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一人ひとりの役割分担を明確にして、
有事にやるべき事を確実に実行できるようにする。
代表取締役鬼澤宏幸
東日本大震災当時、当社は、災害対策を全く行っておらず、避難訓練も実施していない状況でした。緊急連絡網も無い中で、従業員の誰が、いつ出社して来るのか分からない、誰が何をすれば良いかも分からないという混乱を経験しました。ただ、工場の設備に深刻な被害は無かったのが不幸中の幸いでした。そこで、また同じような災害に遭った時のために、従業員の安全確保、安否確認など必要最低限の事が迅速に対処できる準備をしておく必要があると考えていたところで当事業を知り、迷わず参加することにしました。(平成23年度に参加)
まず、防災の面からは、工場内に危険個所が無いか確認することから始めました。しかも、極力費用をかけなくてもできる事からやろうと考えました。例えば、高く積んである材料が倒れると危険なので、パレットの積み方を3段から2段にして低くする対策をしました。ただ、それでも危険はゼロではないので、そのような場所に危険個所の明示をするようにしました。そうして、従業員が日ごろから周囲に気を配り、危険個所を認識できるような仕掛け作りをしました。
一方、事業継続の面では、当社では製造作業は、機械が使えない最悪の場合には手作業ででもできるという従業員の器用さがある反面、出荷作業においては立体自動倉庫の稼働が不可欠になります。東日本大震災の時は5日間ほど停電し、その間は出荷作業ができないという悔しい思いをしました。そのため、BCP策定の際には自家発電設備の導入を検討したのですが、必要な電力を賄うためにはかなりの投資が必要と分かり、その時は断念しました。しかし現在、2年後に稼働予定の新工場の建設を計画していて、そこでは念願の自家発電設備を備える予定です。
また、安否確認では、携帯電話を持っていない従業員への対応として、休日発災の場合に安否を直接確認に行くために自宅の場所がわかる地図を作りました。さらに、平日発災の場合に遠方から通勤している従業員を会社に宿泊させる事を想定して、宿泊場所を新たに確保しました。
有事への対応ということで、従業員一人ひとりの役割分担を明確にして、やるべき事を確実に実行できるようにする事が重要だと認識はしていました。しかし、避難訓練を実際にやってみて、やるべき事が伝わっていなかったケースも幾つかあり、教える事の難しさや繰り返し訓練することの重要性を実感しました。人それぞれの適性もあると思うので、それに合った役割分担への見直しもやりながら、定期的に訓練を実施して行きたいと考えています。
また、これは将来に向けての課題ですが、東日本大震災の時に色々な方から助けていただいた経験から、恩返しの意味で、周りで何かあった時にはボランティアに行けるようなチームを社内に作りたいと思っています。
最初は、うまく策定できるのか少し不安な気持ちがありました。しかし、検討を進めて行く過程で、BCPの重要性や必要性が社内でも十分認識され、先ほど述べたような種々の対策が実施できたので、本事業に参加して良かったと思っています。これからも、従業員の増加や入れ替わりに対応するため、策定したBCPの周知と教育、さらに見直しも定期的に実施する必要があると感じており、それらを継続して行きたいと考えています。
会社情報
称号: | 株式会社幸田商店 |
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本社所在地: | 茨城県ひたちなか市平磯町1113 |
設立: | 1974年5月4日 |
資本金: | 1,100万円 |
従業員数: | 120名 |
代表者: | 代表取締役鬼澤宏幸 |
事業内容: | 干し芋、きな粉の製造・販売を中心に、乾物関係(麦茶、片栗粉、上新粉、白玉粉、乾燥野菜、他)、および漬物商材(唐辛子、ぬか、漬物塩)などを販売 |
URL: | http://www.k-sho.co.jp |
(2015年11月末日現在)
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