果樹のせん定-栽培条件考え樹勢判断-(2015年11月)

庭木の果樹としてウメやカキが一般的ですが、最近はブドウなど様々な果樹にチャレンジし、果樹栽培を楽しむ方が増えています。果樹は手入れを怠ると枝葉が伸び放題になったり、果実がなる年とならない年を繰り返す隔年結果を起こしたりします。今回は来年良い果実をならせるために大切なせん定について、基本的な樹勢の判断や調節の方法と一緒に考えます。

樹勢の判断方法

樹勢は、強すぎても弱すぎても、良い果実が実りません。枝の長さや太さ、葉の大きさや色をよく見て樹勢を判断します。樹勢が弱い樹は枝の伸びが悪く細かったり、葉が小さく色も薄かったりします。反対に樹勢が強い樹は太く長い枝がたくさん発生し、葉が大きく色も濃くなります。最適な樹勢は一言で表すと中庸です。樹種や品種、土壌条件によって最適な枝の長さなどは異なります。樹種ごとの専門書を参考に良い果実がなる樹を見比べて目を養います。

樹勢の調節方法

樹勢は土壌の条件、肥料の加減、品種の特性などの栽培条件によって異なります。例えば、根が伸び広がる土壌が深く肥沃なところで、肥料を多くしてしまうと樹勢が強くなりすぎて、良い果実が実りません。それぞれの栽培条件をしっかり考えることが大切です。

次に、せん定作業によって、枝や葉の茂っている部分(樹冠)の広さを変えることで調節します。枝の切り方は「間引き」と「切り戻し」の2種類があります。「間引き」は枝の元から切り取り樹勢を落ち着かせる効果があり、「切り戻し」は枝の途中で切り樹勢を強くする効果があります。また樹冠(樹の占める広さ)を大きくすると樹勢は弱まり、反対に樹冠を小さくすると樹勢を強めることができます。

例えば、ウメの「南高」は、品種特性として樹勢が強いので、土壌が深い火山灰土などでは、樹冠を大きくし樹勢を落ち着かせるため、間引きせん定を主体にします。

せん定には良い果実が実る樹を作る楽しさがあります。樹をよく見てせん定し、その後の生育を観察して、せん定方法が適切かどうか判断してください。

専門技術指導員室N.K

2015年11月30日