○茨城県地球環境保全行動条例
平成7年3月30日
茨城県条例第10号
茨城県地球環境保全行動条例を公布する。
茨城県地球環境保全行動条例
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 省エネルギーの推進(第8条―第14条)
第3章 省資源の推進(第15条―第21条)
第4章 ごみの散乱防止(第22条―第27条)
第5章 緑化の推進(第28条―第34条)
第6章 県民運動の推進(第35条―第37条)
第7章 雑則(第38条―第41条)
付則
人類は,地球という限りある環境の中で,生態系の微妙な均衡の下,その恩恵を受け,かつ,これに影響を及ぼしつつ活動を展開してきた。
しかしながら,現代の社会経済活動に伴う環境への負荷は,自然の持つ復原力を超えるような規模にまで巨大化し,現在及び将来の人類を含むすべての生物の生存基盤までもが脅かされる状況に至っている。
地球の温暖化,酸性雨,砂漠化,海洋汚染などの,いわゆる「地球環境問題」は,究極的には,大量生産,大量消費,大量廃棄型の社会経済システムやライフスタイルの定着に起因しており,これを解決するためには,地球上のすべての者が,それぞれの行動を徹底的に検証し,環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するための行動を推進していくことが求められている。
このため,われら茨城県民は,地球市民の一員として,地球環境保全のための行動を率先して推進することを決意し,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するため,県,市町村,事業者及び県民が一体となって,地球環境保全行動を促進することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「環境への負荷」とは,茨城県環境基本条例(平成8年茨城県条例第48号)第2条第1項に規定する環境への負荷をいう。
2 この条例において「地球環境保全行動」とは,環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するための省エネルギーの推進,省資源の推進,ごみの散乱防止及び緑化の推進に関する行動を行うことをいう。
3 この条例において「省エネルギー」とは,燃料,電気その他のエネルギーの節約及び太陽エネルギーその他の自然エネルギー,工場等の廃熱その他の未利用エネルギーの活用によるエネルギーの使用の合理化をいう。
4 この条例において「省資源」とは,資源の節約,廃棄物の減量化並びに資源の再利用及び再生利用(以下「リサイクル」という。)をいう。
(平8条例48・一部改正)
(県の責務)
第3条 県は,市町村との密接な連携の下に,地球環境保全行動の促進に関する総合的な施策を策定し,及び実施する責務を有する。
(地球環境保全行動計画の策定)
第4条 知事は,地球環境保全行動を計画的,総合的に促進するため,地球環境保全行動に関する計画(以下「地球環境保全行動計画」という。)を定めなければならない。
2 地球環境保全行動計画は,県民,事業者及び市町村が実施する地球環境保全行動の指針となるとともに,県の施策の基本的方向を示すことを旨として,県における環境の状況,その保全に関する技術の水準その他の事情を勘案して定めるものとする。
3 地球環境保全行動計画は,県における環境の状況,その保全に関する技術の水準その他の事情の変動に応じて必要な改定を行うものとする。
(市町村の責務)
第5条 市町村は,地球環境保全行動計画に配慮して,その自然的社会的条件に応じた地球環境保全行動の促進に関する施策を策定し,及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は,その事業活動に伴う環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するため,地球環境保全行動計画に配慮して,地球環境保全行動に努めなければならない。
2 事業者は,県及び市町村が実施する地球環境保全のための施策に協力しなければならない。
(県民の責務)
第7条 県民は,その日常生活に伴う環境への負荷を低減し,良好な環境の創造に資するため,地球環境保全行動計画に配慮して,地球環境保全行動に努めなければならない。
2 県民は,県及び市町村が実施する地球環境保全のための施策に協力しなければならない。
第2章 省エネルギーの推進
(省エネルギー基本方針)
第8条 知事は,省エネルギーを推進するための基本的な方針を定め,これを公表するものとする。
(日常生活における省エネルギー)
第9条 県民は,その日常生活において,照明機器,冷暖房機器その他のエネルギーを消費する機械器具の効率的使用,交通手段の合理的利用その他省エネルギーの推進に努めなければならない。
2 県民は,省エネルギーに資する住宅及び住宅設備の整備並びに機械器具の購入について配慮するものとする。
(事業活動における省エネルギー)
第10条 事業者は,生産,流通,販売,サービスの提供その他事業活動において,自ら省エネルギーに関する計画を定めて,省エネルギーの推進に努めなければならない。
2 エネルギーを消費する機械器具を製造する事業者は,その製造に係る機械器具につき,エネルギーの消費量との対比における性能の向上を図ることにより,当該機械器具に係るエネルギーの使用の合理化に努めなければならない。
(事業者の省エネルギーに関する判断の基準)
第11条 知事は,事業活動における省エネルギーの推進を図るため,次の各号に定める事項について,省エネルギーに関する技術の水準その他の事情を勘案して,事業者の省エネルギーに関する判断の基準(以下「省エネルギー判断基準」という。)を定めるものとする。
(1) 燃料の燃焼の合理化に関する事項
(2) 廃熱の回収及び利用に関する事項
(3) 生産設備その他の機械器具のエネルギー効率の向上に関する事項
(4) 生産設備その他の機械器具の運転管理に関する事項
(5) 原材料及び製品の輸送に関する事項
(6) 建築物に係る熱の損失の防止に関する事項
2 省エネルギー判断基準は,省エネルギーに関する技術の水準その他の事情の変動に応じて必要な改定を行うものとする。
(指導及び助言)
第12条 知事は,事業活動に係る省エネルギーを推進するため必要があると認めるときは,事業者に対し,省エネルギー判断基準を勘案して,必要な指導又は助言を行うことができる。
(報告の提出及び徴収)
第13条 次の各号のいずれかに該当する事業場(省エネルギー特定事業場)を設置し,又は管理する者は,規則で定めるところにより,省エネルギーの推進に係る業務の状況を知事に報告しなければならない。
(1) 化石燃料の使用量が,規則で定める要件に該当する事業場
(2) 電気の使用量が,規則で定める要件に該当する事業場
(3) 前2号に掲げるもののほか,省エネルギーの推進のため特に必要があると認めて知事が指定した事業場
2 知事は,この章の規定の施行に必要な限度において,事業者に対し,省エネルギーの推進に係る業務の状況について報告を求めることができる。
(省エネルギー設備等の整備等)
第14条 県及び市町村は,地域における省エネルギーを推進するため,ソーラーシステムその他の自然エネルギーを利用する設備,廃棄物発電設備,廃熱を利用した地域冷暖房システムなどの未利用エネルギーを利用する設備その他の省エネルギー設備等の整備の促進に努めるものとする。
2 県及び市町村は,地域における省エネルギーを推進するため,効率的な交通システムの構築に努めるものとする。
第3章 省資源の推進
(省資源基本方針)
第15条 知事は,省資源を推進するための基本的な方針を定め,これを公表するものとする。
(日常生活における省資源)
第16条 県民は,その日常生活において,消費財等の合理的利用,簡易包装の商品や再生資源を利用した商品の購入その他省資源の推進に努めなければならない。
2 県民は,自らリサイクルに努めるほか,市町村が実施する廃棄物の分別収集その他廃棄物の減量化及び回収のための施策に協力しなければならない。
(事業活動における省資源)
第17条 事業者は,生産,流通,販売,サービスの提供その他の事業活動において,自ら省資源に関する計画を定めて,省資源の推進に努めなければならない。
2 製品の製造,加工又は販売(以下この項において「製造等」という。)を行う事業者は,その製造等に係る製品(製品を包装し,又は梱包する場合の当該包装材又は梱包材を含む。)が廃棄物となった場合におけるリサイクルの容易性等について,事前に,科学的かつ客観的な評価を行うことにより,計画的な省資源の推進に努めなければならない。
(事業者の省資源に関する判断の基準)
第18条 知事は,事業活動における省資源の推進を図るため,次の各号に定める事項について,省資源に関する技術の水準その他の事情を勘案して,事業者の省資源に関する判断の基準(以下「省資源判断基準」という。)を定めるものとする。
(1) 再生資源の利用に関する事項
(2) 再生品の使用に関する事項
(3) 梱包材の使用に関する事項
(4) 包装の簡素化に関する事項
(5) 廃棄物の減量化に関する事項
2 省資源判断基準は,省資源に関する技術の水準その他の事情の変動に応じて必要な改定を行うものとする。
(指導及び助言)
第19条 知事は,事業活動に係る省資源を推進するため必要があると認めるときは,事業者に対し,省資源判断基準を勘案して,必要な指導又は助言を行うことができる。
(報告の提出及び徴収)
第20条 次の各号のいずれかに該当する事業場(省資源特定事業場)を設置し,又は管理する者は,規則で定めるところにより,省資源の推進に係る業務の状況を知事に報告しなければならない。
(1) 従業員数が,規則で定める要件に該当する事業場
(2) 産業廃棄物の排出量が,規則で定める要件に該当する事業場
(3) 電気事業法(昭和39年法律第170号)第2条第1項第7号に規定する電気事業を営む者の事業場(原子力発電に係るものを除く。)であって,発電能力が規則で定める要件に該当するもの
(4) 前3号に掲げるもののほか,省資源の推進のため特に必要があると認めて知事が指定した事業場
2 知事は,この章の規定の施行に必要な限度において,事業者に対し,省資源の推進に係る業務の状況について報告を求めることができる。
(平8条例49・一部改正)
(再生品等の使用拡大)
第21条 県及び市町村は,省資源を推進するため,知事が定める再生品等の使用に関する基準に従い,再生品又はリサイクルが容易な物品の使用に努めるものとする。
第4章 ごみの散乱防止
(ごみ散乱防止基本方針)
第22条 知事は,散乱しているごみについて,資源の循環を促進し,環境への負荷の低減を図るため,ごみの散乱の防止に関する基本的な方針を定め,これを公表するものとする。
(日常生活におけるごみ散乱防止)
第23条 県民は,その日常生活において,屋外で生じたごみを屋内に持ち帰り,又は回収容器に収納するなどして,みだりにごみを捨て,又は散乱させないよう努めなければならない。
(事業活動におけるごみ散乱防止)
第24条 事業者は,その事業活動において,ごみの散乱防止に関する啓発・広報の実施その他ごみの散乱防止に努めなければならない。
2 容器入り飲食料を販売する事業者は,当該容器入り飲食料を販売する場所に回収容器を設置するとともに,回収容器及びその周辺を適正に管理しなければならない。
(土地所有者等のごみ散乱防止)
第25条 土地を所有し,占有し,又は管理する者は,当該土地の清掃の実施その他ごみが捨てられない環境づくりに努めなければならない。
(印刷物を配布する者のごみ散乱防止)
第26条 屋外(屋外に接続する公共の場所を含む。)で広告用の印刷物等を配布する者は,その配布場所周辺の清掃の実施その他配布した印刷物等の散乱防止に努めなければならない。
(市町村の協力等)
第27条 市町村は,地域環境の保全のためごみの散乱防止に関する施策を実施するに当たっては,環境への負荷の低減を図るため,県の施策に協力し,この章に定める事項に配慮して行うよう努めなければならない。
2 知事は,前項の趣旨に従って施策を実施する市町村に対し,必要に応じ,技術的又は財政的な援助に関する措置を講ずるよう努めなければならない。
第5章 緑化の推進
(緑化基本方針)
第28条 知事は,緑化を推進するための基本的な方針を定め,これを公表するものとする。
(県民の行う緑化)
第29条 県民は,その所有し,占有し,又は管理する土地の緑化に努めなければならない。
(事業者の行う緑化)
第30条 事業者は,その事業場について,自ら計画を定めて,緑化に努めなければならない。
(事業者の緑化に関する判断の基準)
第31条 知事は,事業場の緑化の推進を図るため,次の各号に定める事項について,緑化に関する技術の水準その他の事情を勘案して,事業者の緑化に関する判断の基準(以下「緑化判断基準」という。)を定めるものとする。
(1) 事業場の敷地面積に対する緑地面積の比率に関する事項
(2) 緑化の方法に関する事項
(3) 緑化に伴う野生生物への配慮に関する事項
2 緑化判断基準は,緑化に関する技術の水準その他の事情の変動に応じて必要な改定を行うものとする。
(指導及び助言)
第32条 知事は,事業場の緑化を推進するため必要があると認めるときは,事業者に対し,緑化判断基準を勘案して,必要な指導又は助言を行うことができる。
(報告の提出及び徴収)
第33条 次の各号のいずれかに該当する事業場(緑化特定事業場)を設置し,又は管理する者は,規則で定めるところにより,緑化の推進に係る業務の状況を知事に報告しなければならない。
(1) 事業場の敷地面積が,規則で定める要件に該当する事業場
(2) 前号に掲げるもののほか,緑化の推進のため特に必要があると認めて知事が指定した事業場
2 知事は,この章の規定の施行に必要な限度において,事業者に対し,緑化の推進に係る業務の状況について報告を求めることができる。
(公共施設の緑化)
第34条 規則で定める公共の用に供する施設(以下「公共施設」という。)の設置者は,知事が定める公共施設の緑化に関する基準に従い,その緑化に努めなければならない。
第6章 県民運動の推進
(地球環境保全行動の日)
第35条 地球環境の保全についての県民及び事業者の理解と関心を深めるとともに,積極的に地球環境保全行動を促進する意欲を高めるため,地球環境保全行動の日を設ける。
2 地球環境保全行動の日は,6月5日とする。
(地球環境保全に関する団体の育成等)
第36条 県は,市町村の協力を得て,地球環境保全に関する県民運動を実施し,若しくは助長する団体を育成し,又はその活動を援助するよう努めるものとする。
(教育の充実等の施策)
第37条 県は,地球環境保全に関する県民の理解を深め,地球環境保全行動の促進を図るため,地球環境保全に関する教育の充実,学習の機会の確保,情報の収集・提供その他必要な施策(以下「教育の充実等の施策」という。)を実施するものとする。
2 市町村は,県が実施する前項の施策に協力するとともに,地域の特性に応じた教育の充実等の施策の実施に努めるものとする。
第7章 雑則
(地域開発事業等の実施に当たっての配慮)
第38条 住宅団地又は工業団地の造成その他の地域開発事業を行う者は,その実施に当たっては,当該事業の実施に伴う環境への負荷の低減について配慮するとともに,地球環境保全行動のための措置を講ずるよう努めなければならない。
(調査研究)
第39条 県は,地球環境保全行動の促進に関する技術の開発及び調査研究並びにその成果の普及等の措置を講ずるものとする。
(支援措置)
第40条 県は,地球環境保全行動の促進に関する施策を実施する市町村に対し,必要に応じ,技術的又は財政的な援助に関する措置を講ずるよう努めなければならない。
2 県は,地球環境保全行動に積極的に取り組む事業者に対し,必要に応じ,資金の融資のあっせんその他の援助に関する措置を講ずるよう努めなければならない。
(委任)
第41条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
付則
1 この条例は,平成7年10月1日から施行する。
2 茨城県空き缶散乱防止に関する条例(昭和58年茨城県条例第27号)は,廃止する。
付則(平成8年条例第48号)抄
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
付則(平成8年条例第49号)
この条例は,公布の日から施行する。