○化学物質適正管理指針

平成17年10月11日

茨城県告示第1181号

第1 趣旨

この指針は,茨城県生活環境の保全等に関する条例(平成17年茨城県条例第9号。以下「条例」という。)第56条第1項の規定に基づき,指定化学物質取扱事業者(以下「事業者」という。)が事業活動を行うに当たり,化学物質の自主的な管理の改善を促進し,又は環境の保全上の支障を未然に防止するため,事業者が講ずべき指定化学物質の管理に係る措置について定めるものである。

事業者は,化学物質の管理及び環境の保全に係る関係法令等を遵守することはもとより,この指針に留意して,指定化学物質の製造,使用その他の取扱いに関する状況を常に把握するとともに,事業所における指定化学物質の取扱い実態等に即した方法により,その適正な管理を行い,併せて,その管理の状況に関する県民の理解を深めるよう努めなければならない。

なお,事業者のうち,特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)第3条第1項の規定に基づき定められた指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質等及び第二種指定化学物質等の管理に係る措置に関する指針(平成12年環境庁・通商産業省告示第1号。以下「法定指針」という。)の適用を受ける者は,法定指針で定める事項については,それによるものとする。

また,この指針で使用する「指定化学物質」及び「指定化学物質取扱事業者」等の用語は,条例の用語の例による。

第2 指定化学物質の適正管理の方法に関する事項

1 管理の体系化

(1) 基本方針

事業者は,指定化学物質の管理の適正化を図るための基本方針(以下「基本方針」という。)を定めること。

(2) 管理計画の策定

事業者は,基本方針に即して,指定化学物質の管理の適正化を図るために行うべき行動に係る具体的な目標を設定するとともに,これを達成する時期及び具体的方策を定めた管理計画(以下「管理計画」という。)を策定すること。

(3) 管理計画の実施

ア 体制の整備

事業者は,管理計画を確実かつ円滑に実施するため,事業所ごとに,管理計画の実施に明確な責任を持ち,当該計画に盛り込まれた措置の実施の権限が与えられた責任者及び担当者を指名すること等により,当該事業所においてその計画に盛り込まれた措置が確実に実施される体制を整備すること。

イ 作業要領の策定

事業者は,事業所ごとに,管理計画を実施するために必要な指定化学物質の管理に係る措置の内容を具体的に定めた作業要領(以下「作業要領」という。)を策定すること。

ウ 教育及び訓練の実施

事業者は,基本方針,管理計画及び作業要領を周知徹底するとともに,これらの確実かつ円滑な達成又は実施を確保するため,従業員等全ての関係者に対して,その内容に係る教育及び訓練を計画的かつ継続的に実施すること。

エ 他の事業者との連携

事業者は,他の事業者から指定化学物質の適切な取扱い等に関する情報の提供等の要請があった場合には,適切な情報の提供等を行うよう努めること。

(4) 管理の状況の評価及び基本方針等の見直し

事業者は,基本方針,管理計画及び作業要領に照らして指定化学物質の管理の状況についての評価を実施するための手順及び体制を確立するとともに,当該評価の結果を基本方針,管理計画及び作業要領並びに実施体制に反映させることにより,これらの継続的な見直しの実施に努めること。

2 情報の収集,整理等

(1) 指定化学物質の取扱量等の把握及び記録の保存

事業者は,指定化学物質の排出量及び移動量を把握し,及びその管理の改善に資するため,指定化学物質の取扱量等(製造量,使用量,貯蔵・保管量等)並びに取り扱う施設及び設備の設置,運転等の状況を把握するとともに,その記録を一定期間保存すること。

(2) 指定化学物質及び管理技術に関する情報の収集

事業者は,利用可能な文献,データベース等を活用することにより,自ら取り扱う指定化学物質の性状及び取扱い並びにその管理の改善のための技術及び手法に関する情報の収集に努めること。また,当該情報を利用することにより,化学物質安全管理データシート(MSDS)への反映など必要な管理対策を実施すること。

3 管理対策の実施

事業者は,2により把握し,又は収集した情報に基づいて,取り扱う指定化学物質について,その有害性,物理的性状,化学的性状,排出量並びに排出ガス及び排出水中の濃度等を勘案し,適切な手法により次の管理対策の実施に取り組むこと。

(1) 設備点検等の実施

事業者は,指定化学物質を取り扱う場合には,作業要領に従って適正に作業を実施するとともに,施設及び設備の損傷,腐食等による指定化学物質の漏えいの有無等について定期的に点検し,その結果,異常が認められた場合には,速やかに補修その他の必要な措置を講ずること。

(2) 指定化学物質を含有する廃棄物の管理

事業者は,廃棄物の発生の抑制等に努めるとともに,当該廃棄物が運搬されるまでの間は適正に保管すること。また,当該廃棄物の処理を委託する場合にあっては,必要な情報を委託業者に提供すること。

(3) 設備の改善等による排出の抑制

事業者は,指定化学物質を取り扱う施設及び設備について,次の事項に留意のうえ,取り扱う指定化学物質の性状及び事業所における取扱いの実態に即して漏えい,揮発,浸透等に対する措置を講ずることにより,大気,水及び土壌への排出の抑制に努めること。

ア 水及び土壌への浸透等の防止構造

指定化学物質を取り扱う施設の床面は,水及び土壌への浸透を防止することができるよう,適切な不浸透性の材質とすること。また,必要に応じその性状に応じた被覆処理を行う等の浸透防止措置を講ずること。さらに,取り扱う量及び態様に応じて,施設の周囲に防液提,側溝を設置すること等により,水及び土壌への流出を防止するための適切な措置を講ずること。

イ 大気への揮発等による排出の抑制構造

揮発性の高い指定化学物質の取扱いにおいて,揮発又は飛散により指定化学物質が大気へ排出されるおそれがある場合には,設備等の密閉構造化等により大気への排出を抑制するための適切な措置を講ずること。

ウ 排ガス処理設備又は排水処理設備の設置

燃焼,揮発等により指定化学物質が大気へ排出され,又は排水等に含まれて水等へ排出される場合には,その排出量,濃度等の状況に応じて排ガス処理設備又は排水処理設備を設置するよう努めること。

エ 指定化学物質を取り扱う施設及び設備の維持及び管理

指定化学物質を取り扱う施設及び設備(配管等を含む。)は,地上に設置する等,その維持及び管理が容易に実施できる構造とすること。

(4) 主たる工程に応じた対策の実施

事業者は,法定指針第1の3の(4)に定める対応事項のうち当該事業所に該当する事項に留意のうえ,事業所における取扱い工程を見直し,上記(1)から(3)までに掲げる対策その他の指定化学物質の排出の抑制に必要な対策の実施に努めること。この場合において,法定指針第1の3の(4)中にある「指定化学物質等取扱事業者」とあるのは「指定化学物質取扱事業者」と読み替えるものとする。

第3 指定化学物質の製造の過程における回収,再利用その他の使用の合理化に関する事項

1 回収率の向上及び再利用の徹底

事業者は,第2の1「管理の体系化」及び第2の2「情報の収集,整理等」の実施に当たっては,指定化学物質の使用の合理化対策も含めて実施すること。その際,指定化学物質を可能な限り有効に用いるため,回収率の向上,再利用の徹底を図るとともに,屋外において指定化学物質を使用する場合のような回収が難しい使用については,使用量の管理の徹底を図ること等により使用の合理化を図ることに留意すること。

2 指定化学物質の使用の合理化対策

事業者は,第2の2「情報の収集,整理等」により把握し,又は収集した情報に基づいて,取り扱う指定化学物質について,その有害性,物理的性状,化学的性状,排出量並びに排出ガス及び排出水中の濃度等を勘案し,かつ,法定指針第2の2の(1)及び(2)に定める事項のうち当該事業所に該当する事項に留意して,使用の合理化対策の実施に取り組むこと。この場合において,法定指針第2の2の(1)及び(2)中「指定化学物質等取扱事業者」とあるのは「指定化学物質取扱事業者」と,「指定化学物質等」とあるのは「指定化学物質」と読み替えるものとする。

第4 事故防止対策に関する事項

1 事故の未然防止対策

事業者は,指定化学物質による事故を未然に防止するため,次に掲げる対策を講ずるとともに指定化学物質を取り扱う施設及び設備,公害防止施設等に異常を認めたときは,直ちに事故の未然防止のための必要な措置を講ずること。

(1) 施設,設備,配管等については,亀裂等を容易に点検できる構造にすること。

(2) 施設,設備,機器類等については,異常の有無,作動状況等を定期的に点検すること。

(3) 貯蔵施設については,施設からの指定化学物質の流出を防止するため,その周囲に防液堤等を設けること。

(4) バルブ類等については,適切な操作ができるように表示を行い,誤動作を防止すること。

2 事故対応マニュアルの整備並びに教育及び訓練の実施

事業者は,指定化学物質に係る事故が発生した場合の環境汚染の拡大を防止するため,事故の態様を想定のうえ次に掲げる事項について事故対応マニュアルを事業所ごとに整備するとともに,従業員に対して,計画的かつ定期的に教育及び訓練を実施すること。

(1) 事故発生時における事業所内の指揮命令系統及び連絡体制

(2) 事故発生時における関係機関への通報体制及び近隣住民への連絡体制

(3) 事故発生時における応急の措置及び汚染の拡大防止のための措置の実施方法

3 事故発生時の措置

事業者は,指定化学物質に係る事故にあっては,消防法その他の関係法令の規定によるほか,事故対応マニュアルに従い,速やかに対応すること。

なお,条例第56条第2項の規定に基づく知事への報告は,事故及び措置の概要報告書(様式)により速やかに行うこと。

第5 指定化学物質の取り扱いに関する県民の理解の増進に関する事項

1 体制の整備

事業者は,指定化学物質の管理活動に対する県民の理解を深めるため,必要な情報を自ら適切に提供するための窓口を明確にする等,その体制を整備すること。

2 情報の提供等

事業者は,指定化学物質の排出の状況を含め,事業活動の内容,事業所内における管理の状況等に関し,報告書の作成及び配布,ホームページへの掲載,説明会の実施等による事業所周辺の住民等への情報の提供等に努めること。

3 人材の育成

事業者は,指定化学物質を取り扱う従業員に対して,県民への情報の提供及び県民の意識を理解するための手法等に関する教育及び訓練を実施し,人材の育成に努めること。

第6 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項

事業者は,指定化学物質の性状及び取扱いに関する情報の効率的な活用を図るため,データベースの構築その他の適切な情報提供手段を講ずるとともに,当該指定化学物質を取り扱う全ての関係者に対し,その周知徹底を図ること。

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化学物質適正管理指針

平成17年10月11日 告示第1181号

(平成17年10月11日施行)

体系情報
第7編 生/第4章 環境保全/第2節 公害防止
沿革情報
平成17年10月11日 告示第1181号