○茨城県省資源基本方針

平成7年10月11日

茨城県告示第1129号―4

茨城県地球環境保全行動条例(平成7年茨城県条例第10号)第15条の規定により,省資源を推進するための基本的な方針として茨城県省資源基本方針を次のように定めたので,同条の規定により公表する。

茨城県省資源基本方針

我が国は,戦後,急激な経済成長を遂げ,現在では,世界の国民総生産の約15パーセントを占める経済大国となっている。

しかし,この経済の拡大は,エネルギーと資源を大量に消費する「大量生産,大量消費,大量廃棄型」の生産構造や生活様式を基になされてきたものであり,こうした経済の拡大は,資源の採取並びに製品の生産,流通,消費及び廃棄の各段階において,環境に影響を与える物質や廃棄物の大量排出をもたらすなど,環境に大きな負荷を与えている。

日本,米国,欧州等の先進諸国の経済活動に伴う環境への負荷は,開発途上国における人口の増加等による環境への負荷の増大と相まって,地球の温暖化,酸性雨などの地球規模の環境問題を引き起こし,人類の将来に大きな脅威を与えている。

これらの地球環境問題を解決するためには,生活行動や事業活動において,化石燃料などの合理的使用を図る一方,資源の節約,廃棄物の減量化及びリサイクルを進め環境への負荷を低減する「循環型社会」の構築を,県民,事業者及び行政の全ての主体の参画の下に進める必要がある。

本県は,戦後,全国でもトップレベルの県内総生産の拡大と生活水準の上昇をみたが,それとともに廃棄物排出量も大きく増加してきており,景気の低迷や廃棄物の減量化及びリサイクルの推進により,ここ数年,停滞又は減少傾向にあるものの,なお平成5年度の一般廃棄物(ごみ)排出量は100万トン,同じく産業廃棄物排出量は714万トンとなっている。

一方,本県の廃棄物のリサイクルの状況は,集団資源回収によるものを除いた一般廃棄物のリサイクル率が8.9%,産業廃棄物のそれは24.6%となっており,今後更に資源の節約,廃棄物の減量化及びリサイクルの省資源行動を進めることが求められている。

このため,行政,事業者及び県民が一体となって省資源行動を総合的かつ計画的に推進していくことを目指して,「茨城県地球環境保全行動条例」の理念の下,この基本方針を定める。

第1 省資源の基本目標

廃棄物のなくなる社会を目指し,県民,事業者及び行政が適正な役割分担の下に持続的発展が可能な資源循環型の社会システムを構築すべく,第1には,資源を節約して廃棄物の発生を抑制し,第2には,使用済製品の再使用を進め,第3には,回収された廃棄物を原材料として再生利用するとともに,それが技術的に困難である場合や環境保全上適正でない場合は,環境保全対策に万全を期しつつエネルギーとしての利用を推進していくものとする。

特に,廃棄物の排出に関しては,一般廃棄物(ごみ)については平成12年度における県内の予想排出量の26パーセントの削減を達成すること,産業廃棄物については別に定める茨城県産業廃棄物処理計画に沿って技術的経済的に可能な限り削減することを目標とする。

第2 省資源の推進

1 県民の日常生活における省資源

ア リサイクル商品等の選択

商品の選択に当たっては,環境に配慮した商品市場の育成に貢献するため,長持ちする商品,再利用ができる商品又は再生資源を利用した商品(再生品)を積極的に選択する。

また,環境への負荷の低減に資するエコマーク商品等を購入するよう努める。

イ 消費財等の合理的使用による節約及び長期間使用の推進

家電製品や家具等の耐久消費財や衣類などの消耗品などを含め,自ら使用する物品の合理的使用による節約を図るとともに,物品の長期間使用に努める。

また,故障等が発生した際には,可能な限り修繕して使用する。

さらに,フリーマーケットやリサイクルショップの活用に努めるなど,不用品をごみにしない工夫をする。

ウ 過剰包装の辞退

買物の際には買物袋を持参し,自ら使用する商品の購入の際には極力包装を辞退するとともに,贈答品の購入の際にも簡易包装に努める。

エ ごみの排出の抑制及びリサイクルの推進

ごみになった際の廃棄量が少ない商品を購入するとともに,ごみを排出するに当たっては,生ごみについては堆肥化等を推進する一方,集団資源回収や市町村等が実施する分別収集に協力するなど,ごみの分別排出,リサイクルに努め,ごみの排出を極力抑制する。

オ 省資源に関する環境学習の推進

地球環境の保全に向けて,様々な学習機会を通して,消費者としての省資源についての理解と関心を深めることに努める。

カ 省資源運動への参加

積極的に省資源を進めるため,省資源に関する運動をしている団体の活動に参加するよう努める。

2 事業活動における省資源

(1) 事業者の共通的事項

ア 省資源管理体制の整備並びに省資源計画の策定及び執行管理

省資源の推進に関する管理体制を整備するとともに,省資源の推進に関する計画を自ら定めて,その執行を管理することにより事業活動における省資源行動を推進する。

イ リサイクル商品等の選択

商品の選択に当たっては,環境に配慮した商品市場の育成に貢献するため,長持ちする商品,再利用ができる商品又は再生資源を利用した商品(再生品)を積極的に選択する。また,環境への負荷の低減に資するエコマーク商品等を購入するよう努める。

ウ 消費財等の合理的使用による節約及び長期間使用の推進

自ら使用する消費財及び消耗品等の合理的使用による節約を図るとともに,物品の長期間使用に努める。

エ 廃棄物の排出の抑制及びリサイクルの推進

廃棄物になった際の廃棄量が少ない商品を購入するとともに,廃棄物を排出するに当たっては,資源となるものを分別してリサイクルを推進し,廃棄物の排出を極力抑制する。

また,リサイクルを推進するための共同処理・共同資源回収活動や資源化のための施設の整備に努める。

オ 容器包装廃棄物のリサイクルの推進

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成7年法律第112号)に基づく事業者の責務を果たしつつ,容器包装廃棄物の再商品化を推進する。

カ 省資源意識の高揚

従業員の省資源についての理解と関心を深めることに努めるとともに,消費者の省資源に関する意識の高揚や省資源活動等への支援等に努める。

キ 省資源運動への参加等

積極的に省資源を進めるため,省資源に関する運動団体の活動への参加又は支援に努める。

(2) 生産事業者に関する事項

ア 製品等のライフサイクルアセスメントの推進

製品等の開発・製造に当たって,原料の採取並びに製品等の生産,流通,使用,リサイクル及び廃棄のライフサイクル全体にわたって,可能な限り環境への負荷を定量的,科学的及び客観的に評価し,当該製品等による環境負荷の低減に努める。

イ リサイクルを容易にする製品生産等へのシフト

開発・設計の段階から製品アセスメントを実施し,繰り返し使用できる製品,修理や部品交換が容易で長寿命な製品及び再資源化が容易な製品の製造に努める。

また,製品の長寿命化を図るための修理・部品交換体制を整備するとともに,その情報を提供し,修理費の低廉化を図るなどサービスの向上に努める。

ウ 再生資源の利用の推進

再生資源を原料とした製品の開発・製造に努めるなど,再生資源の利用の推進を図る。

また,再生資源を利用するための設備・機器の導入を推進する。

エ リサイクルにおける環境配慮

リサイクルを推進するに当たっては,再生資源を利用した製品等に含まれる可能性のある有害物質などが環境に与える影響について十分に配慮する。

オ 梱包材の使用量の削減

製品出荷時の梱包については,商品の保護及び輸送の安全性等配送上必要最低限の梱包にとどめ,可能な限り,その使用量を削減する。

また,その再利用及び再生利用に努める。

(3) 建設事業者に関する事項

ア 建設副産物の排出の抑制

建設工事に伴い,副次的に発生する建設副産物の排出を抑制する施工方法及び資材の選択に努めること。

イ 再生資源の利用の推進

建設工事に伴って生じる土砂,汚泥,廃材等の再生することができる資源については,情報交換の推進等による広域的な利用を行うなどして,そのリサイクルを推進する。

(4) 流通事業者に関する事項

ア リサイクル商品等の品揃えの拡大及び販売の推進

販売する商品を事前に評価し,リサイクル商品や環境負荷の低減に資する商品の品揃えを拡大し,当該商品の販売を推進する。

イ 簡易包装等の推進

簡易包装を推進するための自主管理基準を定め,買物袋の有料化など包装材の使用の削減に資する措置や簡易な包装に努めるとともに,配送ケース等をリサイクルするシステムの導入に努める。

ウ リサイクルの推進のための回収システムの導入

リサイクルを推進するため,商品の流通経路を利用した再資源化ルートづくりなどの資源の回収システムの導入に努める。

(5) 再生資源事業者に関する事項

ア 経営基盤の安定

リサイクル関連産業の主要な担い手として,安定した経営を行っていく必要があるため,再生資源事業者間の組織づくりや相互の情報交換を推進するとともに,行政と協力しながら市場の拡大に努める。

イ 回収ルートの整備拡大

生産事業者,流通事業者等に対して,リサイクルを推進するための情報を提供するとともに,これらの関係者と協同して回収ルートの整備拡大に努める。

ウ 分別方法に関する情報の提供

県民や事業者等に対して,再生資源の品質の向上に資する分別方法に関する情報の提供に努める。

3 省資源を促進するための施策

(1) 県の施策

ア 率先実行計画の策定

省資源を推進するための率先実行計画を策定し,率先してリサイクル商品等を選択するとともに,消費財等の合理的使用に努める。

また,建設資材についても積極的に再生資源の活用に努める。

イ 廃棄物の減量化等に関する計画の策定及び施策の推進

廃棄物の減量化等に関する計画を策定し,計画的に廃棄物の減量化,リサイクル等の省資源を進めるための施策を推進する。

ウ 市町村等への支援

市町村等に対して,省資源を推進するための指導,助言などの技術的又は財政的な支援に努める。

エ 事業者への指導及び支援等

事業者の省資源に関する計画の策定や技術面の対応について指導及び助言を行うとともに,再資源化設備に係る資金融資等のあっせんに努める。

また,省資源に積極的に取り組んでいる優良な事業所に対する顕彰制度等の創設を図る。

オ リサイクル関連産業の育成

新しいリサイクル技術の情報提供やリサイクルに関連するベンチャー企業への支援などによりリサイクル関連産業の育成を図る。

また,廃棄物再生事業者登録制度を活用して,再生資源の資源化ルートを担う廃棄物再生事業者の健全育成に努める。

カ リサイクル技術の開発及び普及

リサイクルを推進するため,公的試験研究機関における研究・技術開発や事業者との共同研究,異業種間交流の促進等を進めることにより,リサイクル技術の開発及び普及に努める。

キ 広域的なリサイクルルートの整備

再生資源の円滑なリサイクルを推進するため,廃棄物の再利用をあっせんする制度等の充実強化や地域における再生資源の回収ルート,資源化ルートなどの総合的なリサイクルルートの整備を促進する。

ク 環境教育,環境学習等の推進

幼少期から省資源に関する意識を育てるための環境教育や県民の省資源に関する理解と関心を深めるための環境学習を促進するとともに,省資源に関する啓発事業を積極的に推進する。

ケ 県民運動の育成及び援助

市町村の協力を得て,省資源に関する県民運動を繰り広げる団体を育成し,その活動を援助するなど県民運動の促進を図る。

コ 国への働きかけ

省資源を推進するため,デポジット制度などの経済的手法の導入,製品規格の統一,再生資源市場の拡大・安定化対策など国レベルでの対応が求められるものについては,国に対して積極的に働きかけていく。

(2) 市町村の施策

ア 率先実行計画の策定

省資源を推進するための率先実行計画を策定し,率先してリサイクル商品等を選択するとともに,消費財等の合理的使用に努める。

また,建設資材についても積極的に再生資源の活用に努める。

イ ごみ減量化等に関する計画の策定及び施策の推進

ごみ減量化や分別収集等に関する計画を策定し,その計画に基づき容器包装を始めとした資源の分別収集の徹底,住民団体や廃棄物再生事業者等への支援,住民啓発活動などのごみ減量化・リサイクル等の省資源を促進するための施策の推進に努める。

ウ 従量制によるごみ処理手数料の徴収

ごみの排出者にコスト意識を生じさせ,減量化の動機付けを与えるため従量制によるごみ処理手数料制度の導入に努める。

エ 一般廃棄物の資源化施設の整備

一般廃棄物(ごみ)のリサイクルを効率的に行うため,広域的な連携を図りながら,資源を分別するための施設,焼却灰の溶融固化施設,ごみの固形燃料化施設等やごみ焼却場に設置する廃棄物発電設備,余熱利用設備等の整備を推進する。

オ 環境教育,環境学習等の推進

幼少期から省資源に関する意識を育てるための環境教育や地域住民の省資源に関する理解と関心を深めるための環境学習を促進するとともに,省資源に関する啓発事業を積極的に推進する。

カ 住民運動の育成及び援助

県の施策と相まって,省資源に関する住民運動を繰り広げる団体を育成し,その活動を援助するなど住民運動の促進を図る。

茨城県省資源基本方針

平成7年10月11日 告示第1129号の4

(平成7年10月11日施行)

体系情報
第7編 生/第4章 環境保全/第1節
沿革情報
平成7年10月11日 告示第1129号の4