○茨城県ごみ散乱防止基本方針

平成7年10月11日

茨城県告示第1129号―7

茨城県地球環境保全行動条例(平成7年茨城県条例第10号)第22条の規定により,ごみの散乱の防止に関する基本的な方針として茨城県ごみ散乱防止基本方針を次のとおり定めたので,同条の規定により公表する。

茨城県ごみ散乱防止基本方針

空き缶や空き瓶などのごみの散乱問題は,現在,地球環境に大きな負荷を与えている「大量生産,大量消費,大量廃棄型」の生活様式の普及とともに,昭和50年代初期の頃から社会問題化してきた。こうしたごみの散乱は,美しい環境を損ね,快適な生活環境や地域の生態系を壊すばかりでなく,地球環境を保全するうえで重要な,廃棄物を再利用及び再生利用する資源循環型の社会経済システムを著しく阻害する要因となるため,県民,事業者及び行政の全ての主体の参画の下に,その解消に取り組むことが求められている。

本県においては,筑波研究学園都市での国際科学技術博覧会の開催決定を契機として,昭和50年代後半から,関東地方知事会との広域的な連携の下に空き缶等の散乱防止問題への積極的な取り組みを始め,昭和58年には,茨城県空き缶散乱防止に関する条例を制定するなどして,市町村との役割分担の下に統一キャンペーンなどの様々な行動を展開してきた。

その結果,環境月間には,約30万人が参加して全県下で空き缶などの回収行動が行われるなど着実にごみの散乱に対する県民運動が拡大してきたが,空き缶などのごみがいまだ国道等の幹線道路や海岸・湖岸などに多く見られる状況が跡を絶たず,より一層ごみの散乱防止を図る必要に迫られている。

このため,行政,事業者及び県民が一体となって,積極的にごみの散乱防止を推進していくことを目指して,「茨城県地球環境保全行動条例」の理念の下,この基本方針を定める。

第1 ごみの散乱防止の基本目標

21世紀の世代へ良好な環境を引き継ぐため,県民,事業者及び行政が連携して積極的にごみの散乱防止に取り組み,散乱ごみのない地域環境の形成を目指す。

第2 ごみの散乱防止の推進

1 日常生活におけるごみ散乱防止

(1) ごみの投げ捨ての禁止

ア 県民は,屋外で生じたごみは回収容器に収納するなどしてごみの投げ捨てを行わない。

イ 県民は,自家用車にごみの回収容器を置くなどして車からのごみの投げ捨てを行わない。

ウ 県民は,歩行中や灰皿のないところで喫煙する場合には,携帯用灰皿を持参するなどして投げ捨てを行わない。

(2) 行楽地等におけるごみの持帰りの徹底

県民は,行楽地等に行く場合には,回収袋を持参するなどして自ら発生させたごみは持ち帰る。

(3) ごみの散乱防止に関する環境学習の推進

県民は,ごみの散乱が環境に与える影響についての学習を進めることにより,ごみの散乱防止に関する理解と関心を深めることに努める。

(4) 自主的な清掃活動の実施及び団体の活動への参加等

ア 県民は,ごみの捨てられにくい環境を創出し,かつ,維持するため,地域での一斉清掃活動などへの参加及び自主的清掃活動の実施等により,地域の環境美化に努める。

イ 県民は,ごみの散乱を防止するため,ごみの散乱防止に関する運動をしている団体の活動に参加したり,ごみの散乱防止を進める推進員等地域の美化リーダーの活動に協力するように努める。

2 事業活動におけるごみ散乱防止

(1) 事業者の共通的事項

ア 清掃活動の実施

ごみの捨てられにくい美しい環境の維持及び従業員の意識の高揚のため,事業場周辺の美化に努めるとともに,地域での清掃活動等にも積極的に参加する。

イ 従業員教育の推進

従業員に対し,研修等を通じてごみの散乱防止に関する環境教育を行い,ごみの散乱防止に関する知識の普及と意識の啓発に努める。

ウ 消費者等に対する啓発・広報の実施

消費者や利用者に対して,ごみの散乱防止に関する意識の啓発・広報に努める。

エ ごみの散乱防止に関する県民運動への参加等

従業員が地域での清掃活動等に参加しやすいよう職場環境の整備に努めるとともに,ごみの散乱防止に関する県民運動への参加又は支援に努める。

オ 県及び市町村の施策への協力

市町村の実施する一斉清掃活動等の施策及び県の実施するごみの散乱防止に関する協定の締結等の施策に対して積極的に協力する。

(2) 容器入り飲食料を販売する事業者に関する事項

ア 回収容器の設置と適正管理

容器入り飲食料を販売する場所に回収容器を設置するとともに,回収容器及びその周辺を適正に管理する。

イ 空き缶,空き瓶等のリサイクルの推進

空き缶,空き瓶等を分別収集するなどして空き缶及び空き瓶等のリサイクルを推進する。

3 土地所有者等のごみ散乱防止

(1) 清掃活動の実施

ごみが散乱している状況を放置することは,更にごみの投げ捨てを誘発することにつながるため,土地所有者等は,当該土地の清掃を行うなどしてごみが捨てられない環境づくりに努める。

(2) 県及び市町村の施策への協力

県及び市町村の実施するごみの散乱防止に関する施策に積極的に協力する。

4 印刷物を配布する者のごみ散乱防止

(1) 配布後の清掃の実施

屋外で広告用の印刷物等を配布した後は,配布場所周辺の清掃を行うなど配布した印刷物等の散乱防止に努める。

(2) 県及び市町村の施策への協力

県及び市町村の実施するごみの散乱防止に関する施策に積極的に協力する。

5 ごみの散乱防止のための施策

県及び市町村は,ごみの散乱の未然防止,回収容器の整備及び清掃活動の各段階において各種の施策を講じるとともに,県民及び事業者の協力のもとに一体となってごみの散乱防止に取り組む。

(1) 県の施策

ア 公共施設での回収容器の適正配置及び適正管理

自ら管理する公共施設において,各施設の状況に応じた回収容器の適正配置及びそれらの適正な管理を行う。

イ ごみの散乱防止に関する協定の締結の推進

ごみの散乱防止を事業者と協力して進めるため,ごみの散乱防止に関する協定の締結を推進する。

ウ 環境教育及び普及・啓発事業の推進

県民及び事業者がごみの散乱防止に対する認識を深めるために,学校教育や生涯学習などのあらゆる機会を通して,ごみの散乱防止に関する環境教育及び普及・啓発事業を推進する。

エ 県民運動の育成及び援助

市町村の協力を得て,ごみの散乱防止に関する県民運動を繰り広げる団体を育成し,表彰制度等によりその活動を援助するなど県民運動の推進を図る。

オ ごみの散乱防止に関する調査研究の実施

ごみの散乱防止について,より実効性のある施策を講じるため,現状把握のための調査及びそれに基づく各種対策の研究を行う。

カ 市町村への支援

ごみの散乱防止対策を講じる市町村に財政的及び技術的支援を行う。

また,ごみの散乱防止対策を広域的に進めるために,市町村に対して,ごみの散乱防止を図るための制度化に関する支援を行う。

キ 事業者への支援

事業者に対して,消費者等への啓発及び従業員教育の際の教材に関する情報の提供等の必要な支援を行う。

ク 地域の美化リーダーの育成への支援

市町村の設置するごみの散乱防止を進める推進員等の地域の美化リーダーを対象にした研修や情報提供などを実施し,地域の美化リーダーの育成の支援を行う。

(2) 市町村の施策

ごみの散乱防止を推進するための制度化を進め,それに基づき次に掲げるような各種の施策を実施する。

ア ごみ散乱防止計画の策定

ごみの散乱防止に関する施策を実施するための計画を策定する。

イ 公共施設での回収容器の適正配置及び適正管理

自ら管理する公共施設において,各施設の状況に応じた回収容器の適正配置及びそれらの適正な管理を行う。

ウ 地域の美化リーダーの育成

住民と協力してごみの散乱防止対策を進めるために,ごみの散乱防止を地域でリードする推進員制度の導入を図るなど,地域の美化リーダーの育成を進める。

エ 住民等の集めたごみの資源化ルートの整備

住民等が一斉清掃活動等で回収した空き缶,空き瓶等について,その資源化ルートを整備する。

オ ごみの散乱防止に関するモデル地域の指定

ごみの散乱防止のモデルとなるような地域を指定し,同地域内でのごみの投げ捨ての禁止の徹底並びに散乱性ごみの大きな原因である容器入り飲食料等を販売する自動販売機の設置等に関する届出及び回収容器の設置を推進する。

カ 住民運動の育成及び援助

県の施策と相まって,ごみの散乱防止に関する住民運動を繰り広げる団体を育成し,表彰制度等によりその活動を援助するなど住民運動の推進を図る。

キ 一斉清掃活動の実施

ごみが捨てられない環境を創出し,維持するために,住民や事業者と協力してごみの一斉清掃活動を実施する。

ク 環境教育及び普及・啓発事業の推進

住民及び事業者がごみの散乱防止に対する認識を深めるため,学校教育や生涯学習などのあらゆる機会を通して,ごみの散乱防止に関する環境教育及び普及・啓発事業を推進する。

茨城県ごみ散乱防止基本方針

平成7年10月11日 告示第1129号の7

(平成7年10月11日施行)

体系情報
第7編 生/第4章 環境保全/第1節
沿革情報
平成7年10月11日 告示第1129号の7