五霞町産「常陸秋そば」のブランド化に取り組む(2016年11月)

五霞町
五霞むつみそば組合

写真:実証圃のそばの開花期の様子

(写真1:実証圃の開花期の様子)

猿島郡五霞町は、関東平野のほぼ中央、茨城県の西南端に位置し、四方を「利根川」「江戸川」「権現堂川」「中川」に囲まれています。町の耕地面積のうち90パーセント以上が水田で、水と緑に囲まれた豊かな田園風景が広がっており、「そば」は米、麦に次いで栽培面積が多く町の主要な農作物です。五霞町は首都圏から約50キロメートル圏内という立地と町内を縦断する国道新4号に加え、平成27年に圏央道の五霞インターチェンジが開設されたことで利便性が向上し、交流人口の増加等、今後、さらなる地域活性化が期待されています。

高品質安定生産と付加価値販売に取り組む

(写真2:直売所レストランの「手打ち蕎麦」)

五霞むつみそば組合は組合員23名、栽培面積は約10ヘクタールで、主に水田の転作として「常陸秋そば」を栽培しています。

栽培面では、甘皮が緑色で風味、香りの良い高品質なそばを収穫するため、刈り取り前の収穫適期診断と組合で所有するコンバインでの一斉収穫を徹底し、共同乾燥・調製で製品の均一化を図っています。栽培講習会の開催や技術実証圃の設置も積極的に行っています。

販売面では、「道の駅ごか」を販売拠点とし、地産地消の推進と付加価値販売による所得向上を図っています。直売所コーナーでは組合で製粉した「そば粉」を販売し、レストランには玄そばを納入しています。店内製粉したそば粉を用いた「手打ち蕎麦」はリピーターも多くレストランの人気メニューとなっています。

安定生産に向けた湿害回避技術の実証

(写真3:湿害軽減技術導入現地検討会の様子)

そばは極めて湿害に弱い作物で、特に水田での作付けが多い五霞町では湿害軽減技術の導入が安定生産には欠かせません。そこで、そば組合では普及センター、茨城県農業研究所と連携しながら五霞町のそば栽培に適した湿害軽減技術について検証を重ねています。

これまでに、もみ殻充填補助暗渠や小明渠作溝同時浅耕播種、畝立て同時播種栽培を実施し、そばの安定生産に効果的な技術であることを実証してきました。
今年度は新たにアップカットロータリーを用いた畝立て播種栽培の実証圃を設置し、収量や品質など湿害軽減の効果について検証しています。

(写真4:アップカットロータリーを用いた湿害軽減実証圃)

「常陸秋そば」で町の新たな特産品を開発

(写真5:そば焼酎「川霞」)

平成25年、そばの消費拡大と町おこしの一環として、JAや道の駅、商工会、町、普及センター等と「五霞町そば焼酎振興協議会」を設立し、五霞町産「常陸秋そば」を10割使用したそば焼酎「川霞」を商品化しました。「川霞」は、まろやかな味わいと爽やかな飲み口が評判を呼び、販売間もなく売り切れとなるほどの大人気商品となりました。平成27年には原酒を用いた「プレミアム川霞」が新たに商品化され、どちらも五霞町の新たな特産品として注目されています。

五霞町産「常陸秋そば」のブランド化に向け、栽培と販売に積極的に取り組んでいる五霞むつみそば組合の今後の活躍が期待されます。

坂東普及センター

2016年10月26日