的防除)でも効果的な対策があります。今回は、主な落葉果樹について、冬季から春季にかけて実施できる耕種的防除の内容を確認してみましょう。

粗皮削り、粗皮剥ぎ(カキ、ブドウ)

カキの幹の粗皮を削り鎌などで削り取り、樹皮の割れ目や粗皮下で越冬している害虫の生息場所を無くします。
カキノヘタムシガの繭や、コナカイガラムシ類などの越冬害虫を防除できます。また、ブドウも粗皮を剥ぐことで、越冬害虫だけでなく褐斑病の越冬密度を下げることができます。ただし、厳寒期の処理は凍害を助長する恐れがありますので避けましょう。

落葉処理(カキ・ブドウ)

(写真1:落葉した後の地面(カキ))

カキの落葉病等の発生が多い場合、落葉を園内にそのまま放置しておくと、落葉上で病気が越冬し翌春の感染源となってしまいます。
落葉を集めて園外に持ち出し地中に埋めるなど、適切に処分することで園内の病原菌密度を下げ、初期の病気発生程度を抑えることができます。ブドウの褐斑病、べと病等も落葉上で越冬しますので、落葉処理を行い、園内の病原菌密度を下げることが重要です。

害虫の捕殺(ウメ、スモモ、クリ)

ウメ、スモモなどの核果類で、コスカシバの被害が増えています。3月頃からコスカシバの食害による虫糞が樹皮上に見られます。
虫糞が見られる部分の粗皮を削って捕殺するか、被害部から針金を挿入して駆除しましょう。また、樹皮の上から被害部を金槌などで叩き、幼虫を潰してもよいでしょう。クリに発生するクスサンは、5月下旬以降、幼虫が成長すると10cmほどの緑色の体に成長し、長く白い毛で覆われます(別名:シラガタロウ)。この時期になると、効果的な防除方法も少なくなるため、冬季剪定時に樹皮上の卵塊(写真2)を見つけ、削り取るかすりつぶしましょう。

(写真2:クスサンの卵塊)

 

専門技術指導員室N.A

2019年02月28日