果樹栽培の剪定-樹勢の調節に不可欠-(2017年2月)

果樹栽培では、手入れを怠ると枝葉が伸び放題になったり、果実がなる年とならない年を繰り返す隔年結果をおこします。また、枝葉が混みあっていると病気や害虫が発生しやすくなり、樹勢(樹の勢い)が弱くなり、果実が思うように実りません。

ちょうど今頃は、良い果実をならせるために大切なせん定作業の追い込みの時期です。せん定による樹勢の調節方法を確認してみます。

樹勢を調節する方法は?

樹勢は、強すぎても、弱すぎても、良い果実が安定して実りません。一般的には、長くて太い枝が多く発生している樹は樹勢が強いと判断できます。逆に、細くて短い枝が多く新しく発生した枝が少ない樹は樹勢が弱いということです。

樹勢は、品種の特性や土壌の条件によっても異なりますが、せん定によって調節することができます。
最適な樹勢とは、一言で表すと中庸な樹勢ですが、樹種や品種によって最適な枝の長さなどは異なるので、樹種ごとの専門書を参考にしたり、日ごろから良い果実がなっている樹はどのような樹なのかなど見比べて目を養うことが大切です。

せん定によって樹勢を中庸にするには、樹勢が強い場合、間引きせん定を中心に樹冠面積(樹の枝が占有している広さ)を大きくします。逆に、樹勢が弱い場合は、切り戻しせん定を中心に樹冠面積を小さくすることで樹勢を回復させることができます。

一例をあげれば、ウメの「南高」は、品種特性として樹勢が強いので、作土が深い火山灰土などでは、樹の広さを大きくして、樹勢を落ち着かせるため間引きせん定を主体にせん定するといった考え方で、せん定を行います。

今回は、せん定の一部分しか触れられませんでしたが、せん定は良い果実が実る樹を作る楽しさがたくさんあります。樹を良く見てせん定し、その後の生育や果実の実り状況を観察して、せん定方法が適切であったかどうか確認するように心がけましょう。

 

専門技術指導員室N.K

2017年02月27日