○茨城県景観形成基本方針

平成17年4月11日

茨城県告示第491号

茨城県景観形成基本方針(平成7年茨城県告示第750号)を変更したので,茨城県景観形成条例(平成6年茨城県条例第40号)第7条第5項で準用する同条第4項の規定により公表する。

茨城県景観形成基本方針

茨城県は,太平洋に臨む長い海岸線,広大な関東平野においても一際その存在感を誇る霞ケ浦と紫峰筑波などの変化に富んだ美しい自然,さらには,鹿島神宮や偕楽園を始めとする幾多の歴史的遺産など,数多くの優れた景観資源が幾代にもわたり引き維がれ,かつ育まれてきた。

またその一方で,幾多の開発計画により,鹿島臨海工業地帯,筑波研究学園都市などが生み出され,現在も,つくばエクスプレス,首都圏中央連絡自動車道,常陸那珂港等の国家的プロジェクトが推進され,新しい景観が創出されようとしている。これらのプロジェクトは,関係市町村のみならず,極めて大きな影響を全県的にもたらすとともに,経済的・社会的な変化も少なからず県土の新たな景観形成に反映されてきている。

このような中,県民が豊かで潤いのある生活を享受し,また,次世代を担う子供たちに優れた景観を提供することを目的に,県内の自然環境の特性及び社会・経済的状況の多様性と地域性を踏まえつつ,先人から受け継いだ美しい景観の保全と茨城の新たなイメージをもたらす優れた景観の創造とを目指して,「茨城県景観形成条例」の理念の下,この基本方針を定める。

第1 景観形成に関する基本構想

1 景観形成の基本目標

(1) 潤いと豊かさの享受できる都市景観をつくる

県民の多くが居住する都市において,潤いと豊かさが享受できる生活を実現するため,緑豊かな道路空間の整備や建築物の景観誘導などの街並み整備を行い,美しい都市景観を創出する。

(2) 自然や風土を生かした魅力ある田園景観をまもる

田園と調和した緑豊かな農村集落の保全・回復,平地林や谷津田などの保全を行うとともに,潤いと魅力ある田園景観を創出することによって,県民の心に残る景観を守り,子供たちに継承していく。

(3) 歴史や伝統を保全・活用した個性ある景観をつくる

旧水戸街道沿いの宿場町や城下町,古い家並みの残る集落などの歴史と伝統に彩られた街並みは,地域の歴史や文化を伝える貴重な景観資源であり,その保全・活用を図りながら,個性ある景観づくりを進めていく。

(4) 豊かな自然を守り地域性を生かした景観をつくる

本県の景観の基盤となり,また背景となっている山や渓谷などの自然の地形や平地林,斜面林の緑,さらには本県を象徴する利根川や霞ケ浦,長い海岸線など豊かな水辺の自然景観を大切に保全するとともに,景観資源として活用し,地域性豊かな景観を創出する。

2 景観形成を進める上での役割

景観形成を進めていくためには,県民,事業者,市町村,県などの様々な主体が,一定のコンセンサスを得ながら,互いに協調し,かつ,連携して進めていくものとし,この場合の各々の役割は次のとおりとする。

(1) 県民の役割

県民は,景観に対する自らの社会的責任と義務を自覚し,市町村及び県が実施する景観形成のための施策に協力するよう努めるとともに,自らが景観形成の主体であることを認識し,景観形成活動への積極的な参加と私的空間における景観の向上に努めるものとする。

(2) 事業者の役割

事業者は,自らが景観形成の主体であるとともに景観に対する社会的責任と義務を負うものであること及び地域の景観は地域住民と共有していることを認識し,その事業の実施に当たっては,地域住民と協調して景観形成が推進されるよう必要な措置を講じ,市町村及び県が実施する景観形成のための施策に協力するよう努めるものとする。

(3) 市町村の役割

市町村は,地域住民に最も身近な行政主体として,地域住民の意向把握に努め,県の実施する景観形成のための施策とあいまって,自らも地域特性に応じた景観形成のための施策を推進するとともに,地域住民及び事業者に対する景観形成意識の普及啓発及び景観形成活動の支援を積極的に行い,景観形成に向けての環境づくりに努めるものとする。

(4) 県の役割

県は,広域的かつ総合的な景観形成のための施策を実施し,国,市町村,公共団体に対して理解と協力を求めつつ,特に市町村に対しては,それぞれの地域特性に応じた景観形成を推進できるよう助言・支援し,県民及び事業者に対する景観形成意識の普及啓発を積極的に行い,景観形成に向けての環境づくりに努めるものとする。

第2 大規模行為に係る景観形成に関する施策に関する基本的な事項

1 景観形成基準に関する基本的な事項

景観形成基準は,次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 建築物及び工作物の位置,形態,意匠,色彩及び材料,主要な眺望点からの眺望及びりょう線の保全,周辺の景観との調和,修景及び敷地の緑化その他景観形成を図る上で必要な事項

(2) 土地の形質の変更後の土地の形状及び緑化に関する基本的な事項

2 景観形成の推進に関する基本的な事項

景観形成を推進するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 市町村の景観計画等に配慮すること。

(2) 届出を要する行為については,景観形成基準に基づき適切な指導に努めるとともに,勧告制度の適正な運用を図ること。

第3 公共事業等に係る景観形成に関する施策に関する基本的な事項

1 景観形成指針の策定に関する基本的な事項

景観形成指針は,次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 公共事業等の実施に際し,景観形成を図る上で留意すべき事項

(2) のり面,擁壁,防護柵等の公共事業等に共通する行為等に関する景観形成上の配慮事項

(3) 道路,橋りょう,河川,ダム・えん堤,港湾・漁港,海岸,都市公園等及び公共建築物等に関する景観形成上の配慮事項

(4) 景観形成指針の運用に関する事項

2 景観形成の推進に関する基本的な事項

景観形成を推進するに当たっては,次に掲げる事項に留意するものとする。

(1) 安全性及び機能性の確保を基本とし,高齢者や障害者への配慮に留意しながら,周辺の景観・自然環境に調和した県土の景観形成に先導的な役割を果たすものとすること。

(2) 市町村の景観計画等及び景観協定等に配慮すること。

(平24告示1288・一部改正)

第4 景観形成事業に関する基本的な事項

優れた景観づくりを進めていくためには,地域における県民の地道な実践活動を基本としつつ,景観に影響を与える各種の行為について茨城県景観形成条例に基づき良好な景観形成への誘導を行うとともに,景観形成のための事業を積極的に推進していくことが必要である。

このため,シンボルロード等の道路整備,電線類の地中化,親しみのある水辺景観づくりや街に潤いと賑わいを創出するための公開空地の整備などの景観形成に資する事業の一層の推進と創設を図っていくものとする。

第5 景観形成に関する思想の普及及び高揚に関する事項

県民及び事業者の景観形成意識の高揚と気運の醸成を図るため,各種広報媒体を利用した広報活動の実施,顕彰事業の活用,シンポジウムや講演会,講習会,研修会等の開催など各種の普及啓発活動に積極的に取り組むものとする。また,景観形成に関する情報・資料等の収集に努めるとともに,県民及び事業者に景観に関する情報等を提供できるシステムの確立に努めるものとする。

第6 景観形成に関する県民及び事業者の自主的な活動の助長に関する事項

地域で生活する県民及び事業者が自らの住まいの景観向上や周辺の美化,緑化活動等に参加するなど,その自主的な景観形成への取組みを進めるため,地元市町村との連携を図りながら,自治会や町内会などを単位とした景観形成住民協定の締結を促進し,及び支援する。

また,地域景観の形成に影響を及ぼす大規模な開発や建築を行う事業のうち,景観形成を図るために必要があると認めるときは,その事業をする者に対し,景観形成事業者協定の締結を求めるものとする。

第7 その他景観形成に関する重要な事項

景観形成に関連する法令に基づく制度のうち,風致地区,景観地区,地区計画,建築協定,緑化協定などの景観形成を図る上で効果を発揮する制度については,積極的な活用を図るとともに,これらの制度間の総合調整や機能分担により,総合的に景観形成施策を推進するものとする。

茨城県景観形成基本方針

平成17年4月11日 告示第491号

(平成24年12月25日施行)

体系情報
第12編 設/第5章 都市計画
沿革情報
平成17年4月11日 告示第491号
平成24年12月25日 告示第1288号