「神様」の遺志を受け継ぐセルリー産地(2013年10月)

坂東市
岩井洋菜前進会

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(写真1:収穫直前のセルリー)

坂東市は茨城県の南西部に位置し、首都圏および地方都市への生鮮野菜の重要な供給基地となっています。ネギ・レタスの栽培が盛んな旧岩井市ですが、市の西部、利根川に面した田園地帯である長須地区には40年以上前からセルリーを栽培しているグループがあります。

「セロリの神様」の教え子たち

セルリーは箱詰めされて北海道や東京へ出荷します

(写真2:北海道や東京へ出荷します)

きっかけは、セルリー栽培の先駆者であり「セロリの神様」といわれた故・伊藤仁太郎氏のもとへ同地区の生産者が研修に出かけたこと。先輩農家の日本一おいしいと評されるセルリーの栽培を学んだ「神様の教え子」たちは地元に戻り、その後「前進会」というグループを作りました。現在は6戸の生産者が参加して、作付面積約9ヘクタール、1~6月の間に約6万ケースを出荷しています。

美味しくて安全なセルリーへのこだわり

品種

岩井洋菜前進会では「コーネル619号」と「サミット」を栽培しています。特に「コーネル」は、故・伊藤氏が選抜育種を重ねて作り上げた種を受け継いだもので、さわやかな香りと甘みが強く、セルリーは匂いが青臭くて苦手という人でも生で食べられるほどです。

土づくり

もう一つのこだわりは、30年以上続けている土づくりです。化学肥料をなるべく減らし、牛ふんなどを原料とした堆肥を3年間寝かせて、完熟した状態にしてから畑に施用します。また、毎年作付け前には坂東普及センターにおいて、土壌診断を会員自ら実施しています。その後、土壌勉強会を開催して診断結果を全員で検討、土壌の状態にあわせて有機質肥料を中心に施肥量を決めています。

病害虫防除

セルリーは苗づくりに約100日、畑に植えてから約100日かかります。生育期間が長い分、病気や害虫を抑えるのは大変ですが、生物農薬などを利用して農薬の使用を最低限にとどめています。栽培していない夏場は、ハウスを閉めきり太陽熱土壌消毒を実施することで、土壌病害虫・雑草の発生を抑えています。

さわやかな香りの「コーネル」

(写真3:さわやかな香りの「コーネル」)

多くの人にセルリーを

前進会のセルリーは、JA岩井野菜予冷センターを通して、北海道や東京などに出荷する以外にも、生産者各人のハウスで直売やホームページを作ってネット販売も行っています。

平成21年には、まとまってエコファーマー認定を受け、環境に負荷をかけない農業を心がけています。これからも前進会では、自信を持っておいしいセルリーを提供していきます。

写真:収穫のようす。

(写真4:ひとつひとつ袋に入れます)

坂東普及センター

2013年09月25日