○職員の不利益処分についての審査請求に関する規則の運用について
昭和52年12月13日
人事委員会議決
第1章 総則
第1条(趣旨)関係
この規則は,地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第49条の2に規定する審査請求の手続及び審査の結果執るべき措置に関し必要な事項を定めたものである。
第3条(文書の送達)関係
(第1項関係)
裁決書の正本等人事委員会が必要と認める文書を郵便により送達する場合は,配達証明付書留郵便によるものとする。ただし,受領拒否の場合は,交付送達の方法によるものとする。
送達は,文書を受けるべき者の住所又は居所に限るが,処分者である知事,教育委員会等に対しては,当該事案を処理する事務所(例えば,人事課,高校教育課等)あてに行う。また,事務所を有する代理人(弁護士)に対しては,その代理人の事務所あてに行うこととなる。
なお,交付による送達の場合は,文書使送簿を使用するものとする。
(第2項関係)
ただし書きは,人事委員会が必要と認めて議決すれば,例えば,県庁舎内に請求人がいる場合には,その者の所属する課(組合事務所も含む。)へ赴き,そこで出会えば交付することができるという意味である。
(第3項関係)
同居の者とは,生計を一にしていることを要しないし,一時的に同居している者でもよいが,世帯を別にしている者,アパートの管理人又は臨時の留守番等は,文書の受領を特に依頼されている場合を除き該当しない。相当のわきまえのある者であるか否かの判断は,当該文書の送達を担当した事務職員に委ねることになる。
(第4項関係)
第2項ただし書きによる場合は,差置き送達は行わないものとする。
第4条(公示送達)関係
公示の方法による送達は,送達を受けるべき者に文書を交付する旨を公示すれば足り,文書の要旨は公示しないものである。
第2章 代理人
第5条(代理人)関係
代理人の選任に関する届出の際には,代理権限を証する文書(委任状その他契約書の抄本等)を添付させるものとする。
第6条(代理人の数の制限)関係
代理人については,審理指揮権行使の限界,審理場の秩序維持から判断して,基本的には,請求人1人又は処分者につき7人以内を限度として必要な制限ができるものとする。
なお,当事者の届出に係る代理人の数について制限した場合には,審理その他の審査は,第5条第2項の規定による解任届のあつた後に行うものとする。
第7条(代理人の権限)関係
審査請求の申立ては,代理人によつて行うことができる。
第8条(主任代理人)関係
主任代理人は,代理人のなかの代表者として,事務の簡便と代理人間の意思の疎通をはかり,統制のとれた審理の円滑な進行をはかるために設けられたものである。
第3章 審査請求
第9条(審査請求)関係
(第3項関係)
審査請求には,請求人が処分者から不利益処分説明書を受領しているときは,必ずその写の添付を求め,請求人が法第49条第2項の規定による不利益処分説明書の交付を請求中であつて,審査請求後審査が始まるまでの間に当該説明書を受領したときは,すみやかに提出させるものとする。
第10条(審査請求の受理及び却下)関係
(第1項関係)
次の形式的要件について,調査するものとする。
(1) 審査請求書の記載に不備がないこと。
(2) 不利益処分説明書の写しが添付されていること。
(3) 審査請求機関を誤つていないこと。
(4) 請求人が審査請求権を有していること。
(5) 審査請求期間を過ぎていないこと。
(6) 請求事項が不利益処分にかかわるものであること。
(7) 審査請求書が正副2通提出されていること。
(3),(4),(5)及び(6)の要件を満たしていない場合には,却下するものとする。却下は,決定書により行い,この作成については,裁決書の場合と同様とする。
(第2項関係)
審査請求書の記載事項中,処分があつたことを知つた年月日,処分に対して求める措置,処分に対する不服理由,不利益処分説明書が交付されなかつた経緯,審査の方法等について不備な記載があつたとき,又は不利益処分説明書を受領している場合において当該説明書の写の添付がないときは,補正命令により補正させる。また,相当の期間とは,不備の箇所を補正するために十分とされる期間である。
(第3項関係)
請求人が補正命令に従わないときは,原則として3回の督促の後に,却下するものとする。却下する直前の督促は,配達証明付内容証明郵便による。
第11条(審査の併合又は分離)関係
審査の併合は,(1)事案の件数,(2)各事実及び争点の同一性,共通性の程度,(3)併合により生ずる利益と損失,(4)併合による審理上の利点と欠点を比較衡量し決定するものである。
したがつて,当事者の申請があつたからといつて,当然に併合させるものではない。
第12条(代表者)関係
代表者は,併合事案についてのみ認められ,当該請求人の中から選ばれるもので,人数も1人である。代表者は,請求人全員の代理人としての性格を有するものである。
なお,民事訴訟法(平成8年法律第109号)第29条の代表者及び同法第30条の選定当事者並びに行政不服審査法(平成26年法律第68号)第11条の総代の概念とは異なるものである。したがつて,請求人は代表者を通じてのみしか,当該審査請求に関する一切の行為をすることができないわけでなく,請求人が自ら審理に参加することをあくまで妨げるものではない。
第4章 審査の手続
第13条(口頭審理の請求及びその撤回)関係
公開又は非公開の口頭審理を請求した者が,非公開又は公開の口頭審理に変更する旨の請求をしようとする場合には,口頭審理の場で口頭により請求させるものとする。
ただし,口頭審理の場で請求することができない事由がある場合には,文書により請求させるものとする。
第14条(答弁書)関係
この規定は,審査の迅速化をねらつたものである。
相当の期間とは,答弁するのに十分とされる期間であり,必要と認める資料には,証拠も含むものである。
第15条(反論書)関係
必要と認める資料には,答弁書の場合と同様に証拠も含むものである。
第16条(当事者に対する質問及び立証の要求)関係
人事委員会が,書面審理又は口頭審理において,当事者に対する釈明権を行使するための根拠規定である。
第17条(準備手続)関係
準備手続は,第1回の口頭審理の前後を問わず,口頭審理期日の予定,処分事由に関する事実・争点・証拠の整理等を行つて,その後の口頭審理を能率的に進めようとする予備的手続である。準備手続においては,人事委員会の指揮の下に,当事者に争点及び証拠の整理等を協議させるものである。この場合,人事委員会は,法第50条第2項の規定により委員又は事務局長(以下「委員等」という。)に委任して行わせるのを通例とする。
第18条(口頭審理の期日)関係
法第50条第2項の規定により,委員等に口頭審理に関する権限が委任されている場合には,委員等が口頭審理期日を指定しうることはいうまでもない。
なお,期日指定権が委員長にあるところから,口頭審理期日の変更申請も委員長あてに行えばよい。委員等に委任されている場合には,委員等になる。
第19条(口頭審理の準備並びに文書に記載しなかつた場合の効果)関係
口頭審理においては,処分者は不利益処分に関する具体的な説明を,請求人は,処分者の主張に対する認否及び反論を口頭で述べるのが建前であるが,口頭審理の円滑な進行と迅速化をはかるため,あらかじめ書面審理の場合におけると同様な答弁書,反論書その他の準備書面を当事者に対し,期限を定めて求め,口頭審理の場において,当該文書に記載されている内容を口頭で述べさせたと同様の効果をねらつたものである。
第20条(発言の許可及び制限並びに秩序維持のための措置)関係
審理の場における当事者に関する秩序維持のための権限を,委員長に与えたものである。また,法第50条第2項の規定により委員等に委任されている場合は,この権限は委員等が行使するものである。
なお,傍聴人に関しては,茨城県人事委員会の公開口頭審理等の傍聴に関する規則(昭和36年茨城県人事委員会規則第1号)によるものである。
第21条(争われない主張)関係
この規定は,民事訴訟法第159条に規定する擬制自白と全く同趣旨のことを認めたものではない。
出席して相手方の主張した事実について争わなかつたと明白に認められるとは,人事委員会が第16条の規定による権限を行使しても争わなかつた場合をいうものである。
第22条(口頭審理の終了に際し委員長が行うべき措置)関係
最終陳述とは,当事者が口頭審理の全過程を通じて主張したことを証拠とともに整理要約して述べるものである。通常は,口頭で行わせるが,口頭審理期日に口頭に代えて書面で行わせることもできる。
第23条(審理調書)関係
審理を担当した委員には,法第50条第2項により委任された事務局長も含まれる。
第5章 証拠調べ
第24条(証人を出席させるための承認申請)関係
当事者は,あらかじめ本人の了解を得て,人事委員会の承認があれば,その本人を証人として口頭審理に出席させ,立証させることができるものであり,この場合は本条の証人に対しては,呼出状を出す必要はない。
第26条(証拠資料の却下)関係
却下の場合は,提出された証拠資料とともに却下通知を出すものとする。
第27条(証拠調べの申請)関係
第28条(証拠調べの申請の却下)関係
証拠調べの申請があつた場合において,当事者の主張,争点とその立証との関係に照し,証人尋問その他の証拠調べの必要がないと認められる場合は,その申請を却下することができる。却下の通知は,文書で行うものとする。
第31条(証人の宣誓)関係
証人は,人事委員会の喚問を受けるのであるから,証人呼出状の有無にかかわらず宣誓を行うことになる。
第32条(口述書の提出要求)関係
証人が病気又は職務の関係で,人事委員会又は口頭審理の場に出席することが困難な場合には,できるだけ現地に赴き尋問を行うのを例とするが,尋問の内容からして現地に赴かなくても十分にこれを信用することができるような場合は,口述書の提出を求めることとしても差しつかえないものである。この場合は,証人としての宣誓は行わせない。
口述書の提出命令に従わない者は,法第61条第1号の罰則の適用がある。
第33条(当事者尋問)関係
人事委員会は心証を形成するために,当事者本人を補充的証拠方法として,当事者本人が経験した事実について尋問することができる。
第34条(証人及び当事者本人の尋問)関係
証人及び当事者本人の尋問については,委員長が行うことを原則としながらも,主張及び立証を当事者に委ねている部分が多い現状にかんがみ,当事者にも尋問を行わせることができることとしたものである。
第35条(対質)関係
証人に証言を求める場合には,真実発見のため,個々に尋問を行うことを原則とするが,証人の証言内容が食い違い,どちらを信用すればよいかを判断する必要がある場合には,証人相互の対質ができることを認めたものである。
第36条(委員長以外の委員の審理指揮)関係
委員長は,次に掲げる審理指揮に関する権限を有し,これらの権限を他の委員にも行わせることができる。
(1) 第18条(口頭審理期日の指定)
(2) 第20条(発言の許可及び制限並びに秩序維持のための措置)
(3) 第22条(口頭審理の終了に際し,行うべき措置)
(4) 第31条第1項(証人の宣誓)
(5) 第31条の2(証人の遮へいの措置)
(6) 第34条(証人及び当事者本人の尋問)
(7) 第35条(当事者相互,当事者と証人又は証人相互の対質)
第37条(鑑定)関係
鑑定は,職権によるほか,当事者の申出によつても行うことができる。
第6章 審査の終了及び審査の結果執るべき措置
第39条(審査請求の取下げ)関係
請求人から取下書の提出があつた場合には,処分者に対し取下書の提出のあつた旨を通知する。
なお,請求人に対しては,念のために審査が終了したことを通知することとする。
また,請求人は,取下書の提出後であつても,審査請求期間内であれば再度審査請求をすることができる。
第40条(審査の打切り)関係
審査を打切り,審査請求を棄却することができるのは,次のような場合である。
(1) 請求人の行方不明等によつて審査の継続が不可能な場合
(2) 請求人の退職,死亡等により審査請求の利益が消滅したと判断される場合
(3) 処分者が処分の取消し,修正等を行い審査を継続する必要がなくなつたと判断される場合
(4) 訴訟において処分の取消しが確定した場合
(5) 請求人が審査請求を維持する意思を放棄したと明らかに認められる場合
なお,(2)の死亡の場合は,審査を継続する実益の有無及び相続人の承継の意思の有無を調査のうえ,判断する必要がある。
第41条(裁決)関係
裁決には,「処分の承認」,「処分の修正」,「処分の取消し」の態様がある。
第7章 再審
第42条(再審の請求)関係
再審とは,人事委員会が行つた裁決に対して影響を及ぼすような重大な事由が生じた場合に,当事者の請求又は職権により当該事案を再度審査し直して裁決の適正を確保するための制度であり,法第8条第8項の規定に基づいて行われるものである。
なお,行政不服審査法の再審査請求とは,その体系を異にするものである。
第44条(再審の手続)関係
当事者が再審請求をした場合において,再審事由を充しているかどうかの判断は,人事委員会が行うことになる。
また,再審事由に該当しないと判断した場合には,却下する決定を行い,その旨を再審請求人に決定書により通知するものとする。
第45条(再審の結果執るべき措置)関係
「これに代えて新たに裁決を行う」とは,請求人の請求を容認して従前の裁決をくつがえす場合をいうものである。
なお,新たに裁決が行われたときは,従前の裁決は取消され,新たな裁決は,審査請求の原因となつた処分がなされたときにさかのぼつて効力が生ずるものである。
第8章 雑則
第46条(審査及び再審の費用)関係
人事委員会が職権で喚問した証人とは,その喚問及び証拠調べの動機が,職権による場合をさすものであり,具体的には第29条による場合がこれに該当する。
改正文(平成17年茨人委第65号)抄
平成17年4月1日以降は,これによってください。
改正文(平成28年4月15日人事委員会議決)抄
平成28年4月21日(職員の不利益処分についての審査請求に関する規則の一部を改正する規則(茨城県人事委員会規則第12号)公布の日)から施行する。