○権限関係規程の改正施行について

昭和40年3月19日

総第98号

総務部長通達

本庁の各部課(室・局・所)長

県議会事務局長

人事委員会事務局長

監査委員事務局長

地方労働委員会事務局長

各出先機関の長

本日,茨城県委任規則(昭和36年茨城県規則第16号。以下「旧規則」という。)および茨城県事務決裁規程(昭和36年茨城県訓令第3号。以下「旧規程」という。)の全部を改正し,新しく茨城県事務委任規則(昭和40年茨城県規則第16号。以下「新規則」という。)および茨城県事務決裁規程(昭和40年茨城県訓令第3号。以下「新規程」という。)が制定公布され,昭和40年4月1日から施行されることになつたので命により通知する。

なお,運用に当たつては,改正の趣旨を十分了知のうえ,下記の点に留意し,その執行に遺憾のないように願いたい。

第1 改正の趣旨等

こんどの改正は,行政事務近代化の一環として,知事および出納長の権限に属する事務の合理的な再配分による事務処理の能率化,責任の所在の明確化および管理職本来の機能の強化等を図ることを主眼として行なつたものであり,その基本的な方策は,

1 知事の決裁事項は,特に重要な事項に限るよう明記したこと。

2 決裁の権限を,従来の決裁権者より下の職位に,大幅に委譲したこと。

3 出先機関限りで処理することが適当な事項については,つとめて出先機関の長に委任することとしたこと。(専決事項としたものは,国の指導その他の事由により委任に適しない事案のみとした。)

4 副知事,本庁の部の次長,課長補佐等の補佐職に係る専決規定を設けたこと。

5 本庁の係長およびこれに相当する出先機関の内部組織の長にも専決権を与えたこと。

6 権限事項の規定範囲については,事務処理の実態に合うよう,公権力を伴わない事項についても,つとめて規定化したこと。

等である。

第2 新規則関係

おもな改正点および運用上特に注意を要する事項は,次のとおりである。

1 事務処理機関の指定(第2条関係)

この規定は,委任事務がいずれの機関において処理するかが判然としない場合に,当該事務を処理すべき機関をすみやかに定めて,事務処理の遅れを防止し,責任の所在を明確にする趣旨で設けられたものである。したがつて,処理機関が明確でないと思われる事案がある場合には,関係出先機関の長は,単独または連名で総務部長を通じて知事にその指定を申し立てるものであること。

2 委任の留保(第3条関係)

委任された事務については,原則的にすべての権限は,受任者の権限に移行し,受任者の名と責任において執行するものである。しかし,知事が,県政運営上特に必要があると認める場合には,その例外として,一時的に,みずからその事務を行なうことがあるが,この運用については,各事務の主管課は「特に必要があるとき」の規定の趣旨に照らし,乱用することのないように注意すべきものであること。

なお,この規定により,本庁の各部課がみずから事務を行なおうとするときには,当該事案について総務部長に合議し,知事の決裁を得なければならないものであること。

3 報告の徴取等(第4条関係)

報告の徴取は,事務の能率化の原則に照らし,必要最少限度にとどめるようにし,事務事業の執行に支障を生じないように配意すべきものであること。

なお,現在,業務の執行に関して出先機関から徴取している報告についても,その必要度の簿いものもしくは類似のものまたは重複するものは,このさいつとめて整理等を図るものとすること。

4 委任事務の処理の特例(第5条関係)

受任者は,委任事項であつても,その事案が重要もしくは異例または疑義もしくは紛議等を生ずるおそれのある場合は,知事の指示を受けなければならないものであること。事案の「重要又は異例」等の判断は,受任者において,客観的に行ない,すみやかな措置をとるべきものであること。

5 臨時職員の任免等(第6条関係)

旧規則の規定を整理したもので,内容には特に変わりはないものであること。

6 出先機関の長への共通委任(第7条関係)

(1) 旧規程中の別表第5所長の共通専決事項の大部分を,所長への共通委任事項としたほか,新たに,「委任事項に係る許可証,免許証等の交付」第4項目の規定を加えて,所掌事務については,内部管理事務も含めて,当該出先機関の長の名と責任において処理することとしたものであること。すなわち,従来,出張命令およびその復命の受理等は知事の名において行なわれていたが,こんごは,当該出先機関の長の名において行なわれるものであること。

(2) 所長の引き続き1週間までの有給休暇の承認および所長の引き続き3日までの県外旅行の命令およびその復命の受理は,新たに所長自身に委任したこと。したがつて,1週間をこえる有給休暇の承認および4日以上の県外旅行については,従来と同様,本庁の部長等の決裁を要するものであること。

7 出先機関の長への個別委任(第8条関係)

従来,専決で処理していたものの大部分を委任としたほか,事務処理の能率化および経済化の観点から,出先機関において処理したほうが適切と認められた事案については,つとめて委任事項として規定したものであること。したがつて,これらの委任事項の処理については,その趣旨を十分了知し,疑義の点は,主管課等と事前に打ち合わせのうえ,事務執行の円滑を期せられたいこと。

第3 新規程関係

おもな改正点および運用上特に注意を要する事項は,次のとおりである。

1 知事の決裁事項(第3条関係)

(1) この規定は,知事の決裁を要する事項について明定したものであるが,この趣旨は,知事の決裁を要する事案は,特に重要または異例な事案に限るものとすることにある。したがつて,従来は,部長または課長の専決事項として定められていない事案については,すべて知事の決裁を必要とするという考えのもとに処理されていたが,これを改めたものであり,本条に規定された知事の決裁事項以外の事項については,部長以下のいずれかの職位の者が専決できるものであること。

(2) 知事の決裁事項は,おおむね「特に重要な……」という表現を用いているが,この意味は,たとえば別表第1第36項の「現に関係者間に大きな紛争がある事件の処理又は大きな紛争を生ずるおそれがある事件の処理」のごときものを指すものであるが,個々の事案については,部長,課長等において客観的かつ厳格に判断すべきものであること。

2 出納長の決裁事項(第4条関係)

この規定は,出納長の決裁を要する事項について明定したものであるが,この趣旨も,知事の決裁事項を設けた趣旨(1の(1))と同様であること。

3 副知事,部の次長,出納事務局次長および課長補佐の専決事項(第5条および第8条から第10条までの関係)

(1) これらの職については,補佐職という職務の性格上,具体的な事項をあらかじめ定めることをせず,知事の決裁事項または部課長等の専決事項のうち,知事または当該部課長等の指定した事案に限つて専決することができるものとしたこと。

(2) 部長または課長等が,この規定による指定を行なう場合には,あらかじめ総務部長に合議し,指定した事項については,所属職員に周知させるとともに,総務部総務課長および総務部学事文書課長に報告するものとする。

(3) 別表第3部長および課長の専決事項1各部課共通の部のうち財務関係の専決事項(部長の専決事項第8項から第31項までおよび課長の専決事項第9項から第32項までに掲げる事項)については,原則として,本条の規定による指定は行なわないものとすること。

4 部長,課長等の専決事項(第6条関係)

(1) 別表第3に掲げる各部課共通専決事項と各部課の個別専決事項との関係

この適用関係については,個別専決事項が共通専決事項に優先するものであること。したがつて,各部課の個別専決事項に規定されている場合には,その定めによつて決裁をし,個別専決事項に規定がない場合に限つて,共通専決事項を適用するものであること。

(2) 共通専決事項関係

ア 専決の「原則職位」について

たとえば,部長専決事項第41項と課長専決事項の第40項は,同じ内容の行政行為を掲げているが,部長専決事項には「重要な」という文字が冠せられている。こうした場合,部長はあくまで重要な事案に限つて決裁をするもので,一般的または常規的な事案は,課長が行なうこととなるので,専決の原則職位は課長であるということになるものであること。この原則職位の観念は,部長と課長間のみならず,事案によつて知事と部長間,課長と係長間にも存するので,それぞれの表に掲げられた決裁事項の規定を対比のうえ,その適用に誤りのないように注意する必要があること。

イ 服務関係について

(ア) 所長の1週間までの有給休暇の承認および3日までの県外出張は,第2の6(1)でのべたとおりであること。

(イ) 旧規程においては,部長自身に係る扶養親族の認定は,知事の決裁事項であつたものを,新規程では部長専決事項としたこと。

ウ 財務関係について

(ア) 各職位を通じて,専決できる限度額が大幅に引き上げられ,大部分のものが,部長または課長の段階で処理可能となつたこと。

(イ) 目間の予算流用は,部長の専決事項,節間の予算流用は,課長の専決事項としたこと。

(ウ) 所属かいに対する予算の令達,支出命令および調定の通知は,すべて課長の専決事項としたこと。

(エ) 別表第3の各部課共通の部のうち,部長専決事項の第21項から第23項まで,第25項第27項第29項から第31項までおよび課長専決事項の第24項から第26項までおよび第31項については,旧規程には明確な規定がなく,類推等で処理していたものを明定したものであること。

(オ) 「1件」の解釈は,おおむね1事案(同種の1つの伺)または物の本来の効用をそこなわない限度における単位等をいうものであること。

エ 服務および財務以外の事項について

(ア) 別表第3の各部課共通の部のうち,部長専決事項の第32項第39項および第47項については,軽易な事案について,部長が専決できることとしたが,軽易であるかどうかの判断は,その内容によつて当該部長が行なうものであること。

(イ) 付属機関の委員の任免は,原則職位は知事であるが,技術的な職務を担任する委員については,部長が専決できることとしたこと。

(ウ) 別表第3の各部課共通の部のうち,部長専決事項の第33項第46項第48項から第58項まで,課長専決事項の第33項から第44項までおよび第47項から第58項までは,今回,部長または課長の専決事項として追加または明定したものであること。

5 係長の専決事項(第11条関係)

(1) 許可証等の再交付および返納処理は,係長においてすべて専決できることとしたこと。

(2) 第3項の「職員」には,課長,課長補佐を含むものであること。(幹事課においては,部長も含む。)

(3) 第3項および第7項は,庶務担当係長のみの専決事項であること。

(4) 第8項の規定による「課長が指定した事項」については,その指定事項を所属職員に周知させるとともに,総務部総務課長および総務部学事文書課長に報告するものとする。ただし,別表第3部長および課長の専決事項1各部課共通の部のうち財務関係の専決事項(課長の専決事項の第9項から第32項までに掲げる事項)については,原則として,指定は行なわないものとすること。

6 委任事項の専決(第14条関係)

(1) 振興事務所長および所長は,委任規則その他の権限関係を規定した規程等により,それぞれの長の権限に属しているものでも,別表第8に掲げる事項については,所属内部組織の長に専決させるものとする。したがつて,内部組織の長は,規定された事項については,所長の名において執行するものであること。

(2) 振興事務所の振興課長および病院の事務長については,財務関係において,専決できる金額の限度額を本庁に準じて引き上げたこと。

(3) 振興事務所の係長,病院の課長および科長,その他の出先機関の課長および部長(出先機関の支所の部長を除く。)には,本庁の係長とほぼ同様に8項目について専決できることとしたこと。ただし,給与費および旅費の支出命令は,県税事務所,福祉事務所,保健所,土地改良事務所および土木事務所の庶務担当課長に限られるものであるから留意されたいこと。なお,第8項で「所属長が指定した事項」については,その指定事項を所属職員に十分周知させると同時に,主管課を通じ総務部長に報告するものであること。

7 代決者および代決の順序(第18条関係)

新たに副知事,部の次長,課長補佐,係長の専決規定が設けられたことに伴い,それらの者の代決者を定めたものであること。

第4 その他

1 法令等の改正その他の事由によつて,事務委任規則または事務決裁規程の規定事項の改正を要することとなつた場合は,各主管部課長は,そのつど,遅滞なく理由を付して総務部長に対し,改正の申し出をすること。

2 事務委任規則および事務決裁規程以外の権限関係を規定した条例,規則等についても,今回の改正の趣旨に沿つて,各主管課において早急に改正の手続きをとること。

なお,関係諸規程の改正を行なう場合には,総務部総務課長に合議をするものとする。

権限関係規程の改正施行について

昭和40年3月19日 総第98号

(昭和40年3月19日施行)

体系情報
第1編 規/第2章 職務権限
沿革情報
昭和40年3月19日 総第98号