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更新日:2021年3月29日
BCPで全従業員を守るため
緊急時対応計画を最優先で整備
代表取締役社長南雲京子
当社は、創業以来43年間、乗用・荷物用エレベーターの巻上機およびその他各種部品の製造・販売を行っております。巻上機は、エレベーターのかご(籠)を駆動する機械で、その乗り心地を左右するため、エレベーター構成機器の中でも心臓部と言える重要な製品です。
国内でも数少ない専門メーカーとして、培ってきた技術が認められ、販売先は国内に200社以上、海外へは東南アジア・中東地域への輸出もしております。現在は、多様化するニーズに応えるべく新製品開発に力を入れており、かつ、海外向けの販売を伸ばすべく取り組んでいるところです。
東日本大震災は金曜日に発生しました。その週末は、電話が繋がらなかったため、帰宅した従業員の家族の安否や自宅の被災状況を確認することができず、いつ通常業務に戻れるかも不明でしたので、社長として大変不安でした。そのような状況の中、月曜日に全従業員が出社したことには大変感激し、同時にひと安心したのを今でも忘れられません。
一方で、オフィス内のパソコンが壊れ、工場内では棚から落下した部材が使用不可になったり設備が故障するなどの被害がありました。ただ、幸いなことにお客様に納期でご迷惑をかける程の深刻な稼働停止に至ることありませんでした。復旧業務が続く中、仙台の倉庫にエレベーターを設置した会社から、「津波被害で故障したエレベーターを早く復旧させたい」と依頼がありました。その倉庫は東北の被災地へ物資運搬基地の役割を担う場所であったことから、最優先で部材を集め、特急で納品対応をしたことに大変感謝されました。この時が、当社の社会的な役割の重要性を強く認識した瞬間でした。
その後、BCPの存在を知り、さらに茨城県がBCP策定支援をやっていることを知って、当社にとって絶対に必要だと考えて応募しました。
東日本大震災を通じて、従業員が揃わないと事業継続が困難だということが判り、如何にして従業員の安全を確保し、出社してもらうかという観点から、地震を想定した緊急時対応計画を中心に検討しました。
安否確認システムを導入し、ガソリンの確保が難しい場合に乗り合いで通勤できるように自宅マップを作成しました。また、発災時にエレベーター据え付けの現場に出張していることも想定して、その場でどのような行動を取れば良いかを話し合って携帯用BCPにまとめ、全従業員に配布しました。さらに、地震の他に火災対策も重要と考えて、職場消防隊を新たに作り、消火器の適正数量の検討や配置の見直しも行うと同時に、防災訓練を年間計画に盛り込むことにしました。
今回のBCPは、本社と茨城工場を対象にしましたが、今後、BCP運用の実績が積み上がった後は、少しずつでも中国工場へ展開していきたいと思っています。
部門毎の行動をまとめた全社行動計画の作成や、どのような備蓄品をどれだけ揃えるかなど、細かな対策をつくる上で、事務局担当者が苦労したと思います。また、予防・低減策や代替策において、どれだけ費用をかけてやるかについても悩ましい問題でした。
また、策定の効果として、現場の意識が変わって来たと感じています。各部門が有事における役割や重要性を再認識したことで、例えば、先ほどの消火器の件にしても、設置場所の変更や整備、工場内の整理整頓と、責任者を中心に現場が自主的に動いてくれるようになりました。「自分の職場は自分で守る」という意識が強くなったことを大変心強く思っております。
今回のBCP策定は、茨城県事業で支援していただいたからこそ、3ヵ月という短期間でできたと感謝しています。自分たちだけやっていたら、長期間かかってしまっただろうと思います。今回のBCP策定作業を通じて、当社の社会的責任の重大さを再認識でき、また、BCPが全従業員を守るものであり、当社の経営理念に則ったものであることを実感できました。
BCPは作って終わりではなく、まだまだ不完全なところもあり、有事に実践できるよう今後も社内での演習と改善を継続することが大切だと考えています。
称号: | 株式会社三栄製作所 |
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本社所在地: | 茨城県笠間市東平2-14-35 |
設立: | 1972年3月 |
資本金: | 5,000万円 |
従業員数: | 40名 |
代表者: | 代表取締役社長南雲京子 |
事業内容: | エレベーター用巻上機、小荷物専用昇降機用巻上機等の製造・販売 |
URL: | http://www.sanei-ss.co.jp/ |
(2014年11月末日現在)
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