日持ち低下の原因
切り花の日持ち低下には水揚げの悪化やエチレンの影響、エネルギーの消耗などが関係しています。
水の通り道である導管がふさがれると水の吸い上げが悪くなります。原因には細菌の繁殖、切り口や導管内の気泡、切り口の切断による物質の蓄積(切断傷害)などがあります。一方、植物は葉から水分を放出(蒸散)しており、吸水量より蒸散量が多くなると、しおれます。
植物ホルモンのエチレンは、花のしおれや花弁の落下、葉の黄化を生じさせます。呼吸や開花によるエネルギー(主に糖質)消費でも日持ちが低下します。
日持ちを良くする方法
日持ちは次の方法で向上させることができます。
細菌繁殖を抑制
使用するハサミや花瓶、生け水を清潔に保ちます。抗菌剤を含む品質保持剤は細菌の繁殖を効果的に抑えます。
水揚げの改善
水揚げを向上させるには水切りや湯揚げ、叩く、割るといった様々な方法があります。水切りは最も一般的な方法で、水の中で茎の切断面の2~3センチ上部を斜めに切り戻します。オキシペタルムなど切り口から出る乳液はよく洗い流します。市販の水揚げ剤を利用するのも良いでしょう。
蒸散の抑制
余分な葉を取り除き、蒸散を抑えます。温度が高くなる場所や直射日光の当たる場所、空調機器の風が直接当たる場所などは蒸散が促進され、切り花がしおれやすくなるので、このような場所に飾るのは避けましょう。
エチレンに注意
エチレンはバナナやリンゴ、線香やたばこの煙などに含まれており、切り花を近づけないようにします。エチレンの影響を受けやすいカーネーションやスイートピー、デルフィニウムなどは特に注意が必要です。
エネルギー補給
糖質を含む品質保持剤を使います。糖質により、つぼみの開花や花の発色が促進されます。
専門技術指導員室T.K