○茨城県暴走族等による暴走行為の防止に関する条例
平成15年3月26日
茨城県条例第52号
茨城県暴走族等による暴走行為の防止に関する条例を公布する。
茨城県暴走族等による暴走行為の防止に関する条例
(目的)
第1条 この条例は,暴走族等による暴走行為が県民生活の安全と平穏を著しく害していることにかんがみ,暴走族等による暴走行為の防止に関する県,県民及び事業者の責務を明らかにするとともに,暴走族等による暴走行為の防止のために必要な規制等を定め,もって県民生活の安全と平穏を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「道路」とは,道路交通法(昭和35年法律第105号)第2条第1項第1号に規定する道路をいう。
2 この条例において「暴走行為」とは,次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
(1) 道路交通法第2条第1項第9号に規定する自動車(第12条を除き,以下「自動車」という。)又は同項第10号に規定する原動機付自転車(同条及び第13条を除き,以下「原動機付自転車」という。)を運転する者が,2人以上の人数で,道路において,2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ,又は並進させる場合において,共同して,著しく道路における交通の危険を生じさせ,又は著しく他人に迷惑を及ぼす行為
(2) 自動車又は原動機付自転車(道路交通法第71条の2に規定する内閣府令で定める自動車又は原動機付自転車を除く。以下この号において同じ。)を運転する者が,道路において,道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第41条第11号又は第44条第8号に規定する消音器(第13条を除き,以下「消音器」という。)を備えていない自動車又は原動機付自転車(道路交通法第71条の2に規定する内閣府令で定める改造等を加えた消音器を備えている自動車又は原動機付自転車を含む。)を運転する行為
(3) 自動車又は原動機付自転車を運転する者が,正当な理由がないのに,著しく道路,駐車場,公園その他の公共の場所(以下「公共の場所」という。)における危険を生じさせ,又は著しく他人に迷惑を及ぼす方法で,公共の場所において,自動車若しくは原動機付自転車を急に発進させ,急に転回させ,若しくは滑走させ,若しくはその速度を急激に増加させ,又は自動車若しくは原動機付自転車の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させる行為
3 この条例において「暴走族」とは,暴走行為を行う者の集団をいう。
4 この条例において「暴走族等」とは,暴走族,暴走行為を行う者及び暴走行為が行われることの情を知って暴走行為を行う者が運転する自動車又は原動機付自転車に同乗する者をいう。
(県の責務)
第3条 県は,暴走族等による暴走行為の防止に関する総合的な施策を策定し,及び実施する責務を有する。
2 県は,暴走族等による暴走行為の防止に関する総合的な施策を実施するに当たり,県民及び事業者との連携を図るとともに,県民及び事業者の相互の連携が図られるよう努めるものとする。
(県民の責務)
第4条 県民は,県が実施する暴走族等による暴走行為の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は,その事業活動を行うに当たり,県が実施する暴走族等による暴走行為の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
2 自動車,原動機付自転車又はそれらの部品の販売又は修理を行う事業者は,その事業活動を行うに当たり,暴走族等による暴走行為を助長することのないよう努めなければならない。
3 自動車又は原動機付自転車の燃料の販売を行う事業者は,その事業活動を行うに当たり,暴走族等による暴走行為を助長することのないよう努めなければならない。
4 衣服その他の着用する物又は旗に文字,図形等の刺しゅう又は印刷を行う事業者は,その事業活動を行うに当たり,暴走族等による暴走行為を助長することのないよう努めなければならない。
(基本方針)
第6条 知事,教育委員会及び公安委員会(以下「知事等」という。)は,暴走族等による暴走行為の防止に関する施策の総合的かつ計画的な実施を図るため,暴走族等による暴走行為の防止に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は,次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき暴走族等による暴走行為の防止に関する施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか,暴走族等による暴走行為の防止に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3 知事等は,基本方針を定め,又はこれを変更したときは,これを公表しなければならない。
(暴走行為等が行われるおそれのある施設等に関する県の措置等)
第7条 県は,その設置又は管理に係る道路,駐車場,公園その他の暴走族等により暴走行為が行われ,又は暴走行為を行うため暴走族等が集合するおそれのある施設及び場所について,暴走族等による暴走行為又は暴走行為を行うための暴走族等による集合の防止のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 知事等は,必要と認めるときは,道路,駐車場,公園その他の暴走族等により暴走行為が行われ,又は暴走行為を行うため暴走族等が集合するおそれのある施設又は場所を設置し,又は管理する者に対して,暴走族等による暴走行為又は暴走行為を行うための暴走族等による集合の防止のために必要な措置を講ずることを要請することができる。
(広報活動等)
第8条 県は,県民及び事業者の暴走族等による暴走行為の防止に対する理解と関心を深めるとともに,県民及び事業者による暴走族等による暴走行為の防止に関する自発的な活動を促進するため,必要な広報活動及び情報の提供を行うものとする。
(暴走族相談員)
第9条 公安委員会は,次に掲げる要件を満たしている者のうち適当と認める者に対し,暴走族への加入の防止その他暴走族等による暴走行為の防止に関する相談に応じる業務を委嘱することができる。
(1) 人格及び行動について,社会的信望を有すること。
(2) 業務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。
(3) 生活が安定していること。
(4) 健康で活動力を有すること。
2 前項の規定による委嘱を受けた者(以下「暴走族相談員」という。)は,その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
3 暴走族相談員に関し必要な事項は,公安委員会規則で定める。
(保護者による少年の指導)
第10条 保護者(少年(20歳未満の者をいう。以下同じ。)に対して法律上監護教育の義務のある者及び少年を現に監護する者をいう。以下同じ。)は,法律上監護教育の義務のある少年又は現に監護する少年に対し,暴走族に加入することのないよう指導することに努めなければならない。
2 保護者は,法律上監護教育の義務のある少年又は現に監護する少年が暴走族に加入していることを知ったときは,当該少年に対し,当該暴走族から離脱するよう指導することに努めなければならない。
(暴走行為の勧誘等の禁止)
第11条 何人も,人に対し暴走行為を行うよう勧誘し,又は強制してはならない。
(騒音低減機構が除去された消音器等の譲渡の禁止)
第12条 何人も,暴走行為の用に供することの情を知って,騒音低減機構が除去され,若しくは排気口以外の開口部が設けられた消音器,消音器が切断された道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車(以下この条において「自動車」という。)若しくは同法第2条第3項に規定する原動機付自転車(以下この条及び次条において「原動機付自転車」という。)又は騒音低減機構が除去され,若しくは排気口以外の開口部が設けられた消音器を備えている自動車若しくは原動機付自転車を譲渡してはならない。
(原動機付自転車の消音器の切断等の禁止)
第13条 何人も,正当な理由がないのに,原動機付自転車が備えている道路運送車両法第44条第8号に規定する消音器(以下この条において「消音器」という。)を切断し,消音器の騒音低減機構を除去し,又は消音器に排気口以外の開口部を設けてはならない。
(公共の場所における自動車等の急発進等の禁止)
第14条 何人も,自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては,正当な理由がないのに,著しく公共の場所(道路を除く。以下この条において同じ。)における危険を生じさせ,又は著しく他人に迷惑を及ぼす方法で,公共の場所において,自動車若しくは原動機付自転車を急に発進させ,急に転回させ,若しくは滑走させ,若しくはその速度を急激に増加させ,又は自動車若しくは原動機付自転車の原動機の動力を車輪に伝達させないで原動機の回転数を増加させてはならない。
(暴走行為をあおることの禁止)
第15条 何人も,公共の場所において,集合し,又は群がって,人に暴走行為を行わせ,又は現に行われている暴走行為を助長する目的で,声援,拍手,手振り,身振り又は旗,鉄パイプその他これらに類する物を振る行為により,暴走行為をあおってはならない。
(暴走行為を行うことを容認する対償の要求等の禁止)
第16条 何人も,暴走行為を行うことを容認する対償として,暴走族等に対し金品その他の財産上の利益(以下「金品等」という。)の供与若しくは役務の提供を要求し,暴走族等をして金品等の供与若しくは役務の提供を約束させ,又は暴走族等から金品等の供与若しくは役務の提供を受けてはならない。
(公衆に不安等を覚えさせることの禁止)
第17条 何人も,祭礼,興行その他の催物に際し,公衆が集まっている公共の場所において,集合し,共同して,暴走族であることを誇示する文字,図形等が表示された衣服その他の物を着用し,暴走族であることを誇示する文字,図形等が表示された旗を掲げ,又は人声を大きく出して,公衆に不安又は恐怖を覚えさせてはならない。
(暴走族相談員の業務の妨害の禁止)
第18条 何人も,暴走族相談員の業務を妨害してはならない。
(適用上の注意)
第19条 この条例の適用に当たっては,国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。
(罰則)
第20条 次の各号のいずれかに該当する者は,10万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条の規定に違反した者
(2) 第13条の規定に違反した者
(3) 第14条の規定に違反した者
(4) 第15条の規定に違反した者
(5) 第16条の規定に違反した者
付則
この条例は,平成15年7月1日から施行する。