大規模稲作地帯で取り組む特別栽培米(2018年7月)

稲敷市
JA稲敷有機米研究会

稲敷市は茨城県南部に位置し、経営耕地面積の約9割を田が占める稲作地帯です。
基盤整備も進んでおり、一筆の面積が1ha規模の機械作業に適した圃場が多くなっています。

食味の向上と特別栽培米の生産

JA稲敷有機米研究会(会員7名、栽培面積39ha)は、前身の稲作研究会を引き継いで平成22年に設立されました。
食味の向上と安全・安心な米づくりに努めるとともに、特別栽培米(化学肥料使用量:慣行栽培の5割以下、化学農薬使用回数:慣行の5割以下)の生産を中心とした活動に取り組んでいます。

作見会で会員同士の情報共有

写真1:作見会のようす(左)商品化した肥料。早生専用特栽一発(右

(写真1:作見会のようす(左)商品化した肥料。早生専用特栽一発(右))

有機米研究会では、会員の技術向上と意見交換会を目的に、水稲の生育期間中に3回の作見会(※)を実施しています。作見会には会員、JA稲敷や普及センターの他、肥料・農薬メーカーも参加します。また、有機米研究会では、これまでにメーカーと協力して新しい配合の試作肥料の現地試験を実施してきました。会員とメーカーが、作見会で現地試験の状況を一緒に確認できるので、現地適応性をスムーズに評価することができ、現地での適正が高い資材が商品化されています(写真1:右)。会員はこの資材を利用することにより、特別栽培米でありながら慣行栽培並みの収量を確保しています。

(※)作見会:全会員の圃場で生育状況を確認し、その状況について話し合いを行うための集まり。

稲妻雷五郎が特別栽培米をPR

写真2:稲妻雷五郎という力士のイラストがデザインされた米袋

(写真2:稲妻雷五郎がデザインされた米袋)

JA稲敷では稲敷市(旧阿波埼村)出身の江戸時代の横綱・稲妻雷五郎がデザインされた米袋を作り、特別栽培米の販売を行っています。
研究会員の栽培した特別栽培米もこの袋を利用し、農協の農産物直売所などで販売されています(写真2)。

目に見える形での評価、農林水産大臣賞を受賞

公益社団法人 茨城県農林振興公社が主催する茨城県稲作共進会において、当有機米研究会の会員が二度農林水産大臣賞を受賞しています(平成23年度、平成28年度)。
安全・安心や高品質生産のための取り組みが目に見える形で評価され、他県からも視察が訪れるなど注目を集めています。


県南農林事務所 稲敷地域農業改良普及センター

2018年06月22日