令和8年第2回定例会で可決された意見書・請願
意見書
- 中東情勢の影響を受ける生活者及び事業者への支援を求める意見書
- 皇室の伝統を踏まえた安定的な皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書
- 自衛隊の処遇等の改善及び退職自衛官の再就職促進に関する意見書
- 台風第6号による農作物被害に対する支援を求める意見書
請願
中東情勢の影響を受ける生活者及び事業者への支援を求める意見書
現下の中東情勢に端を発した原油価格の高騰やエネルギー供給の影響が懸念されるところ、国においては、石油備蓄の放出やガソリンなどへの補助金による安定供給、ホルムズ海峡を経由しないルートや新たな調達先による代替調達に努め、すでに年を越えて供給できる見通しが立っていると公表されている。
しかし、中東情勢は依然として不透明であり、県内企業の活動や県民生活の先行きに関する不安の声が多く寄せられている。
これらの不安を解消するため、本県経済への影響緩和を図り、県民の命と暮らしを守るための支援を行うことが喫緊の課題であり、必要かつ十分な対策を行うことが求められている。
よって、国においては、下記の事項について特段の措置を早急に講じられるよう強く要望する。
記
- 緊迫した現下の中東情勢を踏まえ、関係各国及び国際社会と緊密に連携を図り、平和と安定に向けた外交努力を一層進めること。
- 地方への財政措置などにより、エネルギー価格等の影響を受けた生活者や事業者に対する地域の実情に合った効果的な物価高対策や、物資供給対策を講じること。
- 中小事業者の資金繰りに支障を来すことのないよう、資金繰り支援を拡充すること。
- 中東情勢が日本経済に与える影響について、国民及び事業者に対し、迅速かつ丁寧な情報提供を行うこと。
皇室の伝統を踏まえた安定的な皇位継承を確保するための法整備の早期実現を求める意見書
皇室は、わが国固有の歴史と伝統の象徴であり、国民統合の象徴として、国民の間に深く根ざしている。皇位が連綿として継承されてきたことは、国家の基本に関わる事柄であり、その安定的な継承を確保することは、国家の安寧と将来にとって極めて重要な課題である。
現在、皇位継承資格を有する皇族方は少数であり、次世代の皇位継承者は秋篠宮悠仁親王殿下のみという現状に鑑みれば、安定的皇位継承の確保は一刻の猶予も許されない喫緊の国家的事案である。
政府においては、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に基づき、有識者会議による報告書が取りまとめられ、現在、国会においても各会派間での協議が進められている。皇位継承の在り方は国家の基本に関わる極めて重要な問題であり、皇室の伝統を踏まえた、真摯な議論が求められる。
皇族数の確保のための具体的方策としては、令和8年6月10日にとりまとめられた「立法府の総意」において、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとする」案及び「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案が了とされ、法制化することが求められたところである。
よって、当議会は、国会及び政府に対し、皇族数の減少という現実に真摯に向き合い、これらの方策を政争の具とすることなく、超党派による真摯かつ速やかな論議を促進し、今特別国会において皇室典範改正を実現することを強く要望する。
自衛隊の処遇等の改善及び退職自衛官の再就職促進に関する意見書
近年、世界各地で紛争が絶えず、不安定な国際情勢が続いている。東アジアにおいても例外ではなく、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。
このような中、自衛官の不足は依然として深刻な状況にあり、人口減少という構造的要因や安全保障環境の変化などの外的要因により、応募者数の低迷や中途退職者数の高止まりが大きな課題となっている。
中途退職の原因について、自衛官の処遇すなわち給与等が勤務環境の特殊性や課された制約に十分見合っているとは言い難いことに加え、24時間体制下での高い拘束性、若年定年制による将来設計の難しさ、幹部自衛官に多い転勤負担などの生活・勤務環境の問題も指摘されている。特に、「士」階級をはじめとする若年層の退職は看過できない状況にあり、近年ますます複雑化・高度化する防衛任務に的確に対応し、少子高齢化の進展の中で安定的に人材を確保していくためには、現役自衛官の処遇及び生活・勤務環境の改善を着実に進めることが不可欠である。
さらに、退職後の将来に対する安心感を確保することも重要である。定年等により退職する自衛官は、厳格な規律意識、組織運営能力、高度な専門知識、危機管理能力を備えた極めて有為な人材である。これらの能力は、国や地方自治体などの行政分野はもとより、民間企業をはじめとする多様な分野において十分に発揮され得るものである。退職自衛官が、社会の中で自らの能力を円滑に活かし、引き続き国民生活の安全と社会の安定に寄与できる環境を整えることが求められている。
自衛官が将来に希望と誇りを持って職務に専念できる環境を整えることは、我が国の防衛力を安定的に維持・強化する上で極めて重要である。
よって、国においては、次の事項について特段の配慮を講じるよう強く要望する。
記
- 自衛官の給与等、休日、住居、福利厚生等を含む処遇等の更なる改善を図ること。
- 予備自衛官等を含む自衛隊の人材確保及び人材定着を目的とした継続的かつ実効性ある施策を推進すること。
- 退職自衛官の円滑な再就職を促進するため、必要な制度の充実及び再就職支援体制の整備を図ること。
台風第6号による農作物被害に対する支援を求める意見書
去る6月3日に本県を通過しました台風第6号により、強風や大雨に見舞われ、農作物や農業用施設等において、被害額が約1億円に及ぶ甚大な被害が発生しました。
その中でも、農業用施設などで、多数の損壊・倒壊の被害があり、倒壊した施設内の作物の収穫や出荷が不能となっております。また、近年は中東情勢の緊迫化や円安等の影響により、生産資材や燃油価格が高騰しており、農業経営を取り巻く環境は一層厳しさを増しております。
被災農業者は、施設の多くを失い収入も大きく減少することが見込まれる状況のなか、今後の経営の継続に大きな不安を抱えております。農業用施設の復旧・修繕が遅れれば、被災農業者の生活や農業生産のみならず、地域経済にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
つきましては、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望します。
記
- 被災した農業用ハウス等の撤去・処分及び再建・修繕について、被災農業者の負担が生じないよう、一日も早い経営再開が可能となる支援策を講ずること。
- 農業用資材の不足が懸念される中、今般の台風による災害のみならず今後も同様の風水害の発生がありうることを踏まえ、施設の復旧・修繕に支障を来すことがないよう、資材の円滑な供給について業界団体等に働きかけを行うこと。
- 農業共済について、損害評価を迅速に行い、共済金が早急に支払われるよう働きかけること。
「結城紬」の振興に関する請願
本県を代表する伝統工芸品である結城紬は、「糸つむぎ・絣くくり・地機織り」の3技法が、昭和31年に国の重要無形文化財に指定されるとともに、平成22年にはユネスコ無形文化遺産にも登録された世界的にも価値の高い絹織物である。
2000年とも言われる長い歴史の中で脈々と受け継がれてきた高度な手作業の技術と高い芸術性は、本県の誇るべき文化資産であるとともに、地域を支える産業でもある。
しかしながら近年は、着物を着用する機会の減少や需要の低迷に加え、生産従事者の高齢化や後継者不足、原材料不足などにより、生産量は、年間約53,000反(大正10年)をピークに、昭和55年に約31,000反を生産した以降は年々減産し、現在は約500 反と大きく減少しており、結城紬を次世代に継承していくことが重要な課題となっている。
また、結城紬は40数工程もの手作業による高度な技術によって生産されることから付加価値が高く、一方で実際に着用する機会が少ないことから、その魅力を体感する機会が少ないことも課題となっている。
このため、結城紬の魅力を広く発信し、実際に「見る」「着る」「触れる」機会を創出することは、伝統文化の継承と地域産業の振興にとって極めて重要である。特に、観光客や県民が気軽に結城紬を着用できるレンタルや体験の仕組みを整備することは、観光振興と結城紬の需要創出の双方に資する取組みである。
こうした中、結城市はこれまで、技術習得奨励金などの経済的支援、元横綱稀勢の里(二所ノ関親方)へ結城紬大使委嘱、着物で結城の街歩きを楽しむイベント「きものday結城」、主要都市での求評宣伝会、市議会議員が結城紬を着用する紬議会、市内中学生全員が結城紬の着心地を体験する授業などを行っている。また、インバウンドを中心とした観光需要を効果的に取り込むため、結城紬の伝統文化体験の充実を図り、それらを核とした魅力的な企画を展開し、国内外に向けて広く発信している。
一方、県においては、後継者育成として、産業技術イノベーションセンター繊維高分子研究所で、約1年間にわたり機織り技術を中心に全工程を学べる研修を平成8年度から実施しているほか、需要開拓やブランドカ向上として、茨城県伝統的工芸品産地交流促進協議会による啓発イベントを実施している。
また、令和5年2月に台湾で行われた茨城県主催の「いばらき大見本市」で結城紬の着心地体験を行ったほか、令和5年12月に水戸市で開催されたG7茨城水戸内務・安全担当大臣会合において、結城紬の着心地体験を行うとともに、各国大臣への記念品として結城紬のショールを贈呈するなどPRに努めている。
さらに、令和4年度から令和6年度には、3年間にわたり「茨城デスティネーションキャンペーン」を実施し、結城市、地域の事業者と一体となって体験コンテンツの創出に取り組み、結城市の魅力を強力にアピールしてきている。
昨年度からは、インバウンドをはじめとした旺盛な観光需要を効果的に取り込むため、結城紬の伝統文化体験などを磨き上げ、「珠玉の企画」として国内外に向けた魅力的な旅行商品を造成している。
結城紬事業者としても、茨城県、結城市や組合が一丸となって組織する茨城県本場結城紬振興事業実行委員会が、笠間焼や横山大観をモチーフとした変化に富んだ変り織帯「彩 -irodori-」の制作などに新たに取組むほか、栃木県とも連携した本格的な新作発表会を本年1月に東京都内で開催し、よりドレッシーな新しい感性が融合した着物や、江戸時代結城市に滞在した詩人与謝蕪村をイメージした織絵羽など、晴れの日での着用のPRや新たな需要創出を目指している。また、生産者の中でも「糸つむぎ・絣くくり・地機織り」の優れた技術保持者によって結成された本場結城紬技術保持会が、各工程の研修や講習会を実施し、後継者の育成に取り組み、研修で制作した結城紬は、市のイベントなどに活用している。
今後さらに、結城紬の魅力を広く発信し需要を拡大していくことは、産地の活性化のみならず、将来の担い手となる後継者の確保や育成にもつながる重要な課題である。
本年は結城紬が国の重要無形文化財に指定されてから70年という節目の年であることから、これを契機として結城紬のさらなる振興と認知向上を図ることが重要である。
このようなことから、茨城県が進める「体験王国いばらき」において、新たな芸術・文化の体験メニューとして、結城紬体験を推進することにより、茨城県の観光振興、経済振興に資する取組みを積極的に進めていただきたく、下記事項を請願する。
記
- 芸術・文化の新たな体験として、観光地やイベント、文化事業等において、気軽に結城紬を着用できる体験の機会を創出するなど、結城紬の魅力を広く発信すること。
- 結城紬の販路拡大、新しい商品の開発、県伝統工芸士の認定などを通じて、産地振興及び後継者の確保・育成につながる取組みを推進すること。
- インバウンド施策を推進する中、日本の芸術・文化の紹介として、結城紬を含めた県内伝統工芸品の活用を推進すること。
- 結城紬が国の重要無形文化財に指定されてから70年を迎える本年、関係各位においても、結城紬のさらなる振興と認知向上に取り組むこと。
「土浦協同病院なめがた地域医療センター」の病院機能回復を求める請願
【主旨】
なめがた地域医療センターは、医療過疎地である旧行方郡5町村において、長年の悲願であった総合病院として、2000年6月に開院した。
開院にあたっては、茨城県厚生農業協同組合連合会(厚生連)から33億円、国から33億円、茨城県から33億円、地元町村から9億円の財政支援が行われ、さらに地元組合員からも1億円の出資を受けて建設された、極めて公共性の高い公的医療施設である。
2006年には地域救命救急センターに指定され、集中治療室を含む5つの病棟が稼働した。外来、入院、手術、救急医療、透析センターを備え、地域住民の命を守る医療拠点として大きな役割を果たしてきた。
しかしながら、医師確保の困難化によリ、2016年には救命救急センターの運用が停止された。
その後、土浦協同病院の新築移転等に伴う茨城県厚生連の経営環境の悪化も重なり、2019年には救急医療および入院機能が休止され、外来診療に特化する体制になった。さらに、2024年度末には透析センターも閉鎖された。
このままでは、今後さらなる医療機能の縮小が懸念される。
現在、鹿行地域は厚生労働省が指定する「医師少数地域」であり、地域内には茨城県が指定する地域医療支援病院も存在していない。
地域の安心・安全を守るためには、「土浦協同病院なめがた地域医療センター」がこれまで培ってきた人的・物的資源を再活用し、入院および救急医療に対応できる病院機能を回復させることが不可欠である。これは、行方市・潮来市をはじめとする地域住民の切実な願いである。
住んでいる地域によって、受けられる医療や生命に関わる安心に大きな格差が生じることがあってはならない。
よって、下記事項について、請願する。
【請願事項】
- なめがた地域医療センターの病院(入院)機能の回復
- なめがた地域医療センターにおける救急医療体制の再構築
- 上記を実現するために必要な財政支援