○茨城県県産木材利用促進条例

平成26年3月26日

茨城県条例第30号

茨城県県産木材利用促進条例を公布する。

茨城県県産木材利用促進条例

本県の林業及び木材産業は,林産物の生産を通して,水源を涵養し,県土を洪水や土砂災害から守り,自然との触れ合いや保健休養の場を提供するなど,森林の有する多面的機能を発揮する上で,重要な役割を果たしてきた。

また,木材は環境への負荷が少なく,再生産が可能であることから,循環型社会を形成する上で重要であり,木材を化石燃料の代わりにエネルギーとして利用し,地球温暖化の防止に貢献することや,建築資材等を環境に優しい木材に転換することにより低炭素社会づくりを進めることなど,木材利用の拡大に対する期待が高まっている。

ここに,私たちは,木材が人に優しく,環境に負荷の少ない資源であることを認識し,県及び関係者が協働し,県産木材の幅広い利用を進めることを決意し,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,県産木材の利用の促進に関し,基本理念を定め,県の責務並びに森林所有者,林業事業者,木材産業事業者及び建築関係事業者の役割を明らかにするとともに,県産木材の利用の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより,県産木材の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって森林の有する多面的機能の持続的な発揮,林業及び木材産業の健全な発展並びに木材の積極的な利用による循環型社会の形成に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 県産木材 県内で生産された木材をいう。

(2) 森林の有する多面的機能 県土の保全,災害の防止,水源の涵養,自然環境の保全,公衆の保健,地球温暖化の防止,林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能をいう。

(3) 森林所有者 森林法(昭和26年法律第249号)第2条第2項に規定する森林所有者をいう。

(4) 林業事業者 森林施業(造林,保育,伐採その他の森林における施業をいう。以下同じ。)を行う者をいう。

(5) 木材産業事業者 木材の加工又は流通の事業を行う者をいう。

(6) 建築関係事業者 建築物の設計又は施工の事業を行う者をいう。

(基本理念)

第3条 県産木材の利用の促進は,森林の有する多面的機能の恩恵に感謝しつつ,森林資源が枯渇することがないよう次代に引き継ぐとともに,循環型社会の形成に資するよう持続的に行わなければならない。

(県の責務)

第4条 県は,前条に定める基本理念にのっとり,県産木材の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し,及び実施する責務を有する。

2 県は,前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては,森林所有者,林業事業者,木材産業事業者,建築関係事業者及び県民との協働に努めるとともに,国及び市町村と緊密な連携を図るものとする。

(森林所有者の役割)

第5条 森林所有者は,県が実施する県産木材の利用の促進に関する施策に協力するとともに,森林の有する多面的機能が持続的に発揮されるよう,その所有する森林の適切な整備及び保全に積極的に努めるものとする。

(林業事業者の役割)

第6条 林業事業者は,県が実施する県産木材の利用の促進に関する施策に協力するとともに,地域における森林の経営の中核的な担い手として,森林の適切な整備及び保全,林業の振興並びに良質な県産木材の安定的な供給に積極的に努めるものとする。

(木材産業事業者の役割)

第7条 木材産業事業者は,県が実施する県産木材の利用の促進に関する施策に協力するとともに,県産木材の有効利用及び安定供給の推進,高品質な建築用材の開発,県産木材の新たな用途の開発その他の木材産業の振興に積極的に努めるものとする。

(建築関係事業者の役割)

第8条 建築関係事業者は,県が実施する県産木材の利用の促進に関する施策に協力するとともに,自らの事業活動を通じて,県産木材に係る知識の習得,県産木材の積極的な利用及び普及,木造建築技術の継承及び一層の向上並びに人材の育成に努めるものとする。

(県民の協力)

第9条 県民は,県が実施する県産木材の利用の促進に関する施策に協力するとともに,木材が人に優しく,環境に負荷の少ない資源であることを認識し,日常生活及び事業活動を通じて,県産木材の積極的な利用に協力するよう努めるものとする。

(県産木材の利用の促進に関する指針)

第10条 知事は,県産木材の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,県産木材の利用の促進に関する基本的な指針(以下この条において「利用指針」という。)を策定するものとする。

2 利用指針においては,次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 県産木材の利用の促進に関する取組方針及び目標

(2) 県産木材の利用及び供給の確保に関する基本的事項

(3) 前2号に掲げるもののほか,県産木材の利用の促進に関する必要な事項

3 知事は,利用指針を定め,又はこれを変更したときは,遅滞なくこれを公表するとともに,市町村長に通知しなければならない。

(県産木材の安定供給の推進)

第11条 県は,県産木材の安定供給を推進するため,高性能な林業機械の導入の推進,森林における路網の計画的な整備,森林施業の集約化及び合理化の促進その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(県産木材の流通加工体制の整備)

第12条 県は,県産木材の流通加工体制の整備を推進するため,木材の加工施設,流通施設等の整備への支援,製材工場等における生産性の向上への支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(県産木材の利用の促進)

第13条 県は,県産木材の利用の促進を図るため,県産木材の認証制度の推進,公共施設等及び公共土木工事等における県産木材の利用の推進,県産木材を使用する住宅等の建設の促進,県産木材の生産及び利用を担う人材の育成その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(木質バイオマスの利活用の促進)

第14条 県は,未利用間伐材等の木質バイオマスの利活用の促進を図るため,木質バイオマス施設の整備への支援,農業,畜産業,工業等への新たな利用を推進するための調査及び情報収集その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(市町村に対する支援)

第15条 県は,市町村が実施する県産木材の利用の促進に関する施策を支援するため,情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(普及啓発)

第16条 県は,県民が木に親しみ触れ合い,木材の良さ及びその利用の意義を学ぶ機会の確保,木の文化の普及啓発,県産木材の利用の促進に関する情報の発信その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

2 県は,県産木材の利用の促進に関し特に顕著な功績があると認められる者に対し,表彰を行うよう努めるものとする。

(県産木材利用推進月間)

第17条 県民等の間に広く県産木材についての関心及び理解を深めるとともに,積極的に県産木材を利用する意欲を高めるため,県産木材利用推進月間を設ける。

2 県産木材利用推進月間は,毎年10月とする。

(年次報告)

第18条 知事は,毎年度,県産木材の利用の促進に関して講じた施策の実施状況及び成果を取りまとめ,議会に対し報告するとともに,これを公表するものとする。

(令5条例34・追加)

(財政上の措置)

第19条 県は,県産木材の利用の促進に関する施策を実施するため,必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(令5条例34・旧第18条繰下)

この条例は,平成26年4月1日から施行する。

(令和5年条例第34号)

この条例は、公布の日から施行する。

茨城県県産木材利用促進条例

平成26年3月26日 条例第30号

(令和5年9月29日施行)