○防火管理者について

昭和36年8月28日

36総発第269号

茨城県総務部長(依命通知)

各部課(所・局)長

出納事務局長

各出先機関の長

防火管理者について

昨年7月2日に公布され,本年4月1日から施行された消防法の一部を改正する法律(昭和35年法律第117号)によつて,一定の防火対象物には防火管理者をおかなければならないこととなりましたが,これについては,次により措置願いたく,命により通知いたします。

なお,参考までに消防庁長官から各都道府県知事あての本法施行通知の写を添付いたします。

第1 防火対象物の範囲

消防法第8条,同法施行令第1条及び同法施行規則第1条に規定されているが,県の各施設等が該当すると思われる部分は,下記のとおりである。

なお,具体的判断にあたつては,所在市町村の消防担当者と協議されたい。

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当該施設に出入し,勤務し,または居住する者の数(以下「収容人員」という。)が50人以上のものであるが,この収容人員の算定方法は,次のとおりである。

消防法施行令に定められている防火対象物の区分

消防法施行規則に定められている収容人員の算定方法

摘要

公会堂

次の各号に掲げる数を合算して算定する。

1 従業者の数

2 客席の部分ごとに次のアからウまでによつて算定した数の合計数

ア 固定式のいす席を設ける部分については,当該部分にあるいす席の数に対応する数。この場合において,長いす式のいす席にあつては,当該いす席の正面幅を0.4メートルで除して得た数(1未満のはしたの数は切り捨てるものとする。)とする。

イ 立見席を設ける部分については,当該部分の床面積を0.2平方メートルで除して得た数

ウ その他の部分については,当該部分の床面積を0.5平方メートルで除して得た数

茨城会館が該当する。

観覧場

取手競輪場及び大洗水族館が該当する。

集会場

各種の研修施設,養成施設,会議室等が該当する。(ただし,備考参照)

宿泊所

次の各号に掲げる数を合算して算定する。

1 従業者の数

2 宿泊室ごとに次のア及びイによつて算定した数の合計数

ア 洋式の宿泊室については,当該宿泊室にあるベツトの数に対応する数

イ 和式の宿泊室については,当該宿泊室の床面積を6平方メートル(簡易宿泊所及び主として団体客を宿泊させるものにあつては,3平方メートル)で除して得た数

県庁構内の職員宿泊施設,母子寮,児童厚生施設及び婦人保護施設が該当する。(ただし,備考参照)

共同住宅

居住者数

1 共同住宅とは,階段,廊下等を共用する共同建の集合住宅であつていわゆる長屋は含まれない。

2 県営住宅の一部が該当する。(ただし,備考参照)

病院

次の各号に掲げる数を合算して算定する。

1 医師,歯科医師,助産婦,薬剤師,看護婦その他の従業者の数

2 病室内にある病床の数

3 待合室の床面積の合計を3平方メートルで除して得た数

中央病院並びに友部病院及び同分院が該当する。

養老施設,救護施設,更生施設,児童福祉施設(母子寮及び児童厚生施設を除く。),身体障害者更生援護施設(身体障害者を収容するものに限る。)

従業者の数と老人,乳児,幼児,身体障害者,その他の要保護者の数とを合算して算定する。

 

その他の事業場

従業者数

前各項に該当しない県庁の庁舎及び出先機関の庁舎等が該当する。(ただし,備考参照)

文化財保護法の規定によつて重要文化財,重要民俗資料,史跡若しくは重要な文化財として指定され,または旧重要美術品等の保存に関する法律の規定によつて重要美術品として認定された建造物

延べ面積を5平方メートルで除して得た数により算定する。

弘道館及び好文亭が該当する。

備考

1 本表の摘要欄に記載した施設は,例であるが,ここに記載したものでも本表の算定方法によつて算定した結果,収容人員が50人以上にならなければ該当しない。

2 一つの施設内に2以上の防火対象物となるべきものがある場合においても,当該施設全部を一つの防火対象物とする。(この場合の収容人員の算定方法は,各対象物の種別ごとに本表により算定したものを合算する。その結果収容人員が50人以上となれば,当該施設全部が一つの防火対象物となる。)

たとえば,県庁構内の職員宿泊施設の場合は,職員宿泊施設の部分は本表に掲げる「宿泊所」,「職員研修所」の部分は「集会場」,水戸地方教育事務所の事務室は「その他の事業場」と認められるから,それぞれの算定方法によつて算定したものを合算する。

3 同一の敷地内に2以上の防火対象物があつて,これらの管理について権原を有する者が同一人であれば,それらの防火対象物は一つの防火対象物とみなされる。

第2 防火管理者の選任

1 消防法第8条の規定によれば,防火対象物の管理について権原を有する者が防火管理者の選任をすることとされているが,この「権原を有する者」とは,本県の場合は,庁舎等については,茨城県庁舎等管理規則(昭和36年茨城県規則第74号)第3条の規定に定められた庁舎管理者とする。すなわち県庁の庁舎については知事,出先機関の庁舎については当該出先機関の長(1の庁舎に2以上の出先機関が所在するときは,とくに指定されている出先機関の長)が防火管理者の選任権を有するものとする。

また,茨城県行政組織規則第85条第2項の規定による出先機関の支所等の庁舎については,当該支所等が所属する出先機関の長が選任権者であることに注意すること。

2 県庁の庁舎についての防火管理者としては,近日中に総務部管財課長の職にある者を選任する予定である。

3 当該庁舎等が防火対象物に該当する出先機関の長は,すみやかに防火管理者を選任して,消防法施行規則別記様式第1号(別紙様式添付)によつて,所在地の市町村長(消防本部をおく市町村にあつては,消防長または消防署長)に届け出ること,これを解任したときも同様とする。

4 防火管理者の数は,一つの防火対象物について1人とする。したがつて茨城県行政組織規則第85条第2項の規定による出先機関の支所等の庁舎等については,防火対象物に該当すれば,別個に防火管理者をおかなければならないものである。

5 出先機関の庁舎等の防火管理者としては,その職務の性格上,次の職にある者を選任することが適当である。

(1) 振興事務所(県北振興事務所を除く。)にあつては振興課長

(2) 病院,精神病院及びし体不自由児施設にあつては事務長

(3) 消防学校にあつては教頭

(4) その他課または部をおいている出先機関にあつては庶務事務を担当する課長または部長(課または部をおかず,次長をおく出先機関にあつては,次長)

(5) 茨城県行政組織規則第85条第2項の規定による出先機関の支所等にあつては,当該支所等の長または主任

(6) その他の出先機関にあつては,その長が定める職員(なるべく庶務事務担当主任者)

第3 防火管理者の資格及び講習

1 防火管理者としての資格を有する者は,消防法施行令第3条及び消防法施行規則第2条の規定によつて,次の各号のいずれかに該当する者と定められている。

(1) 消防本部及び消防署をおく市町村の消防長その他自治大臣の指定する機関(消防庁長官及び都道府県知事)が行なう防火管理に関する講習会の課程を修了した者

(2) 学校教育法(昭和22年法律第26号)による大学若しくは短期大学,旧大学令(大正7年勅令第388号)による大学または旧専門学校令(明治36年勅令第61号)による専門学校において自治大臣の指定する防災に関する学科または課程を修めて卒業した者で,1年以上防火管理の実務経験を有するもの

(3) 市町村の消防職員で,管理的または監督的な職に1年以上あつた者

(4) 労働基準法(昭和22年法律第49号)第53条第1項に規定する安全管理者として選任された者

(5) 消防法(昭和23年法律第186号)第13条第1項に規定する危険物取扱主任者として選任された者で,甲種危険物取扱主任者免状の交付を受けているもの

(6) 鉱山保安法(昭和24年法律第70号)第13条第1項に規定する保安管理者または副保安管理者として選任された者

(7) 国または都道府県の消防の事務に従事する職員で,1年以上管理的または監督的な職にあつた者

(8) 警察官またはこれに準ずる警察職員で,3年以上管理的または監督的な職にあつた者

(9) 建築主事または1級建築士の資格を有する者で,1年以上防火管理の実務経験を有する者

(10) 前各号に掲げる者のほか,消防庁長官が防火管理者の資格に関し,(1)から(3)までに掲げる者と同等以上の学識経験を有すると認定した者

2 経過措置として,消防法の一部を改正する法律(昭和35年法律第117号)附則第2項の規定によつて,この法律施行の日から1年間(昭和37年3月31日まで)は,前項の資格を有しない者のうちから防火管理者を選任することができることとなつているので,前記第2の5によつて無資格者を選任した場合(現実には大部分)は,前記期限内に,前記第3の1の(1)による講習を受けて資格を取得する必要がある。

よつてこれらの者のために,消防本部及び消防署をおく市町村においては消防長が,それ以外の市町村については県(土木部消防防災課)が講習会を開催する予定(県主催のものは,県下30数個所)であるから,当該市町村等から通知があつたときは,関係防火管理者は,もよりの講習会に必ず出席するようにされたい。

なお,その際に防火管理者が欠けたときに,臨時的に他の者を防火管理者としなければならないことを考慮して,防火管理者以外の者1名若しくは2名をともに受講させ資格を取得させておくことが適当である。

第4 その他

1 防火管理者の選任辞令の様式は,次のとおりとする。

茨城県○○吏員 氏        名 

消防法第8条第1項の規定による○○○庁舎(施設名)の防火管理者を命ずる。

   昭和  年  月  日

○○○長 氏        名 

2 防火管理者の資格及び選任については履歴記載事項とする。

3 防火対象物に該当する出先機関の長は,防火管理者を選任または解任したときは,前記第2の3によつて当該市町村長等へ届け出るほか,次の様式による選任または解任報告2通を本庁各主管課に提出すること。(各主管課においては,そのうち1通を総務部総務課に送付すること。)

消防法第8条第1項の規定による防火管理者選任(解任)報告

防火対象物

 

 

氏名

 

選任(解任)年月日

 

防火管理者としての該当資格

 

上記のとおり報告いたします。

昭和  年  月  日

茨城県知事 氏  名 殿

○○○長 氏        名

4 前記第3の2の講習会に参加して,防火管理者の資格を取得した者には,茨城県職員服務規程(昭和31年茨城県訓令第30号)第6条の規定によつて,履歴事項の追加届を提出せしめること。

((写))

自消甲予発第28号

昭和36年5月10日

各都道府県知事殿

消防庁長官

消防法の一部を改正する法律等の施行について

昭和35年7月2日に公布された消防法の一部を改正する法律(昭和35年法律第117号。以下「改正法」という。)は,消防法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(昭和36年政令第36号)により,消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)及び消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号。以下「規則」という。)とともに昭和36年4月1日から施行された。

今回の改正は,昭和32年10月に提出された消防審議会の答申を基礎とし,火災の防止の徹底を期するため必要な制度の整備を図つたものであつて,その内容とするところは,防火管理者制度の整備,火災危険の著しい物品の規制の徹底,消防用設備等の規制の徹底等に関し所要の改正を行なつたことである。

改正法令の施行については,下記事項に御留意のうえ,消防法に基づく火災予防行政の運営に遺漏のないよう,格別の御配意をお願いする。

第1 防火管理者に関する事項(法第8条)

1 従前の防火責任者の名称を防火管理者と改めたこと。

これは防火管理者の権限が拡充強化されたことに伴い,防火に関し管理的な地位にある者が選任されるという趣旨に基づくものであるから,防火管理者がこの趣旨に則つて選任されるよう指導し趣旨の徹底に努めること。

2 防火管理者を置く防火対象物

(1) 防火管理者を定めるべき防火対象物を多数の者が出入し,勤務し,又は居住する防火対象物で政令で定めるものとして,防火対象物の範囲の明確化及び徹底を図つたこと。

(2) 政令で定める防火対象物は,令別表第1に掲げる防火対象物(同表(18)項から(20)項までに掲げるものを除く。)で収容人員が50人以上のものとし,収容人員の算定方法は,防火対象物の用途ごとに,その実態に応じ自治省令で定めたこと。(令第1条,規則第1条)

(3) 収容人員の算定に当たつては,従業者の数,居住者の数,算定の基礎となる各用途部分の床面積等を毎年一定の時点において把握するよう注意を怠らないこと。

なお,従業者数等については,法第4条の規定による資料提出命令及び立入検査,各種統計の活用,関係行政機関への連絡等により,常に把握に努められたいこと。

3 選任義務者

(1) 防火管理者の選任義務者を防火対象物の管理について権原を有する者とすること。

(2) 管理について権原を有する者とは,私法上防火対象物の管理を正当ならしめる原因を有する者はもちろん,公法上防火対象物の管理の権原を有する者は,その範囲において管理の権原を有する者と解されること。例えば,小学校については管理について権原を有する者は当該市町村教育委員会であるが,教育財産の管理を校長に委任したときは校長であること。

4 選任の方法

(1) 防火管理者は,令別表第1に掲げる防火対象物ごとに選任するものであるが防火管理の業務を統一的に行なうため,同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である収容人員50人以上の防火対象物が2以上あるときはそれらの防火対象物は,法第8条の規定の適用については,一の防火対象物とみなされるものであること。(令第2条)。したがつてこの場合は同一敷地について防火管理者は1人であり,消防計画も当該2以上の防火対象物について統一的に作成するものであること。

(2) 令別表第1(16)項のいわゆる複合用途防火対象物は,その管理の実態が複雑であり,防火管理の業務も困難である場合が多いので,例えば経営規模の小さい選任義務者が多数存在する場合において1の防火管理者を共同選任する等防火管理者の選任について充分指導すること。

5 資格

(1) 防火責任者の選任に当たつて防火管理について学識経験のない者を形式的に選任する従前のへい害を改めるため,防火管理者の資格を政令で定めることとし,防火管理者制度の実効性の確保を図つたこと。

(2) 政令で定める資格を有する者は,次のいずれかに該当する者であること。(令第3条)

ア 消防本部及び消防署を置く市町村の消防長等が行なう防火管理に関する講習会の課程を修了した者

イ 大学等において防災に関する学科又は課程を修めて卒業した者で,1年以上防火管理の実務経験を有するもの

ウ 市町村の消防職員で,管理的又は監督的な職に1年以上ある者

エ ア,イ又はウに準ずる者で,防火管理者として必要な学識経験を有するものとして規則第2条で定めるもの

(3) 消防長等が行なう防火管理に関する講習会の実施については別途通達するが,防火管理者の資格を政令で定めることとした趣旨にかんがみ,講習会の課程を修了した者については,その資格は全国に通用するものであること。

(4) 防火管理者の資格については,欠格条項の定めはないが,その職務の重要性にかんがみ,禁治産者,めくら,おし等の精神的及び肉体的欠かんを有する者その他不適当と認められる者を選任すべきものでないこと。

6 職務

(1) 防火管理者の職務を次に掲げるものとしてその拡充強化を図るとともに誠実にその職務を遂行しなければならない旨を明定したこと。(令第4条第1項)

ア 消防計画の作成

イ 消火・通報及び避難の訓練の実施

ウ 消防用設備等の点検及び整備

エ 火気の使用又は取扱いに関する監督

オ その他防火管理上必要な業務

(2) 防火管理者が消防計画を作成するについて定めるべき事項は規則第3条に掲げる事項であるが,特に市町村が作成する消防計画との関連について留意して指導するとともに,法第4条第1項の規定による資料提出命令により,消防計画を提出させること。

(3) 訓練の実施に当たつては,消防機関に連絡の上,その協力を得て実施させること。

(4) 消防用設備等の点検整備及び火気の監督に当たつては,火元責任者等に必要な指示を与えなければならないこと。(令第4条第2項)

7 防火対象物の管理について権原を有する者が防火管理者を選任し,又は解任したときは,遅滞なく所轄消防長又は消防署長に届出書を提出しなければならないこと。(法第8条第2項,規則第4条第1項)

なお,選任の届出にあつては,講習修了証の写等防火管理者の資格を証する書面を添えなければならないこと(規則第4条第2項)

8 防火管理者を定めなかつた場合及びその選任又は解任の届出をしなかつた場合に罰則を科することとしたこと。(法第43条第1号及び第44条第3号)なお,両罰規定に留意すること。(第45条)

9 防火管理者の資格を政令で定めることとしたことに伴い,改正法施行の日から起算して1年間は,政令で定める資格を有しない者のうちから防火管理者を選任できることとしたこと(改正法付則第2項)。なお,資格以外の事項はすべて改正後の法の規定によるのであるから,従来の防火責任者を選任していた場合等においても,改めて防火管理者を選任することが必要であり,資格を有しない防火管理者を選任したときも,遅滞なく届出を要するものであること。

(以下省略)

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防火管理者について

昭和36年8月28日 総発第269号

(昭和36年8月28日施行)

体系情報
第1編 規/第7章 消防防災
沿革情報
昭和36年8月28日 総発第269号