平成30年度年報

畜産センター本所

• 飼養技術研究室
• 生産技術研究室

肉用牛研究所

• 改良研究室
• 飼養技術研究室

養豚研究所

• 育種研究室
• 飼養技術研究室

 畜産センター本所 飼養技術研究室

デヒドロエピアンドロステロンを用いた牛体内胚採取成績向上に関する試験研究

期間・区分

平成28～32年度,国補

背景・目的

デヒドロエピアンドロステロン（DHEA）は性ホルモンの前駆物質であり,ヒトでは婦人科領域を含め様々な効果が認められている。

そこで,黒毛和種繁殖雌牛におけるDHEA及びその硫酸抱合体であるDHEA-Sと体内胚採取成績の関連性を分析するとともに,DHEAの投与により体内胚採取成績を向上させる方法を確立することで,より効率的な体内胚採取方法を確立する。

方法

1.黒毛和種繁殖雌牛における血中DHEA(-S)濃度と体内胚採取成績の関連性の分析

当センター飼養牛30頭及び農家飼養牛32頭を用い,これらの血中DHEA,DHEA-S及びEstradiol濃度と,体内胚採取成績（回収卵数,正常卵率,変性卵率,未受精卵率）との関連を分析した。

2.DHEA-S投与時の血中濃度動態の確認

DHEA-S製剤を黒毛和種繁殖雌牛1頭に200mg静脈内投与し,投与時,投与後1h,2h,3h,4h,8h及び24hに採血を行い,血中DHEA,DHEA-Sの濃度推移を確認した。

成果・評価

1.黒毛和種繁殖雌牛における血中DHEA(-S)濃度と体内胚採取成績の関連性の分析

DHEA-Sが中央値より高値の群は低値の群に比べて受精率が低くなる傾向にあることがわかった。また,DHEAにも同様の結果がみられるが,DHEA-Sの方がより顕著で,DHEA-Sが指標になると考えられた。

2.DHEA-S投与時の血中濃度動態の確認

投与後1時間で血中濃度が最大となり,その後速やかに減少することが確認された。

黒毛和種性選別精液を用いた体内胚採取における受精率向上方法の検討

期間・区分

平成28～31年度,県単

背景・目的 

市場価値の高い黒毛和種雄子牛を選択的に生産できる一方で,牛体内胚採取において正常胚率が低い性選別精液を,深部注入器を用いた人工授精技術を活用することにより,効率的に黒毛和種雄子牛を生産する技術の確立を図る。

方法

供試牛に常法にて過剰排卵処置を行い,通常または性選別精液を用いて人工授精を行い,7日後に子宮かん流液にて採胚し,胚の受精率について比較検討した。また,性選別精液を用いた人工授精を行う際に,深部注入器を用いて授精を行い,7日後に子宮かん流液にて採胚し,胚の受精率について比較検討した。

成果・評価

通常精液を通常の人工授精器で授精し採卵する区（対照区）で6頭,雄性選別精液を通常の人工授精器で授精し採卵する区（試験区1）で6頭,雄性選別精液を深部注入器で授精し採卵する区（試験区2）で6頭,計延べ18頭で採卵を実施し,受精率の比較検討を行った。その結果,試験区1で受精率72.4％であったのに対し,深部注入器を使って授精した試験区2では受精率91.0％であり,受精率が向上した。また,性選別精液を使用して採取した受精卵をセンター飼養ホルスタイン種2頭,黒毛和種4頭に移植したところ,1頭で受胎した（受胎率16.7％）

牛の受精卵移植技術普及定着に関する研究

期間・区分

平成2年度～,県単

背景・目的

黒毛和種の受精卵移植技術の普及定着を図るためには,農家への安定した受精卵の供給と凍結保存受精卵の高い受胎率が必要である。そのために,受精卵の効率的な生産および凍結・融解技術の確立を図る。

方法

当センター飼養の供卵牛及び農家飼養牛（共に黒毛和種）を供試牛として,常法で過剰排卵処理を行い採卵した。凍結方法は,耐凍剤を用いた緩慢冷却法で行った。

成果・評価

センター飼養供卵牛延べ117頭で採卵した結果では,回収卵数927個のうち正常卵数は406個で,平均正常卵数は3.5個,正常卵率は43.8％であった。

農家飼養黒毛和種雌牛延べ48頭では,回収卵数382個のうち正常卵数は221個で,平均正常卵数は4.6個/頭,正常卵率は57.9％であった。農家飼養ホルスタイン種雌牛延べ11頭では,回収卵数40個のうち正常卵数は21個で,平均正常卵数は1.9個/頭,正常卵率は52.5％であった。

県内農家等への受精卵譲渡個数は200個であった。

乳用牛へのファイトケミカル給与による繁殖成績及び乳生産性向上技術の開発に関する試験研究

期間・区分

平成29～33年度,国補

背景・目的

ファイトケミカルの一種であるスルフォラファンは,ブロッコリーの新芽等に多く含まれ,細胞内でのグルタチオン生成を促す作用を持ち,ヒトでの試験では抗酸化能や肝機能を改善させることが報告されている。これを乳用牛に投与することにより,グルタチオンの体内合成を促し,分娩前後における酸化ストレスを低減させることによる繁殖成績向上技術を開発する。

方法

茨城県稲敷市内の圃場からブロッコリー残さを収集し,当センターで飼養する乳用牛2頭に対し,1～3kg/頭/日を2週間給与した。

また,乳用牛延べ16頭を供試し,ブロッコリースプラウトパウダー10～100g/頭/日を1日～1か月間経口給与した。それぞれ給与開始前と給与期間中に血液サンプルを採取し,スルフォラファン代謝物,グルタチオン類,スルフォラファン及びグルコラファニン濃度を測定した。

成果・評価

乳用牛にブロッコリー残さ1kgを給与したところ,給与2週間後の生乳から,SFN-GSHが0.11ng/ml,SFN-Cysが0.623ng/ml検出された。

血中SFN-Cysはパウダー給与15分後に,SFN-GSHは給与1時間後に最高値を示した。また,パウダー給与区では,血中SFN-GSH,SFN-Cysともに給与1週間後から上昇した。サプリ同様,継続的な給与により効果を発揮させることができるのではないかと考える。

さらに,パウダー給与区のうち1頭について,給与4週間後の尿を分析したところ,SFN-GSHが10.02ng/ml,SFN-Cysが97.26ng/ml検出された。

高能力乳用牛の効率的な飼養管理技術の開発

期間・区分

平成27年度～,県単

背景・目的

産乳と繁殖性が両立した高能力牛の総合的な飼養管理技術を確立するために,国産自給飼料の利用法,暑熱・酸化ストレスを低減させる周産期の飼養法を検討する。

方法

飼料用籾米,トウモロコシサイレージ等自給飼料を活用したTMRが乳質,健康状態等に及ぼす影響を調査した。また,BCSを考慮した乾物摂取量の調整や,血液生化学検査を活用した疾病の早期発見・治療を行った。併せて,JGAPの考え方を取り入れた管理手法を検討した。

成果・評価

年間の平均体細胞数は253千/mlであり,前年度の291千/mlよりも低下した。また,6月から10月までの暑熱期の生乳棄却率は7％であり,前年同時期の13％を大幅に下回った。

年間の受胎率は45％であり,前年度の36％を上回った。また6月から10月の受胎率は36％であり,前年同時期の24％を上回った。

今年度は,暑熱期においても,乳房炎罹患牛の減少,受胎率の改善といった成果がみられている。

飼料用籾米を中心とした国産飼料資源の利活用試験

期間・区分

平成27～30年度,県単

背景・目的

飼料用籾米を中心に,生豆腐粕等の地域飼料資源について,栄養特性を考慮しつつ,安価な飼料化およびその保存技術の確立を図るとともに,家畜への給与方法を確立する。

方法

飼料用米(籾,玄米)と豆腐粕サイレージを混合し,ソフトグレインサイレージ(SGS)を調整した。乳用育成牛に給与する配合飼料の30％をSGSに代替し,発育(増体率)・糞性状・濃厚飼料採食量・粗飼料採食量を調査した。

成果・評価

SGS調製の副資材として豆腐粕サイレージを利用することは,水分調整のための水の添加や乳酸菌添加を省略した有用な調製方法であり,実用的規模で調製するサイレージは良好な発酵品質を示した。

配合飼料の30％をSGSに代替し乳用育成牛(離乳後15週間)へ給与しても,1日増体重,飼料効率,飼料摂取量及び糞性状において対照区との有意差が認められなかったことから,SGSは乳用育成牛の配合飼料の代替として利用可能なことが分かった。

飼料作物品種選定試験・高能力飼料作物品種選定調査

期間・区分

昭和58年度～,県単

平成23年度～,受託

背景・目的

イタリアンライグラスおよび飼料用トウモロコシについて,本県の気候・風土に適合した優良品種を選定し,県奨励品種決定の基礎資料とすることにより,本県の自給粗飼料の生産性向上を図る。

方法

【イタリアンライグラス】

両試験合わせて早生～中生の13品種について生産力検定を行った。前年度の11月7日に播種し,施肥等は県耕種基準を準用した。

 【飼料用トウモロコシ】

両試験合わせて早生～中生の13品種について,生産力検定を行った。5月1日に播種し,施肥等は,県耕種基準を準用し,収量調査は黄熟期に行った。

成果・評価

【イタリアンライグラス】

早生品種の出穂始は,「タチワセ」および「タチユウカ」が早い傾向にあった。1番草,2番草の乾物収量の合計は,早生品種では「いなずま」が有意に高かった。中生品種では収量に差はみられなかった。

 【飼料用トウモロコシ】

早生品種では「P1063」,中生品種では「NS125S」の乾物総収量が高い傾向にあった。中生品種の「TX1277」は生総収量および乾物茎葉重が有意に高かった。

 

  畜産センター本所 生産技術研究室

家畜ふん堆肥の燃料化による環境負荷低減技術の研究

期間・区分

平成28～31年度,県単

背景・目的

畜産経営の専業化,経営規模の拡大が進んだことにより,家畜排せつ物を地域内のみで利活用することが困難なケースが多く,広域的な流通が必要となったほか,燃料利用など農業以外での新たな利活用方法の検討が求められている。

家畜ふん堆肥を燃料化する上での課題として,水分の低減技術と燃焼灰の利用方法があげられる。そこで本研究では,畜産センター内に設置した無煙小型燃焼機を使用し,燃焼による家畜ふん堆肥の減量化と熱エネルギー回収利用,及び燃焼灰の肥料効果について検討し,環境負荷低減技術の確立を図る。

方法

1.低コスト水分低減化技術の検討（平成28,29年度）

夏・冬期における切り返し等による水分低減化方法とボイラー排熱利用による水分低減化方法を比較し,時期毎の堆肥乾燥効率を検証する。

2.燃焼熱利用システムの構築（平成29～31年度）

小型燃焼機―温水機を用い,燃焼による堆肥の減容化及び燃焼熱を利用した温水循環システムの構築を行う。

3.燃焼灰利用方法の検討（平成30,31年度）

ポット試験により,燃焼灰の肥料効果及び土壌改良効果について検討する。

成果・評価

ビニールハウス（3×4m）において,水分40％の豚ぷん堆肥を堆積高25㎝で保管したところ,冬季でも2週間で30％未満まで水分が低下することを確認した。また,小型燃焼炉による燃焼試験により,水分30％未満の豚ぷん堆肥を等量（容積）のオガクズと混合したものを燃焼した結果,15分の1程度に減容化することができた。

豚舎排水の窒素除去並びにリン回収・利用に関する試験研究

期間・区分

平成27～31年度,国補

背景・目的

本県の霞ケ浦流域では,水質汚濁防止法の排水基準と併せて霞ケ浦水質保全条例により窒素とリンの排水基準が定められており,現在の浄化処理施設での処理方法では放流することが困難である。

一方,下水道の終末処理場や工場での廃液処理に近年,アナモックス反応による窒素除去法が使われ始めている。また,汚水中のリンをMAP反応により回収する方法が下水道の終末処理場で実用化されており,これらの技術は,畜産現場での実用化が未だ進んでいない。

本研究では,アナモックス反応とMAP反応を利用した,窒素及びリンの低コスト高除去・回収技術を検討し,両技術を組み合わせた浄化システムの検証を行う。

方法

1.アナモックス反応

実験室内に実排水を用いた小型アナモックス反応装置を設置し,処理水質の変動がアナモックス反応による窒素除去に与える影響について検証した。また,アナモックス菌を処理槽中に保持する担体について,素材の違いがアナモックス反応に及ぼす影響を調査した。

2.MAP反応

畜産センター養豚研究所の排水処理施設の隣接地にMAP反応槽（実容積1.5㎥）を設置し,「固液分離した実排水（固液分離液）」または「固液分離前の一次処理水」について,処理前後の各種成分分析（pH,Mg,P,Ca,無機態窒素）及びMAP結晶の回収量を調査した。

成果・評価

1.アナモックス反応

15週間の試験期間を通して投入汚水の水質変動は大きかったものの,アナモックス菌を添加した試験区では,無添加区と比べて高い窒素除去効果を確認することができた。また,アナモックス菌を保持する担体として,不織布,炭素繊維,コンクリートの3種を比較したところ,不織布で最も高い窒素除去効果が確認された。

2.MAP反応

固液分離液,一次処理水とも,実排水レベルでは水質の変動が大きくリン除去率も変動したが,リン濃度の高い一次処理水では固液分離液よりもリン除去率の変動が少なく,MAP結晶の回収量も多くなった。今後は,養豚研究所に80L規模のアナモックス反応装置を設置し,MAP反応と組み合わせたトータルシステムに関する検証を進める。

活性汚泥モデルと新規窒素除去反応アナモックスの利用による畜産廃水処理技術の高度化

期間・区分

平成28～30年度,受託

背景・目的

現在,畜産廃水処理施設として活性汚泥処理が広く普及しているが,当該処理方法だけでは窒素除去が不十分である。このような状況から,安価で効率的な新しい窒素除去技術の開発が求められている。

農研機構が行った汚泥処理モデル解析の結果から,曝気槽を低溶存酸素条件で運転することにより,窒素除去率が改善することが判明している。これに加えて,近年,新たな窒素除去技術としてアナモックス菌の利用も注目を集めている。

以上のことから,今年度の試験では,既存研究のスケールアップ試験として,曝気槽を低溶存酸素条件に設定した80Lのパイロットプラントを運転しその窒素除去効果を検証するとともに,畜産廃水処理にアナモックス菌を用いる際の,処理槽の最適な運転条件の検討を行った。

方法

1.低溶存酸素条件下における窒素除去能検証試験

連続曝気活性汚泥法において,低溶存酸素条件で運転を行い,通常溶存酸素条件と窒素除去能を比較した。

対照区のDOを2~2.5mg/L,試験区のDOを0.5mg/Lに設定し,流入水,処理水の水質の測定を行った。測定項目は,pH,EC,TN,無機態N,BOD,DO,ORP等を調査した。

2.アナモックス菌の運転条件検討試験

実験装置は容積500mlの容器を使用し,試験区はアナモックス菌と,その保定担体として不織布を装置に充填したものと,不織布の代わりにアンモニア交換能を持つ土壌改良剤「ゼオライト」を保定担体として充填したものの2系統を設置した。対照区はアナモックスを添加せず,不織布のみを装置に充填したものを設置した。また,流入汚水には,上記1の試験で得られた試験区の処理水を使用した。調査項目は,pH,EC,TN,無機態N,BOD,DO,ORP等とした。

成果・評価

1.低溶存酸素条件下における窒素除去能検証試験

試験区の全窒素除去率は対照区と比較して,高い値を示し,スケールアップ試験においても,低溶存酸素条件が,活性汚泥の窒素除去効率を向上させることが確認された。

加えて,試験区の処理水中無機窒素成分が,アナモックス菌に適した水質であったことも確認された。

2.アナモックス菌の運転条件検討試験

低溶存酸素条件での運転で得られる処理水を用いることで,実際にアナモックス反応が生起することを確認した。

加えて,保定担体にゼオライトを用いることで,流入水質の急激な悪化を緩和できる可能性も示唆された。

地鶏のおいしさに関連する遺伝子の解明及び次世代鶏作出技術の確立

期間・区分

平成28～32年度,国補

背景・目的

奥久慈しゃもの原種鶏は,当センターのみで約30年閉鎖群で維持されているため,鶏群の近交度上昇に伴う近交退化と呼ばれる不良形質の発現が懸念されている。そこで,今後の対策の一つとして,鶏種別系統の外部導入により同近交退化発現を解消し,かつ本来の奥久慈しゃものおいしさを保持した次世代鶏の作出が可能か研究する必要がある。

方法

1.次世代鶏を用いた肉用鶏（G1・TL）と奥久慈しゃも（J・TL）の比較調査

アラキドン酸関連遺伝子を保有した優良群と保有していない不良群のG1・TL及びJ・TLについて,食肉成分（水分,脂質,蛋白質,物性）,イノシン酸,遊離アミノ酸及び脂肪酸組成の測定,及び分析型官能評価により比較した。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立

兵庫牧場から導入した831系統軍鶏（外部軍鶏）の雄と現在維持している軍鶏の雌をアラキドン酸関連遺伝子情報を活用し交配させた次世代鶏の第一世代（G1）に,2度J系統軍鶏を戻し交配した雑種第三世代（G3）を作製した。

成果・評価

1.次世代鶏を用いた肉用鶏（G1・TL）と奥久慈しゃも（J・TL）の比較調査

J・TLにおいては,グルタミン酸含量が雄で高く,イノシン酸含量は雌で高かった。遊離アミノ酸総量はG1・TLでは雌雄ともに不良群で高かったが,JTLでは優良群で高かった。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立　

G2は225羽,J系統軍鶏は396羽について遺伝子の解析を行い,アラキドン酸関連遺伝子の保有状況により選抜したJ系統軍鶏の雄64羽とG2の♀111羽を交配して G3を作製した。

 

 肉用牛研究所 改良研究室

牛改良事業

期間・区分

昭和27年度～,県単

背景・目的

優良種雄牛を適正に飼養管理し,高品質な凍結精液の生産と譲渡を行う。

方法

種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。

成果・評価

候補種雄牛を含め10,175本を生産し,7,657本を譲渡した。

(※試験配布,廃用除く)

肉用牛広域後代検定推進事業(直接検定)

期間・区分

平成11年度～,県単

背景・目的

肉用牛の改良を図るため,遺伝的能力評価の高い繁殖雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産された雄子牛について能力を調査し候補種雄牛に選定する。

方法

公益社団法人全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。

成果・評価

肉用牛広域後代検定推進事業(後代検定)

期間・区分

平成4年度～,県単

背景・目的

直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。

方法

公益社団法人全国和牛登録協会で定める産肉能力検定（現場後代検定法）に基づいた。 

1.検定場所

畜産センター肉用牛研究所,全国農業協同組合連合会茨城県本部肉用牛哺育育成センター,民間農場

2.供試牛頭数

概ね18頭／1種雄牛

3.出荷月齢

去勢:29か月齢未満

雌:32か月齢未満

成果・評価

候補種雄牛「日出花国」「塙安福」の産子について検定を終了した。茨城県肉用牛育種改良推進協議会において能力評価基準値をロース芯面積,皮下脂肪厚,歩留基準,脂肪交雑が満たしていたため「塙安福」を選抜した。「日出花国」については能力評価基準値を上回った値が皮下脂肪厚のみであったため非選抜とした。

 

	枝肉重量(kg)	ロース芯面積(cm2)	バラ厚さ(cm)	皮下脂肪の厚さ(cm)	歩留基準(％)	脂肪交雑(BMS NO.)	結果
基準値	59.726	10.873	1.078	-0.282	1.742	2.400	ー
塙安福	36.690	15.279	0.750	-0.473	2.548	3.019	選抜
日出花国	32.249	0.934	-0.244	-0.318	-0.202	1.547	非選抜

下線は基準値以下を示す

 

 肉用牛研究所 飼養技術研究室

 夏季における暖地型牧草利用による放牧実証試験

期間・区分

平成28～31年度,県単

背景・目的

県内の放牧地では寒地型牧草が多く利用されており,夏枯れよって夏季から秋季の生産量が減少し, 草量不足が生じている。今後,気候温暖化がさらに進むと夏枯れがさらに著しくなるものと思われるが,夏季の収量が高い暖地型牧草を寒地型牧草と組み合わせることにより,放牧地の生産量の平準化が図られ,1年を通して計画的な放牧が可能になると期待される。

暖地型牧草であるソルガム類は生産量が多く,また再生草が伸長するので夏から秋にかけて集約的な放牧利用が可能と考えられるが,近県における放牧利用の事例はない。また,シバ型の暖地型牧草であるバヒアグラスは,定着すると安定的な植生を維持できるので粗放的放牧に適しており,種子代も安価であるが,初期生育が悪いので草地造成や越冬性に難がある。

そこで,夏季の集約的放牧としてソルガム類の畑地及び転作田の乾田等における利用と,粗放的放牧法としてバヒアグラスによる放牧地等での利用を検討する。

方法

1.ソルガム類

品種：ヘイスーダン

播種日および播種量：5月23日,5kg/10a

播種様式：散播,条播

施肥：N-P-K 各6kg/10a

放牧方法：生育期及び出穂期に硝酸態窒素含量安全値(0.2％)以下を確認後実施

2.バヒアグラス

試験処理：除草剤区（播種18日前に除草剤を散布し播種）,耕起区（播種18日前に除草剤を散布し,前日に耕起後播種）

播種日,播種法及び播種量：5月29日,散播,3kg/10a

施肥：N-P-K 各4kg/10a　

管理方法：雑草が伸張したら随時放牧を実施

成果・評価

1.ソルガム類

年間乾物収量は,生育期に比べ出穂期の方が多く,播種様式では散播の方がやや多かった。また,放牧による採食量も同様の結果であった。

TDN含量は,生育期1番草が51.9％と最も低かったが,成雌維持時の必要養分量(50％)を上回っていた。CPは,出穂期1番草が10.9％と必要養分量を下回ったが,2番草以降は約15％程度で必要量(12％)を満たしていた。

放牧による牧養力は,生育期が7月中旬から10月中旬までで32.7CD/10a,出穂期が7月下旬から9月下旬までで22.7CD/10aであった。

2.バヒアグラス

1回目の放牧前(8月中旬：播種後77日)の被度は,耕起区8.3％,除草剤区6.7％,2回目の放牧前(9月上旬：播種後104日)は,耕起区20.0％,除草剤区11.7％で耕起区の被度が高かった。

ウエットエイジング並びに加熱による科学的変化が牛肉のおいしさ向上に及ぼす影響に関する試験研究事業

期間・区分

平成28～32年度,国補

背景・目的

エイジング（熟成）は食肉をよりおいしくする保管技術であり,エイジング中の牛肉ではタンパク質の分解による遊離アミノ酸の生成,核酸の分解によるイノシン酸の生成,脂肪の酸化など様々な科学的変化が起こり,牛肉のおいしさに影響を与えることが知られている。また,和牛肉には輸入牛肉にない和牛特有の香りである「和牛香」の存在が知られている。これまでの牛肉の香気成分に関する研究によると,和牛香はラクトン類およびアルコール類,アルデヒド類が寄与しているとされている。しかし,これらの遊離アミノ酸や脂肪酸,香気成分などは牛肉の種類や熟成条件,加熱条件により異なった生成パターンを示すものと考えられる。そこで,本研究では牛肉のウエットエイジングによる科学的変化の検討と実際に食す条件に近い加熱による科学的変化を,おいしさを構成する呈味や香り,テクスチャーを網羅的に検討する。

方法

1.供試肉

黒毛和種牛肉(去勢,A4)を真空包装下で10～45日間熟成した（2℃）。

2.試験内容

1)理化学分析

供試肉のプロテオーム解析を行った。

プロテオーム解析：二次元電気泳動

2)香気成分分析

供試肉の香気成分分析を行った。

香気成分：ガスクロマトグラフィー質量分析計

成果・評価

1.理化学分析

熟成により一部のタンパク質の増加および減少が確認された。

2.香気成分分析

熟成によりアルデヒドおよびピラジン類の増加が確認された。

飼料用籾米を中心とした国産飼料資源の利活用試験（黒毛和種育成牛における給与試験）

期間・区分

平成27～30年度,県単

背景・目的

飼料高騰化対策ならびに自給率向上対策として輸入原料に依存しない国産飼料を確保することが求められており,水田農業の分野では,通常の稲作栽培体系で生産が可能な飼料用米の活用が注目されている。黒毛和種における飼料用米の利用では,新たに飼料用籾米（ソフトグレインサイレージ等）の農家段階での利用が期待されているが,特に育成牛における給与技術は確立していない。

また,食料製造副産物等で食用に供されなかった生豆腐粕等が廃棄されており,地域未利用資源の有効活用面からも,飼料米と組み合わせて利活用することが求められている。そこで,飼料用籾米と生豆腐粕をサイレージ化したもの（籾米・豆腐粕サイレージ）について肉用育成牛への給与方法を確立するため,配合飼料の30％をサイレージで代替して給与試験を行った。

方法

1.供試牛

黒毛和種育成牛7頭（対照区3頭,試験区4頭）

2.試験期間

4ヶ月～8ヶ月齢（子牛市場出荷時まで）

3.供試飼料

1)対照区

配合飼料,大豆粕,オーツ乾草,炭酸カルシウム

2)試験区

 (1)30％代替区

配合飼料の30％を(※)で代替。その他は,対照区と同様

 (2)40％代替区

配合飼料の40％を（※）で代替。その他は,対照区と同様

（※）飼料用籾米80％＋豆腐粕サイレージ20％で調整したサイレージ。

4.調査方法

1日増体重（DG）＝1.2kg/日,可消化養分総量（TDN）＝100～110（安全率10％）,Ca：P＝2:1～1.5:1（日本飼養標準による）を目安として給与し,残飼料を計測することで採食量を求めた。

成果・評価

30％代替区は平均DG,飼料摂取量,飼料効率に両区間で差はなかった。一方,40％代替区は平均DGおよび粗飼料摂取量の低下が確認された。

 

 養豚研究所 育種研究室

ランドレース種系統造成試験

期間・区分

平成29～36年度,県単

背景・目的

一般的な肉豚の生産現場では,三元交雑豚を肉豚として肥育するため,雄系,雌系の品種について総合的な育種改良が必要である。そこで,本県産銘柄豚をはじめとする優良な三元交雑豚を安定的に生産するため,系統豚「ローズL-3」の後継豚となる優秀なランドレース種作成に向けた系統造成を行う。

方法

平成29年度の調査結果を基に,改良に有効な輸入精液と国内ブリーダーの精液を導入し,基礎豚の作出を開始する。

系統造成概要

1年一世代で選抜・交配を繰り返して第五世代で造成を完了する。

集団の規模：一世代ごとに雄10頭,雌40頭を選抜し,系統造成を行う。

交配：10～11月に交配し,2～3月にかけて集中分娩させる。

一次選抜：体重30kg時に1腹から雄1頭・雌2頭を選抜する。

二次選抜：体重105kg時に雄10頭・雌40頭を選抜し次世代の生産に使用する。

BLUP法アニマルモデルを用いた総合育種価を元に選抜するが,肢蹄・体型等は独立淘汰法を用いる。

成果・評価

家畜改良センター,富士農場サービス,米国IBS社から精液を導入し,10月から12月にかけて雌15頭に人工授精を行った。

2月から3月にかけて基礎豚候補豚78頭を生産した。

ローズ改良普及試験

期間・区分

昭和45年度～,県単

背景・目的

大ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」は,本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚等として,平成15年度から農家に供給してきたが,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきたため,平成25年度に系統豚の認定を取り消した。

しかし,生産農家からは大ヨークシャー種の払い下げの要望が多く,この優良な系統豚の資質を高品質豚肉生産の基礎として長期間利用するため,外部から優良な種豚や精液を導入し,開放型育種手法の開発及び確立を図りながら,農家ニーズに対応した高能力純粋種豚を作出・供給し,広域的な改良効果を生み出していく。

また,農研機構からの委託研究「家畜の生涯生産性向上のための育種手法の開発」のうち,「豚の生涯生産性における総合評価手法の開発」の課題を行う。

方法

常時種雄豚6頭,種雌豚18頭を飼養した。交配は可能な限り血縁の遠い種雄豚を用いるとともに,適宜外部から優良な種豚（精液）を導入し繁殖集団を構成する。集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績などを調査する。

委託研究については,豚の生涯生産性における総合評価手法の開発としてデュロック種の種雄豚を用いて定期的に精液を採取し,温湿度と精液性状のデータを取る。

デュロック種系統豚について産子数,産子体重,離乳頭数,離乳時体重等の繁殖形質と体長,体高,管囲等の体尺形質,肢蹄等の形質について測定する。

成果・評価

交配計画に基づき,31組の交配を行った。

26腹の分娩があり,子豚249頭（雄116頭,雌133頭）を生産した。

種豚候補として,10頭（雄2頭,雌8頭）を選抜した。

育成豚を養豚農家に38頭（雄24頭,雌14頭）,人工授精用精液を270本売却した。

農研機構からの委託試験については,平成30年3月～平成31年2月のデータを提出した。

デュロック種の系統造成豚を活用した肉質向上試験

期間・区分

平成26～30年度,県単

背景・目的

筋肉内脂肪含量の向上を改良指標の1つとして造成中のデュロック種系統豚の活用を図るため,この系統豚を用いて三元交雑肉豚を生産したとき肉質（筋肉内脂肪含量等）に及ぼす影響を判明させる。

また,筋肉内脂肪含量を増加させる飼養管理法（給与飼料等）の検討を行い,高品質な豚肉生産の技術確立を目指す。

方法

本年度は,所内飼養中のランドレース種系統豚及び大ヨークシャー種により作成したLW母豚に, デュロック種系統豚「ローズD-1」を交配して生産したLWD豚の筋肉内脂肪含有量等を給与飼料の影響を含めて調査した。

肉質調査は生体重120kg前後でと畜し,脂肪含有量を測定した。

成果・評価

「ローズD-1」を活用した銘柄豚の生産に向けて,銘柄用候補飼料（試験区）を用いた肥育試験を行った結果,筋肉内脂肪含量は,対照区（慣行飼料）3.20%（1.62%～5.89%）,試験区3.18%（1.74%～5.57%）となり,より高い筋肉内脂肪含量を得ることは出来なかった。

銘柄用候補飼料を用いて肥育期間の飼料効率を調査した結果は平均で2.95と良好で,また筋肉内脂肪含量は3.62%（2.59%～5.45%）と高い傾向を示した。

肥育時期の影響等もあるが,筋肉内脂肪含量の割合の高い個体の出現割合が増加しており,系統造成の改良効果を活用して,高品質な豚肉生産が可能となった。

体細胞クローン技術の高度化及び遺伝子組換えブタの維持・保存に関する研究開発

期間・区分

平成19年度～,県単

背景・目的

医療用モデル豚として開発された遺伝子組換えブタ（TGブタ）について,遺伝子のホモ化を行うとともに,小規模集団での系統維持法の開発及び将来に向けたTGブタの増殖技術の確立を目指す。

方法

低密度リポタンパク質受容体（LDLR）遺伝子をノックアウトし,高脂血症・動脈硬化症を発症するTGブタ（LDLRブタ）について,ホモ化された遺伝子型を保持する個体を維持するとともに,体型が小型の個体の選抜を行う。

また,大学等医療実験施設からの要望により適宜豚を提供する。

成果・評価 

5腹の分娩があり,子豚23頭（雄12頭,雌11頭）を生産した。

種豚候補として,6頭（雄2頭,雌4頭）を選抜した。

 

 養豚研究所 飼養技術研究室

系統豚維持試験（ローズD-1）

期間・区分

平成29年度～,県単

背景・目的

デュロック種の系統造成を平成24年度から開始し,平成28年度に造成を完了した。一般社団法人日本養豚協会から「ローズD-1」として系統認定された。

本試験では,本県を代表する銘柄豚肉「常陸の輝き」や「ローズポーク」を始めとした高品質な豚肉を安定して生産できるよう,「ローズD-1」の能力を保持しながら群を維持し,農家に育成豚を供給する。

方法

交配は血縁係数の低い個体で交配した。

集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績を調査した。

育成豚は,県内の養豚農家に供給した。

維持群の構成は,種雄豚14頭,種雌豚36頭とした。

成果・評価

集団的遺伝構成は,平均血縁係数20.54％,平均近交係数は6.81％,遺伝的寄与率変動係数は0.48であった。

分娩71頭の平均哺乳開始頭数は8.2頭,離乳頭数は7.0頭で,育成率は85.2％であった。

発育並びに産肉成績は,1日平均増体量（DG)雄1,098g,雌1,020g,ロース断面積（EM）は,雄36.8㎠,雌37.9㎠,筋肉内脂肪含有量（IMF）は,雄4.94％,雌5.60％であった。

県内養豚農家に対し,88頭の雄育成豚,15頭の雌育成豚を供給し,人工授精用精液を1,710本供給した。

系統豚維持試験（ローズL-3）

期間・区分

昭和62年度～,県単

背景・目的

ランドレース種系統豚「ローズL-3」（2011年度認定）は,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」や高品質豚肉の基礎豚として,長期間に渡り安定して利用することを目的に,認定時の能力を保持しながら近交係数・血縁係数の上昇を最小限に抑える維持と供給を行う。

方法

「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ,繁殖・育成成績,産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝的構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持した。更に育成豚を養豚農家に供給した。

成果・評価

維持頭数：雄7頭,雌46頭。

繁殖・育成成績：のべ62腹分娩。一腹平均ほ乳開始頭数は8.55頭,3週齢の育成率は92.26%。

産肉成績：30kgから105kgまでの一日平均増体重は雄で868.9±53.4g,雌で860.6±89.4g。背脂肪厚は雄で1.5±0.1cm,雌で1.4±0.3cm。ロース断面積は雄で26.6±5.5㎠,雌で26.1±4.3㎠。

集団の遺伝構成：平均血縁係数は27.7％,平均近交係数は9.70％,遺伝的寄与率変動係数は2.95だった。

供給頭数：育成豚を養豚農家19戸に109頭（雄5頭,雌104頭）,また,人工授精用精液を67本供給した。

養豚における飼料用米と豆腐粕の混合サイレージの給与技術確立試験

期間・区分

平成27～30年度,県単

背景・目的

国産飼料用米の活用が飼料自給率の向上,飼料高騰化対策から注目されており,今後飼料用米の利用拡大が予想されている。

また,食料製造副産物等で食用に供されなかった生豆腐粕等が廃棄されており,地域未利用資源の有効活用面からも,飼料用米と組み合わせて利活用することが有効と考えられる。

そこで,飼料用米と地域未利用資源である生豆腐粕について,栄養特性を考慮しつつ安価な飼料化とその保存技術の確立を図るとともに,肥育豚,繁殖豚への給与技術を確立する。

方法

給与飼料は慣行飼料及び,飼料用米（75％）と生豆腐粕（25％）を混合し乳酸菌添加により調整したサイレージとした。

三元交雑種（WLD）を対象に,肥育後期(体重約70kg)から出荷までの期間,サイレージを40％混合した試験区及び対照区（試験区7頭,対照区8頭）を設定し,発育,飼料摂取量,肉質を調査した。

成果・評価

三元交雑種(WLD)の肥育後期から出荷までの期間に,サイレージを40％代替給与したところ,1日平均増体重が試験区で0.98kg/日,対照区で1.11kg/日で発育に有意な差はみられず,飼料摂取量についても両区に有意な差はなかった。また,肉質について,肉色のb*値(黄色度)が試験区で有意に高い結果となった。

発酵魚粉給与による効率的な豚肉生産技術の確立試験

期間・区分

平成30年度～,国補

背景・目的

高品質な肉豚の生産には,肥育素豚（遺伝能力）,給与飼料（飼料設計）及び衛生管理（飼養技術）が重要となる。従来,給与飼料のブタへの効果は,発育,肉質及び健康状態（血液性状）等の測定値を中心に評価してきた。

近年,遺伝子解析技術の発展に伴い,実験動物分野を中心に飼料中の成分（脂肪酸等）によって特定の遺伝子の発現状況が異なり,代謝等に影響を及ぼすことが明らかとなってきた。

そこで,ブタにおいて有益な遺伝子の発現への影響が期待される物質の給与が,ブタの発育,肉質及び健康等の形質に対して遺伝子レベルでどのような影響を与えているのか相互関係について明らかにする。

方法

供試豚：LWD種去勢豚20頭（試験区10頭・対照区10頭）

給与飼料：試験区は慣行飼料にアシドロ発酵魚粉を6%添加

給与期間：肥育期（体重30kg～110kg）

調査項目：遺伝子発現動態（ロース,肝臓等）,発育成績（1日平均増体量等）,肉質成績（水分含量,保水力,クッキングロス,脂肪融点等）,枝肉格付け,脂肪酸化度等

成果・評価

試験区において,リン含量は減少した。また脂肪融点も試験区で低くなった。

肉質成績,枝肉格付け,発育成績については両区間に差は認められなかった。

脂肪酸化度は試験区と対照区で同値を示した。

ミオスタチン遺伝子,UCP3遺伝子,PPARγ遺伝子及びSREBF-1遺伝子の発現に有意差は見られなかった。