○市街化調整区域における大規模開発行為に関する取扱基準

昭和63年3月31日

茨城県告示第511号

市街化調整区域における大規模開発行為に関する取扱基準

1 趣旨

この基準は,市街化調整区域における開発行為のうち都市計画法(昭和43年法律第100号。以下「法」という。)第34条第10号イに該当するものの取扱いについて必要な事項を定める。

2 基本方針

開発行為を行うに当たつては,将来にわたつて健康で文化的な居住環境を確保し,産業の振興による活力ある地域づくりを進め秩序ある都市形成につとめるとともに,当該開発行為は,次の事項を満すものであること。

(1) 開発行為の目的,位置及び区域が合理的な土地利用を図るうえで支障がなく,かつ,市街化区域内における市街化の動向から見て,当該都市計画区域内の計画的な市街化を図るうえで支障がないこと。

(2) 自然の保護,緑地の保全等の環境の確保,災害の防止,公害の防止及び農林漁業との調和について十分な配慮がなされていること。

(3) 開発に伴つて必要となる公共公益施設は,開発者自らの負担により整備されるものであること。

(4) 一定の期間内に良好な宅地として造成されることが確実であること。

(5) 開発計画が,茨城県県土地利用の調整に関する基本要綱(昭和49年12月24日公告)に基づく協議が整つたものであること。

3 開発区域の規模及び適用の範囲

主として住宅の用に供する目的で行われる開発行為(以下「住居系開発行為」という。)及び主として住宅以外の建築物の建築又は第1種特定工作物の建設の用に供する目的で行われる開発行為(以下「非住居系開発行為」という。)の開発区域の規模は20ヘクタール以上とする。ただし,産業の振興,居住環境の改善その他都市機能の維持又は増進に著しく寄与する開発行為の場合は,5ヘクタール以上とする。

4 立地基準

(1) 県及び市町村土地利用計画との整合

住居系開発行為及び非住居系開発行為のいずれの場合にあつても,開発行為の立地は,農林漁業との土地利用,水利用において調整が図られており県及び市町村の土地利用計画等に整合するものであつて,原則として次の地域,区域等を含まないこと。

ア 茨城県自然環境保全条例(昭和48年茨城県条例第4号)に規定する自然環境保全地域又は緑地環境保全地域の指定地域

イ 首都圏近郊緑地保全法(昭和41年法律第101号)に規定する近郊緑地保全区域の指定区域

ウ 自然公園法(昭和32年法律第161号)又は茨城県立自然公園条例(昭和37年条例第17号)の規定により指定した区域

エ 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)に規定する農用地区域の設定区域

オ 森林法(昭和26年法律第249号)に規定する保安林の指定森林若しくは保安林予定森林又は保安施設地区

カ 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)に規定する特別保護地区の指定区域

キ 砂防法(明治30年法律第29号)の規定により指定した土地

ク 河川法(昭和39年法律第167号)に規定する河川区域及び河川保全区域の指定区域並びに河川予定地の指定地

ケ 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)に規定する急傾斜地崩壊危険区域の指定区域

コ 海岸法(昭和31年法律第101号)に規定する海岸保全区域の指定区域

サ 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)に規定する地すべり防止区域の指定区域

シ 法の規定により定めた風致地区

ス 都市緑地保全法(昭和48年法律第72号)の規定により定めた緑地保全地区

セ 文化財保護法(昭和25年法律第214号)又は茨城県文化財保護条例(昭和51年茨城県条例第50号)に規定する環境保全のための指定地域

ソ 工場立地法(昭和34年法律第24号)に規定する工場立地調査簿に記載されている地区。ただし工業等の用途のものについては,この限りでない。

タ その他知事が特に必要と認める区域

(2) 5ヘクタール以上20ヘクタール未満の非住居系開発行為の立地基準

ア 次のいずれかに該当する地域の振興又は発展を図るための計画で,想定される開発行為の内容,位置,規模等がある程度具体的に定められているものに基づき行われるものであり,かつ,イの要件を満たすものであること。

(ア) 法律に基づき策定された計画

(イ) 知事が策定した計画

(ウ) 市町村が策定した計画で,知事の認定,承認等を受けたもの

(エ) 市町村議会の議決等を経て策定された計画で県の定める中長期の整備開発計画等の上位計画と整合性がとれているもの

イ 原則として,市街化区域の用途地域に連たんし,整合が図られる施設であること。ただし,次のいずれかに該当する場合は,これによらないことができるものとする。

(ア) 研究開発施設,教育研修施設,流通業務施設等の施設で,その施設の性格からこれらによることが適当でないと認められるものの設置を目的とする場合

(イ) 生産施設等の開発行為で,市街化区域の準工業地域,工業地域及び工業専用地域並びに法又は公的機関によつて開発された,おおむね20ヘクタール以上の既存の工業団地等(以下「工業地域等」という。)に連たんし,これらの用途地域等に整合する場合。あるいは工業地域等に連たんする地域に優良農用地等が集団的に存在し,かつ,その外延部に遊休地等が存在する場合であつて,当該遊休地等を活用することがその地域の土地利用上適切と認められる場合又は当該開発区域の大部分が工場移転跡地等の既存の宅地を活用する場合

(3) 5ヘクタール以上20ヘクタール未満の住居の住居系開発行為の立地基準

ア 次のいずれかに該当するものであり,かつ,イの要件を満すものであること。

(ア) 主として地域住民の居住の用に供する目的で行われるもの

(イ) 人口の流出等による地域社会の停滞等を防止するため,新規住民の積極的な導入及び定着を図ることを目的として行われるもの

(ウ) (2)に掲げる開発行為と一体として行われるもの

(エ) 鉄道又は軌道の駅と一体的な整備を図ることを目的として行われるもの

イ 原則として,市街化区域に隣接し,又は近接する区域で経済的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成するものとして計画的な整備を図ることが適当と認められる地域において行われるものであること。ただし,次のいずれかに該当する場合は,これによらないことができるものとする。

(ア) 市街化区域に隣接し,又は近接する地域に優良農用地等が存在し,かつ,その外延部に存する遊休地を活用するものであり地域の土地利用上適切と認められるもの

(イ) 工場の移転跡地等の既存の宅地を活用するもの

(4) 公共公益施設との整合

開発行為に伴い必要となる道路,公園,下水道,教育施設等の公共公益施設は,既存の施設及び施設計画に支障をきたすことなく万全の対策が講じられる要件を備えており,特に,既存施設を利用する5ヘクタール以上20ヘクタール未満の規模の開発行為においては,原則として関連する市街化区域における公共公益施設に対応できる余裕のある区域であること。ただし,当該開発行為と併せてこれらの施設の増改築等が行われることにより,これと同等以上の状態になることが確実と認められる場合はこれによらないことができる。

5 計画基準

開発行為の計画に当たつては,その用途及び立地する地区の状況に十分対応できるよう配慮するとともに,法,同法施行令,同法施行規則及び別に定めた開発行為の技術基準(昭和50年5月1日施行)に規定されている許可基準を遵守し,かつ,次の事項を満たすものであること。

(1) 住居系開発行為の技術的基準

ア 土地利用計画

(ア) 開発計画は,当該開発行為の規模に応じ道路,公園その他の空地が,環境の保全,災害の防止,通行の安全,事業の効率等に支障がないような規模及び構造で適正に配置され,かつ,必要な教育施設その他の公益施設及び商業施設その他の住民サービス施設がそれぞれの機能に応じ居住者の有効な利用が確保されるような位置及び規模で配置されていること。

(イ) 公共公益施設用地等の土地利用計画は,それぞれの施設について技術基準に従つて算定された面積を確保すること。

なお,土地利用計画は,おおむね次の表によるものとする。

((ア)) 50ヘクタール以上の場合

土地利用区分

比率%

内容

公共公益施設用地

道路

20

歩行者専用道路を含む。

公園

6

児童公園,近隣公園,緑地,広場等

公益施設用地

8

幼稚園,小・中学校,保育所,集会所,公民館,防火施設等

その他の公共空地

6

調整池,バス停,バスターミナル等

小計

40

 

住民サービス施設用地

商業,医療施設用地

3

商業用地等

小計

3

 

未利用地

5

法面等

住宅用地

52

(画地面積 平均200平方メートル)

100

 

((イ))20ヘクタール以上の場合

土地利用区分

比率%

内容

公共公益施設用地

道路

20

 

公園

5

児童公園,近隣公園,緑地,広場等

公益施設用地

5

幼稚園,保育所,集会所,防火施設等

その他の公共空地

6

調整池,バスターミナル等

小計

36

 

住民サービス施設用地

商業,医療施設用地

3

商業用地等

小計

3

 

未利用地

5

法面等

住宅用地

56

(画地面積 平均200平方メートル)

100

 

((ウ)) 5ヘクタール以上の場合

土地利用区分

比率%

内容

公共公益施設用地

道路

20

 

公園

4

児童公園,近隣公園,緑地,広場等

公益施設用地

3

集会所,防火施設等

その他の公共空地

5

調整池,バスターミナル等

小計

32

 

住民サービス施設用地

商業,医療施設用地

3

商業用地等

小計

3

 

未利用地

5

法面等

住宅用地

60

(画地面積 平均200平方メートル)

100

 

イ 上水の確保

(ア) 生活用水等は,原則として公営水道により供給を受けることとし,水道事業者との協議が整つていること。

(イ) 生活用水等が,公営水道により供給を受けることができない場合は,次の事項によること。

((ア)) 生活用水等は,将来の水需要を勘案して,水道によつて確実に供給できるものであること。

((イ)) 施設基準は,公営の既設水道又は公営の水道計画の施設基準に合致していること。

((ウ)) 水源として地下水を利用する場合は,開発区域周辺の地域における地下水源に著しい影響を与えないよう確実な安全揚水が守られていること。

なお,茨城県地下水の採取の適正化に関する条例(昭和51年条例第71号)の指定地域においては,地下水採取を規制されるので関係機関との協議を行うこと。

((エ)) 当該水道の計画は,水道法(昭和32年法律第177号)第6条第1項の規定による認可又は同法第32条の規定による確認を受けられる要件を備えていること。

ウ 排水施設の完備

(ア) 排水路その他の排水施設は,開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適正に配置されており,周辺の土地改良区等と十分調整が図られていること。

(イ) 終末処理場の施設基準は,下水道法施行令(昭和34年政令第147号)第6条に規定する技術上の基準に適合していること。

(ウ) 雨水(処理された汚水及びその他の汚水でこれと同程度以上に清浄されたものを含む。)を放流する場合,その放流先の排水能力に支障があるときは,当該開発区域内において一時雨水を貯留する調整池の設置又は河川改修を行うこと。

(エ) 調整池の設置については,「茨城県の大規模宅地開発に伴う調整池技術基準」によること。

(オ) 雨水の貯留・浸透施設を設置する場合は,「茨城県の雨水浸透施設技術基準」によること。

エ 住宅の構成

(ア) 街区の規模は,おおむね長辺120メートル以内,短辺30メートル以上35メートル以内の長方形を標準とし,形状,日照等を勘案して配置されていること。

(イ) 住宅は単調な配列を避け,地形に順応し,かつ,道路,公園,広場等を総合的に勘案のうえ,良好な居住環境の構成となるよう配置されていること。

(ウ) 画地内の建築物と隣地画地との間隔については,適正な距離を保ち,相互の日照条件及び独立性を損なわないよう配慮されていること。

(エ) 独立住宅用地は,第一種住居専用地域の建築物の制限に適合するものとし,画地は平均200平方メートルを標準とすること。

(オ) 中高層住宅用地は,第二種住居専用地域の建築物の制限に適合するものとし,当該地区の全面積に対する建築面積の割合を10分の6以下とすること。

オ 道路の構成

(ア) 開発区域内の道路は,予定建築物に応じて各街区との整合を図り良好な居住環境が確保されていること。

(イ) 通過交通の予想される幹線街路は,開発区域内を貫通しないよう配慮されていること。ただし,幹線街路と街区を分離する緩衝緑地帯が設けられている場合は,この限りでない。また,開発区域内の幅員9メートル未満の道路は,区域外の幹線道路に接続していないこと。

(ウ) 開発区域内の主要連絡道路は,通勤,通学,日用品の購入等に便利なように配置されており,かつ,開発区域の面積に応じて幅員が計画されていること。

(エ) 区画道路は,原則として幅員6メートル以上とすること。

(オ) 歩行者専用道路を設ける場合は,幅員4メートル以上とし,住宅地,学校,公園,住民サービスセンター等を系統的に連絡するよう配置されていること。

(カ) バスの通行道路には,おおむね400メートルごとにバス停留所用地が確保されていること。

(キ) 開発区域内の主要な道路は,区域外の幅員12メートル以上の幹線道路又は幅員9メートル以上の片側歩道付道路に接続していること。

カ 公園,緑地,広場等

(ア) 公園等(緑地,広場を含む。)の面積は,開発区域の面積に応じて開発計画人口1人当たり3平方メートルから6平方メートル,かつ,開発区域の面積の3パーセントから6パーセントとする。ただし,公園の面積は,開発区域の面積の3パーセント以上を確保すること。

(イ) 近隣公園(主として近隣に居住する者の利用に供することを目的とする公園)を設ける場合は,開発区域の中心部に配置し,敷地面積は2ヘクタールを標準とすること。

(ウ) 児童公園(主として児童の利用に供することを目的とする公園)は,誘致距離の標準を250メートルとして配置し,敷地面積は0.25ヘクタールを標準とすること。

(エ) 緑地は,開発区域の周辺等の自然地を積極的に保全し,良好な居住環境が確保されるよう計画されていること。

(オ) 開発区域内の樹木は,できる限り保存し,有効な利用が図られていること。

(カ) 広場,ロータリー,バスターミナル等が必要な場合は,開発区域の全体的構成の関連において配置されていること。

(2) 非住居系開発行為の技術的基準

ア 土地利用計画

開発計画は,開発行為の用途,規模に応じ,道路,公園その他の空地が環境の保全,災害の防止,通行の安全及び事業の効率等に支障がないような規模及び構造で適正に配置されていること。

イ 上水及び工水の確保

住居系開発行為の技術的基準(5の(1)のイ)に準ずること。

ウ 排水施設の完備

住居系開発行為の技術的基準(5の(1)のウ)に準ずること。

エ 建築物の用途

産業の振興,都市機能の維持又は増進に著しく寄与するものとし,主として環境の悪化をもたらす恐れのない用途であること。

オ 道路の構成

(ア) 開発区域内の道路は,予定建築物等に応じて,各区画との整合を図り良好な環境が確保されていること。

(イ) 開発区域内の幅員9メートル未満の道路は,区画外の幹線道路に接続していないこと。

(ウ) 開発区域内の主要連絡道は,通行に便利なように配置されており,かつ,開発区域の面積に応じて幅員が計画されていること。

(エ) 区域道路は,原則として9メートル以上とすること。

(オ) 開発区域内の主要な道路は,区域外の幅員9メートル以上の幹線道路(開発区域の周辺の状況によりやむを得ないと認められるときは,車両の通行に支障のない道路)に接続していること。

カ 公園

公園の面積は,開発区域の面積の3パーセント以上とすること。ただし,その敷地を,一事業者が利用する場合は,開発区域の周辺の状況及び予定建築物の用途,配置等を勘案して特に必要がないと認められるものは,この限りでない。

(3) 建築制限

建築物の敷地面積に対する建築面積の割合,建築物の高さ,壁面の位置その他建築物の敷地,構造及び設備に関する制限は,当該開発計画ごとに定めること。

(4) 公共公益施設の整備及び管理

開発者は,開発に伴つて必要となる公共公益施設の整備の費用の負担及び管理について,あらかじめ市町村長と協議すること。

(5) 建築協定の締結(住居系開発行為に限り適用する。)

ア 開発者及び居住者は,良好な居住環境を確保するため建築協定の締結を行うこと。

イ 開発者は,協定締結のため必要な措置を講ずること。

(6) 建築の義務(住居系開発行為に限り適用する。)

ア 開発者は,開発区域内の総画地数の20パーセント以上に対して住宅を建築すること。

イ 開発者は,造成工事完了後,速やかに住宅建築が着工されるよう公的住宅の立地を図る等必要な措置を講ずること。

6 手続

開発者は,開発計画について,あらかじめ県及び市町村と協議すること。

7 指導

知事は,この基準について,市町村に対し必要な助言を行うほか,開発者に対して,適切な指導を行うものとすること。

1 この告示は,昭和63年4月1日から施行する。

(平成16年告示第502号)

この告示は,平成16年4月1日から施行する。

市街化調整区域における大規模開発行為に関する取扱基準

昭和63年3月31日 告示第511号

(平成16年4月1日施行)

体系情報
第12編 設/第5章 都市計画
沿革情報
昭和63年3月31日 告示第511号
平成16年3月29日 告示第502号