トップページ > イベント情報 > イベント結果(平成25年10月から12月まで) >平成25年度 第9回霞ヶ浦野外講座 

平成25年度 第9回霞ヶ浦野外講座 冬の湖岸植物と漁業集落の変化

写真

概要

歩崎観音近くの崎浜湖岸を歩きました。沖には波浪対策の人工リーフが築かれ湖岸植生が維持されています。植生はヨシ・ヤナギ群落です。ヨシ・セイタカヨシ・オギ・クサヨシ・ヤナギタデ・キショウブ・ミゾソバ・イヌタデ・オオイヌタデ・メドハギ・セリ・キシュウスズメノヒエ・ヒロハホウキギク・チガヤなどの草本が見られます。タチヤナギ・アカメヤナギなどヤナギ類,ネズミモチ・トウネズミモチ・タブノキ・エノキ・マユミなどの樹木が点在します。クコが赤い実をつけています。スイカズラは黒い実をつけ葉は縁を内側に巻き込んだ冬葉をつけています。ノイバラの赤い実はひときは目立ちます。

堤内には,オオフサモが水路一面を覆って繁茂しています。ビナンカズラの赤い集合果,ツルウメモドキの黄赤色の実,カラスウリの赤い実,スズメウリの白い実,ヘクソカズラの茶色の実などつる性植物が実をつけています。ムクノキは関東以西に分布し,熟した黒紫色の実は大変甘い味がしました。

センダンは栽培逸出種です。果実は黄褐色に熟し,葉は2〜3回羽状複葉で落葉した後も果実は残っています。サポニンを多く含むため有毒です。湖岸に生育していたナンキンハゼも栽培逸出種です。果実は朔果で白い蝋状物質に包まれた種子が3個出てきます。この種子からロウを採ったそうです。種子は有毒です。葉は菱形状広卵形で先端が急に尖ります。種子の形はセンダンとよく似ているため間違いやすい植物です。

観察会では143種類の植物を確認しました。

午後は志戸崎と崎浜の漁業集落の変遷について,岩波さんから資料を用いての話がありました。

志戸崎は霞ヶ浦四十八津に名を連ねた漁業を中心に生業を営んでいた。漁業の振興に伴って町場ができ製造業や卸売業,娯楽・サービス業などが最盛期を迎えた時代があった。湖水浴場は最大の観光施設であった。その町並みをたどって歩いたが,痕跡すら認められないほど時代の流れを感じました。

崎浜は広大なヨシ原があり,ヨシの入札制度によりヨシはムラの財源となった。ヨシを刈った後は火入れをしなくとも「湖岸がきれいになってしまう」ほどにヨシを活用していた。今はその場所は見る影もなく荒れ果てている。ここでも時代の流れを感じると同時に湖岸に住む住民がいかに霞ヶ浦と日常的に深く関わりながら生活していたかを知る研修になりました。


志戸崎湖岸の植物観察


崎浜のヨシ場について研修

 


センダン(センダン科)


ナンキンハゼ(トウダイグサ科)

 


ノイバラの赤い実(バラ科)


スイカズラの黒い実(スイカズラ科)