よい土づくり‐根に適合した環境に‐(2017年1月)

作物が健全に生育できる「良い土」は、根がのびのびと育つ条件を備えています。

作物の根は、土から養分と水と酸素を吸収して育ちます。土の中で、養分は無機物や有機物などの形で蓄えられ、水と酸素は土の細かい粒と粒の「隙間」にあります。また土の中の生物は、隙間作りを行うとともに、有機物を分解して作物に養分を供給しています。

「良い土」の条件を科学的にみると、「物理的な特性」「化学的な特性」「生物的な特性」の三つに大きく分類され、それぞれは相互に影響し合っています。

  • 物理的な特性では、保水性(水もち)や透水性(水はけ)及び通気性が適度に保たれていることが重要です。これらに共通するのは隙間の大きさであり、砂土のように大きすぎても、粘土のように小さすぎてもよくありません。土の中の微生物は有機物を分解した後にのり状の物質を分泌し、これによって土の粒がくっついて塊状(団粒構造)になり適度な隙間が作られます。
  • 化学的な特性では、酸性・アルカリ性の度合いを示す「pH(ピー・エイチ)」が重要であり、多くの作物は土のpHが6.0~6.5の時に最もよく生育します。pHが低く酸性に傾きすぎると、石灰や苦土などの欠乏や土のアルミニウムが溶け出して根の生育を妨げます。逆にpHが高くアルカリ性に傾きすぎると、ホウ素やマンガンなどの微量要素が欠乏しやすくなります。また土には、雨やかん水で養分が流れることを防ぐ保肥力があり、pHが低くなると保肥力が弱まります。
  • 生物的な特性では、土に生息する生物の多様さが重要です。しかし、連作するとこの多様さが崩れて特定の種類が増えることがあり、病虫害の発生や生育不良につながります。異なる種類の作物を組合わせて、輪作することが大切です。

このように「土づくり」は、土を作物の根に適した環境に整えることであり、大変重要な農作業の一つです。作物がすくすくと育つ土にしましょう。

専門技術指導員室Y.F

2017年01月30日