○茨城県水源地域保全条例
平成24年10月3日
茨城県条例第49号
茨城県水源地域保全条例を公布する。
茨城県水源地域保全条例
水は県民の暮らしを支え,作物の豊穣をもたらし,産業の発展に大きく寄与している。常陸国風土記において理想郷を意味する常世の国と賞された茨城県は,久慈川,那珂川,利根川などの水量豊かな河川や霞ケ浦などの広大な湖沼が存在する,全国でも屈指の水に恵まれた県であり,この地に暮らす私たちは,等しくその恩恵に浴している。
この豊かな水資源は,森林が持つ水源涵養機能によって育まれているため,私たちは,水源地域の森林を常に健全な状態に保つ必要がある。
しかしながら,近年,我が国においては,利用目的が明らかでない森林の買収事例が相次いで確認され,適切な管理が行われない森林が増加することによる森林の水源涵養機能の低下が懸念されている。
このような状況において私たちは,恵まれた水資源を維持し,後世に引き継いでいくため,水源地域の森林の重要性を深く認識するとともに,森林の永続的な保全に努めていかなければならない。
ここに,県民,水源地域の土地所有者等及び地方公共団体が連携し,協力して水源地域の保全に関する施策を推進し,本県の水資源がもたらす恩恵を将来にわたって享受できるよう,この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は,水源地域の森林の保全について,県,県民及び水源地域の土地所有者等の責務を明らかにするとともに,水源地域の土地の所有権,地上権その他規則で定める使用及び収益を目的とする権利(以下「所有権等」という。)の移転等に事前届出制度等を設けることにより,水源地域の機能の維持に寄与する。
(定義)
第2条 この条例において「水源地域」とは,第8条第1項の規定により指定された水源涵養保安林(森林法(昭和26年法律第249)第25条第1項第1号により指定された保安林)等の規則で定める民有林(森林法第2条第3項により定義された国有林以外の森林)の地域をいう。
2 この条例において「土地所有者等」とは,土地の所有権等を有する者をいう。
(県の責務)
第3条 県は,水源地域の保全に関する施策を推進するとともに,市町村が実施する水源地域の保全に関する施策に関し,助言その他の支援を行うものとする。
(県民の責務)
第4条 県民は,水源地域の保全に対する理解を深め,県及び市町吋が実施する水源地域の保全に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(水源地域の土地所有者等の責務)
第5条 水源地域の土地所有者等は,水源地域の森林が水の供給源としての機能を有することを深く認識し,県及び市町村が実施する水源地域の保全に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(市町村との連携)
第6条 県は,市町村が実施する水源地域の保全に関する施策に対して連携協力し,情報の共有化を図り,水源地域の保全に関して必要があると認めるときは,市町村に対して必要な協力を求めるものとする。
(国との連携)
第7条 県は,国と連携協力して,情報の共有化を図り,水源地域の保全に関する施策を推進するとともに,国に対して水源地域の保全に関する必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(水源地域の指定)
第8条 知事は,森林の有する水源涵養機能の維持及び増進に資するため,森林を整備し,保全する必要性が高い地域を,水源地域として指定することができる。
2 知事は,水源地域の指定をしようとするときは,あらかじめ関係市町村の長の意見を聴かなければならない。
3 知事は,水源地域の指定をしようとするときは,規則で定めるところにより,その旨を公告し,当該公告の日から2週間,水源地域の指定の案(以下「指定案」という。)を公衆の縦覧に供さなければならない。
4 前項の規定による公告があったときは,水源地域の指定をしようとする区域の土地所有者等及び利害関係人は,同項に規定する縦覧期間満了の日までに,規則で定めるところにより,知事に指定案についての意見書を提出することができる。
5 知事は,指定案に異議がある旨の前項の意見書の提出があったときは,規則で定めるところにより,必要に応じて意見聴取会を開催するものとする。
6 知事は,水源地域の指定をするときは,その旨及びその区域を告示し,関係市町村の長に通知しなければならない。
7 第1項の指定は,前項の告示によってその効力を生ずる。
8 第2項から前項までの規定は,水源地域の指定の変更又は解除について準用する。
(水源地域の土地の所有権等の移転等の届出)
第9条 水源地域の土地所有者等は,当該土地の所有権等の移転等を伴う契約(規則で定めるものに限る。以下「土地売買等の契約」という。)を締結しようとするときは,規則で定めるところにより,次に掲げる事項を契約を締結しようとする日の30日前までに知事に届け出なければならない。
(1) 土地売買等の契約の当事者の氏名及び住所(法人にあっては,その名称,代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)
(2) 土地売買等の契約に係る土地の所在及び面積
(3) 土地売買等の契約に係る土地の所有権等の種別及び内容
(4) 土地売買等の契約に係る土地の所有権等の移転等の後における土地の利用目的
(5) 土地売買等の契約を締結しようとする日
(6) 前各号に掲げるもののほか,規則で定める事項
2 前項の規定は,次の各号のいずれかに該当するときは,適用しない。
(1) 土地の所有権等の移転等を受けようとする者が国,地方公共団体その他規則で定める法人であるとき。
(2) 非常災害に際し必要な応急措置を講ずるために行われるとき。
3 第1項の規定は,同項の規定による届出の後同項第4号に掲げる事項を変更して土地売買等の契約を締結しようとする場合について準用する。
(市町村長への通知等)
第10条 知事は,前条第1項の規定による届出があったときは,遅滞なく,その内容を当該届出に係る土地が所在する市町村の長に通知するものとする。
2 知事は,必要があると認めるときは,前条第1項の規定による届出に係る土地の利用に関し,関係市町村の長に意見を求めることができる。
(報告の徴収及び立入調査)
第11条 知事は,この条例の施行に必要な限度において,第9条第1項の規定による届出をした土地所有者等(以下「届出者」という。)に対し,報告を求めることができる。
2 知事は,この条例の施行に必要な限度において,その職員に第9条第1項の規定による届出に係る土地に立ち入り,当該土地の利用が水源地域の機能の維持に及ぼす影響を調査させ,又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
4 第2項の規定による権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(助言)
第12条 知事は,第9条第1項の規定による届出があったときは,届出者に対し,当該届出に係る土地の利用について,当該土地を含む周辺の水源地域の保全を図るために必要な助言を行うことができる。
2 届出者は,前項の助言を受けたときは,当該届出に係る土地の所有権等の移転等を受けようとする者に当該助言の内容を伝達するものとする。
(勧告)
第13条 知事は,水源地域の土地所有者等が次のいずれかに該当すると認めるときは,その者に対し,期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(1) 第9条第1項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をしたとき。
(2) 第11条第1項の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をしたとき。
(3) 第11条第2項の規定による立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,又は質問に対して答弁をせず,若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(公表)
第14条 知事は,前条の規定による勧告を受けた者が,当該勧告に従わなかったときは,その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 知事は,前項の規定により公表しようとするときは,あらかじめ,当該勧告を受けた者に意見を述べる機会を与えなければならない。
(市町村の条例との関係)
第15条 市町村が定める水源地域を保全するための条例の規定の内容が,この条例の趣旨に即したものであり,かつ,この条例と同等以上の効果が期待できるものとして知事が認めるときは,規則で定めるところにより,当該市町村の条例の規定に相当するこの条例の規定は,当該市町村の区域においては,適用しない。
(委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
付 則
1 この条例は,公布の日から施行する。ただし,第9条から第14条までの規定は,平成25年1月1日から施行する。
2 第9条の規定は,同条の規定の施行の日から起算して30日を経過した日以後に土地売買等の契約を締結しようとする水源地域の土地所有者等について適用する。