私たちが生活していく中で、調理時の野菜クズや食べ残しによって、必ず「生ごみ」が発生します。今回は、その「生ごみ」を堆肥として使用し、家庭菜園で活用する方法や注意点などについてご紹介します。
炭素源と窒素源
生ごみには、野菜や魚、肉などが含まれています。そのうち野菜類は炭素(有機物)を供給する物理的な効果があり、魚、肉などは窒素を供給する肥料的な効果があります。家庭の生ごみを原料にすると、ちょうど堆肥と肥料の中間の効果が期待できます。
使用できない生ごみ
プラスチックやスプーン、フォークなどの金属、ガラス等が入っているもの。また、水分の多いものは嫌気発酵になりやすく、腐敗すると悪臭を放ちます。
塩分の多いものは、三角コーナーなどで水切りをしてください。
堆肥化の基本
作物の生育阻害の回避、衛生面の改善、水分調整等を目的として堆肥化します。一次発酵では、糖やアミノ酸を微生物が速やかに分解するため発熱します。二次発酵では、さらに一カ月以上の期間をかけて安定化を図ります。
生ごみの堆肥化
生ごみの炭素と窒素の割合、いわゆるC/N(シーエヌ)比は10程度といわれています。良質な堆肥のC/N比は15~20程度ですので、堆肥化のためには、落ち葉やワラ、モミガラなどの植物性資材を加えて腐熟させる必要があります。市販のコンポスター等を利用して、植物性資材と生ごみを交互に重ねていきます。
酸素の供給のため、天気の良い日はふたを開けて風を通します。この時、寒冷紗等で被って虫の侵入を防ぎましょう。
コンポスターがいっぱいになり一カ月程度放置後に切り返しを行います。コンポスターを地面から抜いて隣に設置し、その中にもう一度入れていきます。これを数回繰り返して完熟させます。コンポスターを複数用意して、①発酵用、②熟成用、③貯蔵用などと使い分けても良いでしょう。
生ごみ処理機の利用
生ごみ処理機には大きく分けて、乾燥と生物分解の2つの方式があります。購入に際しては1~3万円程度の補助が用意されている市町村もありますので、購入前に調べてみてください。
乾燥方式
筆者も自宅で使用しています。毎日使用した場合、1週間に1回程度、処理物を取り出します。微生物の分解を受けていないので、そのまま使用すると根傷みなど作物に悪影響が出る場合があるので、土と混ぜて発酵させてから(ぼかし肥料として)利用します。
微生物分解方式
電動のものは、処理機の中を微生物の活動に最適な環境にし、プロペラで撹拌することで半年程度連続して処理することができます。発生する処理物は乾燥方式と比べて圧倒的に少ないのが特徴です。乾燥処理と同様にぼかし肥料の原料として使用してください。
専門技術指導員室T.K