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平成25年度 第5回霞ヶ浦野外講座 夏の里山の植物と湖岸植生の消長

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概要

かすみがうら市宍倉戸沢池周辺の里山を歩きました。バス車内でパートナーの二階堂さんから類似種の見分け方について解説していただきました。皆さん予備知識十分です。
戸沢池は周辺の里山からの絞り水を集めた溜め池です。上部には水生植物の観察路がありますが,増水して水没していました。湿地帯にはオギ・ヨシが繁茂しています。イヌゴマの群落があり一面淡紅色の唇形花で覆われています。ヌマトラノオは花穂の上部に白い花をつけています。茨城県準絶滅危惧種にあげられているホソバイヌタデの群落も見られます。ノカンゾウ・キショウブ・チゴザサ・コシロネなども見られます。水辺にはオオイヌタデ・アキノウナギツカミ・ウキヤガラ・アオガヤツリ・シロガヤツリなども見られます。コウヤワラビの胞子葉が突き出ています。
周辺の里山にはコナラ・クヌギ林,竹林,スギ・ヒノキ林などがあります。ベニシダ・リョウメンシダ・オクマワラビ・イノデ・アスカイノデ・アイアスカイノデ・ヤブソテツ・イワガネゼンマイ・ミドリヒメワラビ・ハリガネワラビなどシダ植物が見られます。ミズヒキ・キンミズヒキ・マンリョウ・フジカンゾウ・ハエドクソウなども見られます。
今回の観察会では172種類観察しました。

 

湖岸復元の考え方とその実例について岩波さんから資料を用いての講話がありました。1980年までは霞ヶ浦のヨシ原拡大の心配があった。1990年代に湖岸植生帯の減少が始まり,その要因として@湖岸堤建設による直接・間接的影響,A水位の変化,B水質の悪化が指摘され,復元工法や復元の効果が検証された。
平成23年の霞ヶ浦開発事業―定期報告書によると,湖岸植生面積は約100haであり,近年6カ年で約5.7%減少している。引き続き植生調査を継続する旨が報告されている。さらに,航路維持等浚渫土を活用した前浜造成は今後も継続するとのことである。
かすみがうら市柏崎湖岸のヨシ原再生事業は,最初に手がけられた事業で湖岸に堤防を築き内面にヨシを植栽して魚の産卵場を確保する目的で行われた。現在はヨシが繁茂しヤナギ・ヨシ群落を形成している。


かすみがうら市柏崎湖岸で研修


戸沢池の湿地

 


イヌゴマ(シソ科)


ノカンゾウ(ユリ科)

 


ヌマトラノオ(サクラソウ科)


ホソバイヌタデ(タデ科)