6次産業の先駆け、干しいも(2013年3月)

ひたちなか市

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(写真1:どこまでも広がるカンショ畑)

干しいもは、旧那珂湊市で明治41年に製造が始められて以来、100年が経ちました。現在では、ひたちなか市を中心とした近隣市町村で、全国8割を生産する日本一の産地となっています。添加物を使用しない自然な風味が好まれ、冬の特産品として人気があります。

干しいも生産基盤の整備

(イラスト:ほしいも生産三ッ星運動ポスター)

生産者、流通業者、JA、市村、茨城県県央農林事務所が、茨城ほしいも対策協議会を構成、一体となって産地発展に取り組んでいます。

消費者の「食の安全・安心」への関心が高まっていることに加え、低価格の輸入品との価格差に見合った高品質生産が求められていることから、

  • 生産履歴の記帳(ポジティブリスト制に対応)
  • 衛生加工(保健所と連携)
  • 適正品質表示(JAS法)

を実践する「ほしいも生産三ッ星運動」を展開してきました。

それにより生産者は、良質原料いもの生産、衛生的な加工体制の構築、消費者を念頭に置いた販売の6次産業を実現しています。

地域環境に配慮した麦播き

秋にカンショの収穫が終わった圃場には麦が播種されます。これにより、干しいもを天日干しする期間に風で土ぼこりが舞い上がらないようにしています。
生産者の土ぼこり対策の意識は高く、地域全体の約850ヘクタールで行われています。麦はカンショの作付け前に、緑肥としてすき込まれます。

(写真2:カンショの畝幅に麦を条播きして生育している麦の間にカンショを植付けしていく麦間栽培。麦が風よけになりカンショの初期生育が安定し、麦の収穫もできます。)

加工開始適期の判定

加工と天日干しの様子

(写真3:加工と天日干しの様子)

原料いもに寒さをあてると、いもに含まれるデンプンが糖に変わっていきます(糖化)。干しいもは、収穫した原料いもをある程度糖化させてから加工することで、甘くておいしい製品ができます。

近年は、暖冬傾向が続き、原料いもの糖化が遅れる傾向になったので、加工開始適期を糖度計により判定するようになりました。糖度計は大半の生産組合で導入され、原料いもが糖化したのを確認してから加工する体制ができました。

販売促進の取り組み

(写真4:干しいも品評会の様子)

茨城ほしいも対策協議会では、消費者へのアピールを兼ね、1月に干しいも品評会を開催しています。新品種導入として、外観・食味に優れた「べにはるか」「ほしキラリ」「ほしこがね」の現地試験も行われています。

写真:全国勝田マラソンの参加賞「完走いも」また、安全を確認し、消費者の懸念を払拭するため、原料いもと製品の放射性物質の検査も実施しています。これからも、高品質な干しいもづくりに取り組んでいきます。

(写真5:全国勝田マラソンの参加賞「完走いも」)

水戸普及センター

2013年02月27日