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更新日:2022年8月17日

試験研究課題およびこれまでの成果

試験研究課題名一覧

 

試験研究課題

豚舎排水の窒素除去並びにリン回収・利用に関する試験研究

期間・区分

平成27~31年度、国補

背景・目的

本県の霞ヶ浦流域では、水質汚濁防止法の排水基準と併せて霞ケ浦水質保全防止条例で窒素とリンの排水基準が定められており、現在の浄化処理施設での浄化能力では放流することが困難である。

このような状況の中、最近下水道の終末処理場や,工場の廃液処理にアナモックス反応による窒素除去法が使われ始めており,また,リンについても下水道の終末処理場で汚水中のリンをMAP反応により回収する方法が実用化されているが,畜産現場での実用化は未だ進んでいない。

本研究では,アナモックス反応とMAP反応を利用した,窒素及びリンの低コスト高除去・回収技術を検討し,両技術を組み合わせた浄化システムの検証を行う。

方法

1.アナモックス反応

2L容器を使用し,実験室規模のアナモックス反応試験を行った。曝気2日間,停止1~2日間を繰り返し,停止後に上澄み液をサンプリングした。分析項目はpH,DO,無機態窒素等とした。

2.MAP反応

実験室規模でリンの低減効果を検証した。畜産センター養豚研究所の排水処理施設のうち3箇所(原水槽,固液分離液,曝気槽)から汚水を採材し,20L容量のポリ容器に16L入れ,曝気し,処理前後の各種成分分析(pH,Mg,P,Ca,無機態窒素)を実施した。

成果・評価

1.アナモックス反応

運転開始1サイクル目では高い窒素除去能(75%)を確認することができたが,運転開始3週目以降は脱窒反応が認められず,アナモックスグラニュールも赤色から黒変してしまった。今後,アナモックスの活性を維持することが課題である。

2.MAP反応

リンの低減率は,固液分離液が最も高く,pHも期間を通じてMAP反応に適した8.0以上を維持することができた。今後は,養豚研究所内に設置したMAP反応槽への採水箇所を,固液分離液とした実証試験を実施し,現場レベルでの検証を進める。

家畜ふん堆肥の燃料化による環境負荷低減技術の研究

期間・区分

平成28~31年度、県単

背景・目的

畜産経営の専業化,経営規模の拡大が進んだことにより,家畜排せつ物を地域内のみで利活用することが困難なケースが多く,広域的な流通が必要となったほか,燃料利用など農業以外での新たな利活用方法の検討が求められている。

家畜ふん堆肥を燃料化する上での課題として,水分の低減技術と燃焼灰の利用方法があげられる。そこで本研究では,畜産センター内に設置した無煙小型燃焼機を使用し,燃焼による家畜ふん堆肥の減量化と熱エネルギーの回収利用,及び燃焼灰の肥料効果について検討し,環境負荷低減技術の確立を図る。

方法

1.低コスト水分低減化技術の検討(平成28,29年度)

夏・冬期における切り返し等による水分低減化方法とボイラー排熱利用による水分低減化方法を比較し,時期毎の堆肥乾燥効率を検証する。

2.燃焼熱利用システムの構築(平成29~31年度)

小型燃焼機―温水機を用い,燃焼による堆肥の減容化及び燃焼熱を利用した温水循環システムの構築を行う。

3.燃焼灰利用方法の検討(平成30,31年度)

ポット試験により,燃焼灰の肥料効果及び土壌改良効果について検討する。

成果・評価

高さ14センチメートルの板重を用いた2週間の堆積試験において,春季,冬季では,ビニールハウスの利用により,堆肥舎よりも早く水分を低下させることができた。しかし湿度の高い夏季では,夜間の結露などにより同様の結果は得られなかった。

活性汚泥モデルと新規窒素除去反応アナモックスの利用による畜産廃水処理技術の高度化

期間・区分

平成28~30年度、受託

背景・目的

現在,畜舎廃水処理施設として,活性汚泥処理が広く普及しているが当該処理だけでは窒素除去が不十分である。活性汚泥処理へアナモックス反応を活用することにより低コストでの窒素除去が可能になる。

このような状況の中,農研機構が行う活性汚泥処理モデル解析の結果に基づき,パイロットプラントを運転し,その窒素除去効果を検証する。

方法

間欠曝気と連続曝気との窒素除去能を比較した。

間欠曝気区は1時間毎に曝気と停止を繰り返し,連続曝気区は連続的に曝気を実施し,原水の流入を連続的に行った。pH,EC,TN,無機態N,BOD,DO,ORP等を調査した。

成果・評価

窒素除去能については,全期間を通して連続曝気区より間欠曝気区が優れていた。

また両区ともBODは100前後まで低下していたが,間欠曝気の方で有機物分解能が高い傾向にあった。

堆肥化処理過程において発生する臭気物質の解明

期間・区分

平成26~28年度,県単

背景・目的
本県の畜産業に起因する苦情発生割合は悪臭関連が7割であり,畜産経営にとって悪臭問題が依然として大きな問題となっている。悪臭の発生原因となる施設の一つとして開放型の堆肥舎があるが,切り返し等を行う際に臭気が拡散され,悪臭の原因となる場合が多い。しかし,農家での臭気の捕集技術は確立されていないため,堆肥化処理施設での臭気発生試験の実施が少ない状況である。

本研究では,豚の堆肥化過程で発生する臭気物質の推移を測定し,臭気物質の発生パターンを把握する。また,堆肥化処理施設で発生する臭気物質の捕集方法の確立と定量を行う。

今年度は含水率の違いによる臭気発生への影響を調査した。

方法

1.堆肥化方法

オガ粉により水分調整した豚ぷんを臭気評価用チャンバーにより堆肥化した。試験区は堆肥化開始時の水分率の違いにより,低水分区(水分率:約60%)及び高水分区(水分率:約66%)を設置した。切り返しは週に1回,堆肥の温度が低下してからは2週に1回行った。また,切り返し後に固形分のサンプリングを行い,切り返し前と翌日に臭気を捕集した。

2.測定方法

低級脂肪酸及び硫黄化合物はガスクロマトグラフィ,アンモニアは検知管により分析を行った。

3.測定項目

  • 堆肥成分:堆肥温度,含水率,pH,EC,一般成分,無機態窒素
  • 臭気成分:アンモニア,低級脂肪酸,硫黄化合物

成果・評価

堆肥温度は,低水分区では堆肥化直後から上昇したが,高水分区は発酵が遅れる傾向にあった。アンモニアは発酵温度の上昇とともに発生した。アンモニア,低級脂肪酸,硫黄化合物ともに,低水分区に比べて高水分区で発生が多い傾向となったことから,高水分にすることで嫌気性発酵していたことが推測される。

発酵飼料を用いた低たんぱく質飼料による豚糞悪臭低減技術の開発

期間・区分

平成27~29年度、受託

 

背景・目的

養豚経営における家畜ふん尿処理過程から発生する臭気を低減するには,給与飼料を工夫して悪臭の原因となる物質の少ないふん尿を排せつさせる技術開発が必要である。低タンパク質飼料として,地域の未利用資源を利用した発酵飼料混合低タンパク質飼料と低タンパク質飼料を豚に給与し,飼料原料の違いによる排せつ物の堆肥化過程における臭気発生状況を解析,飼料組成と臭気発生の関係を明らかにして臭気発生の少ない低タンパク質飼料を開発する。

方法

1.堆肥化方法

低タンパク質飼料及び一般配合飼料給与豚の排せつ糞を水分調整してチャンバーに堆積した。切り返しは週1回,発酵温度が低下してからは2週間に1回実施した。堆肥化は堆肥の発酵温度が下がるまでとし,約2か月間実施した。

2.測定方法

堆肥は切り返し後,臭気は切り返し前及び翌日に採取した。堆肥は一般成分,BOD等を測定した。臭気成分である硫黄化合物及び低級脂肪酸はガスクロマトグラフィ,アンモニアはマルチガスモニターで連続的に測定した。

成果・評価

低級脂肪酸の発生は低タンパク区で増える傾向にあった。アンモニア,硫黄化合物については対照区に比べ発生が減る傾向が見られた。堆積物中の窒素含量は低タンパク区で低減が認められたため,このことよりアンモニアの発生が低減したと考えられた。

地鶏のおいしさに関連する遺伝子の解明~奥久慈しゃものおいしさ評価および次世代鶏生産技術に関する研究~

期間・区分

平成28年~32年度、国補

背景・目的

奥久慈しゃもの原種鶏は,当センターのみで約30年閉鎖群で維持されているため,鶏群の近交度上昇に伴う近交退化と呼ばれる不良形質の発現が懸念されている。そこで,今後の対策の一つとして,鶏種別系統の外部導入により同近交退化発現を解消し,かつ本来の奥久慈しゃものおいしさを保持した次世代鶏の作出が可能か研究する必要がある。

方法

1.奥久慈しゃも(J・TL)のおいしさ評価

アラキドン酸関連遺伝子を保有した奥久慈しゃも(優良群)と保有していない奥久慈しゃも(不良群)ついて,食肉成分(水分,脂質,蛋白質,物性),イノシン酸,遊離アミノ酸及び脂肪酸組成の測定,及び分析型官能評価により比較した。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立

兵庫牧場から導入した831系統軍鶏(外部軍鶏)の雄と現在維持している軍鶏の雌をアラキドン酸関連遺伝子情報を活用し交配させ,次世代鶏の第一世代(G1)を作製した。

 

 

成果・評価

1.奥久慈しゃも(J・TL)のおいしさ評価

遊離アミノ酸は優良群で高く,イノシン酸は不良群で高い値を示した。官能評価では実需者が,大きさ,肉色,歯ごたえを重視していることがわかった。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立

外部軍鶏299羽,J系統軍鶏は751羽について遺伝子の解析を行ったところ,アラキドン酸関連遺伝子を保有していたのは,それぞれ113羽,201羽であった。このうち,外部軍鶏の雄53羽,J系軍鶏141羽を用いてG1を作製した。

地鶏供給事業

期間・区分

平成20年度~、県単

背景・目的

本県の地鶏である「奥久慈しゃも」等の原種鶏や種鶏を維持・保存し、地鶏の種鶏のヒナを供給する。

方法

原種鶏の維持

  • 「奥久慈しゃも」原種鶏3系統を維持
    (しゃもJ系統、名古屋種T系統、ロードアイランドレッド種L系統)
  • 原種鶏1系統を維持
    (しゃも兵庫系統系)

成果・評価

奥久慈しゃも種鶏ヒナの供給

しゃもJ系統雄ヒナ180羽、TL系交雑雌ヒナ1,440羽

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このページに関するお問い合わせ

農林水産部畜産センター生産技術研究室

〒315-0132 茨城県石岡市根小屋1234

電話番号:0299-43-3333

FAX番号:0299-36-4433

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