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更新日:2020年7月27日
大気汚染の状況については,一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局において24時間連続測定し,その結果を中央監視局で常時監視しています。
本県の大気環境は,二酸化いおう,二酸化窒素,一酸化炭素及び浮遊粒子状物質については,環境基準を達成していますが,光化学オキシダントについては全ての測定局で環境基準を達成できていない状況にあります。
また,森林や湖沼の生態系等への影響が懸念されている酸性雨については,現時点では,植生衰退等の生態系被害や土壌の酸性化は認められていないものの,長期的にモニタリングを行うことが必要です。
今後も,大気汚染の状況や酸性雨の監視を継続するとともに,引き続き原因物質となるよう酸化物や窒素酸化物等の排出削減に努める必要があります。
さらに,平成21年9月に環境基準が設定された微小粒子状物質(PM2.5)については,大気中濃度の状況や原因物質の実態把握が必要となっています。
自動車騒音や航空機騒音については,環境基準が一部未達成となっていることから,対策を強化するとともに,継続して実態調査を実施する必要があります。
大気汚染,騒音,振動及び悪臭については,引き続き原因となる発生源への対策を徹底する必要があります。特に騒音及び振動は県民の日常生活の中でも発生する生活公害でもあることから,静穏な音環境に関する県民意識の高揚を図ることも重要です。
大気汚染については,光化学オキシダントが環境基準未達成となっていることから,工場・事業場等の固定発生源や自動車等に対して,発生源のそれぞれの特性に応じて揮発性有機化合物(VOC)などの原因物質の排出抑制対策を推進します。
また,微小粒子状物質(PM2.5)についても,監視体制の充実を図るとともに,調査・研究を推進し,その成果を踏まえて必要な対応を実施していきます。
騒音,振動についても,静かな生活環境の保全に向け,監視・観測体制の充実を図り,発生源に対する規制を徹底し積極的に対策を推進します。
本県は,利根川,鬼怒川等の河川をはじめ,全国2位の面積を有する広大な霞ヶ浦(西浦・北浦・常陸利根川),さらには豊富な水産資源の恵みを育む海域など,豊かな水環境を有しています。
これらの水域における水質常時監視においては河川や海域の生活環境項目の環境基準の達成率は長期的にみれば改善傾向にありますが,一部では改善が十分でない河川もあります。
湖沼については,各水質保全計画に基づく対策等により水質改善に一定の効果が得られているものの,富栄養化などによりいずれの湖沼においても環境基準の達成には至っていない状況にあります。
水質汚濁の主な原因には生活排水がありますが,平成23年度末における,県全体の汚水処理人口普及率は78.4%と全国平均を下回る状況にあります。
このため,良好な水環境の保全に向けて,工場・事業場排水の規制・指導にも努めるとともに,県民の生活排水対策を一層推進する必要があります。また,地下水の水質保全や水資源として豊富な水量が保たれるよう,水循環の確保にも努める必要があります。
河川・湖沼等の水質汚濁状況や環境基準の維持達成状況を把握するため,水質測定計画を策定し,水質の監視観測を実施します。
また,水質汚濁を未然に防止するため,工場・事業場に対しては排出水の排水基準の遵守について指導を強化します。畜産業者に対しては家畜排せつ物の管理基準が遵守されるよう指導します。さらに,生活排水対策については,市町村と連携を図り下水道等の整備を促進するとともに,下水道等への早期接続や浄化槽の適正な管理など,県民の浄化意識を高める取組を進めます。
水源地域に関しては,間伐等の森林整備を進め,森林の水源かん養機能の維持を図るとともに,雨水の地下浸透等の水循環及び資源としての水の保全・確保を推進します。
土壌汚染は,そのほとんどが事業活動に伴い排出される重金属類や化学物質等の有害物質を含んだ排水,ばい煙,廃棄物などが原因といわれています。一度汚染されると除去が難しく,長期間にわたり影響が残るため,有害物質による土壌汚染の未然防止とともに人への曝露を防ぐ対策が必要となります。
地盤環境に関しては,地盤沈下が最も大きな問題となっており,地下水の過剰な汲み上げによってその水位が低下し粘土層が収縮することが原因とされています。主に県南及び県西地域で生じていましたが,東北地方太平洋沖地震等の影響を受けたと考えられる平成23年度の測定結果を除くと,年間2センチメートル以上沈下する地域の面積は減少傾向にあります。今後も引き続き適切な地下水の利用と,地下水量の確保を促進する必要があります。
土壌環境については,土壌汚染の監視・観測の充実を図り,関係法令に基づき有害物質の適切な使用・管理の指導を行い汚染の未然防止を推進するとともに,土壌汚染の調査や事業所からの調査報告をとりまとめ,基準を超える汚染が確認された際には,浄化対策等を指導し拡散防止を図ります。
地盤環境に関しては,従来の対策と同様,地下水の過剰な汲み上げを規制し,地下水位等の監視・観測を行うことで,地盤沈下防止の対策を推進します。
さらに,平成23年3月の東北地方太平洋沖地震等に伴う地殻変動の影響も考慮しながら,地盤環境の保全を推進します。
県民
化学物質には非常に多種多様なものが存在し,その特性を生かして私たちの日常生活や事業活動に幅広く利用されています。その一方で,化学物質が環境中に漏出した場合に,人の健康や自然の生態系に大きな影響を与える心配があります。
県では環境中の化学物質の調査を毎年行っており,有害大気汚染物質のベンゼン,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン及びジクロロメタンについて,全ての測定地点で環境基準を達成しています。
水質の健康項目の結果についても,全ての河川・湖沼等の測定地点において全項目で環境基準を達成しています。
また,ダイオキシン類等についても環境中の存在状況等の調査を行っていますが,公共用水域の一部の地点の水質を除いて環境基準を達成しています。
人や生態系へ有害な影響を及ぼすおそれ(環境リスク)を持つ化学物質については,適切な管理・使用により,環境への排出量を減らし,環境リスクを総体的に低減させていくことが必要です。
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)により,事業者による自主的な化学物質の環境中への排出削減を進めており,年々排出量は削減していますが,なお多くの化学物質が環境中に排出されており,より一層の削減を進めることが求められています。
アスベスト(石綿)については,その多くが建築材料として使用されており,今後,それらの建築物が解体の時期を迎えることから飛散防止対策の徹底を図る必要があります。
環境リスクの低減を目指し,化学物質の大気や水質への排出と廃棄物処理に係る規制を徹底するとともに,事業場からの移動の実態を把握し,化学物質の取扱者に対して適切な使用・管理を指導徹底します。また,国の研究機関との連携による環境リスク情報の収集・検討を行い,その結果を踏まえて,必要な化学物質の総合的なリスク対策を強化していきます。
有害大気汚染物質や公共用水域,地下水中の有害物質についても,環境基準達成状況等の確認のために,引き続き測定を実施するとともに,工場・事業場に対し,従来の排出規制に加え,水質汚濁防止法の改正により新たに規定された有害物質貯蔵指定施設等の構造基準等について指導し,有害物質の地下浸透の未然防止を推進します。
また,ダイオキシン類やアスベストについては,関連する法令に基づき適切な対策を推進します。
PRTR法の対象物質についても,事業者の負担を考慮しつつ,一層の排出抑制を促していきます。
さらには,汚染調査や報告等により基準を超える汚染が確認された際には,人の健康を損なわないよう関係機関と連携を図り,飲用指導等の適切な対策・管理を行うことで,被害の拡散防止を図ります。
本県では,東海・大洗地区の原子力施設の立地に伴い,同地区及びその周辺における環境放射線の常時監視を行い,住民の安全確保や環境への影響把握に努めてきました。
平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故の発生以降は,これまでの監視対策に加え,北茨城市,高萩市,大子町,鹿島港湾事務所に可搬型モニタリングポストを設置したほか,モニタリングカーの活用等により県内全市町村での定点サーベイを実施して空間線量率を測定・公表するとともに,河川や海水,土壌等の放射能の分析測定を行ってきました。
さらに,39地点にモニタリングポストを新たに整備し,平成24年4月から県内全市町村における地上1mの空間線量率の常時監視を実施し,放射線監視体制の強化に努めています。
また,事故由来の放射性物質による県内の環境汚染を着実に低減することが大きな課題となっており,国は,平成23年8月に「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下「特措法」という。)を制定し,平成24年1月から本格施行しています。この特措法では,航空機モニタリング等で,空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルト以上の地域を含む市町村を「汚染状況重点調査地域」として,指定することになっており,本県では20の市町村が国から指定されました。
この結果,指定を受けた市町村は,子どもの生活環境である学校や公園等を優先に毎時0.23マイクロシーベルト以上の区域単位または施設単位で除染実施計画を策定し,本計画に基づき除染活動を進めています。
さらに,県では,市町村の除染活動が円滑に進むように,除染の手引きを作成するなどの技術的支援や「除染に係る市町村情報連絡会議」を開催し,各市町村での除染実施計画の進捗状況などの情報交換などを行うとともに,除染実施計画に位置付けられた県管理施設(学校・公園・道路等)について,市町村と一体となって,除染を進めています。
また,放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,000ベクレルを超える,いわゆる指定廃棄物については,特措法で国が責任を持って処分することとされており,国は,当該指定廃棄物が排出された都道府県内において処理を行うことを基本方針として,最終処分場の整備に向けて候補地の選定等を進めています。
なお,県では,福島第一原子力発電所事故をふまえ原子力特集を掲載した茨城県広報紙「ひばり」臨時号の県内全戸配付,市町村との共催による講演会の開催,放射線アドバイザーの派遣,県政出前講座,ラジオ広報等の実施により県民の放射線に対する不安解消や原子力に係る基礎知識の普及に努めています。
県内全市町村における空間線量率の測定を継続し,国や県のホームページ等で公表することにより,県民不安の解消に努めます。
また,「除染に係る市町村情報連絡会議」の開催などにより,市町村の除染実施計画に基づく除染活動を支援するとともに,除染実施計画に位置付けられた県管理施設の除染を進めます。
さらに,県民の放射線に対する不安解消や原子力に係る基礎知識の普及のために,引き続き広報活動を推進します。
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