わたしたちの県議会 茨城県議会
平成12年第2回定例会



 議会は7月6日の本会議において、次の5つの意見書を可決し、内閣総理大臣など各省庁にその実現方を要望しました。
 それでは、その内容についてお伝えいたします。



国際熱核融合実験炉の誘致に関する意見書

 核融合エネルギーは、環境に対して負荷が少なく、また原理的に高い安全性が確保できる恒久的なエネルギーとして、日本はもとより世界のエネルギー問題や地球環境問題の解決に大きく貢献するものと期待されている。
 国際熱核融合実験炉(ITER)の建設はこの実用化に向けた重要な一歩であり、本県那珂町に所在する日本原子力研究所那珂研究所とEU及びロシアの三極の研究拠点で取り組まれているこの工学設計活動が、来年7月には終了することとされている。
 一方、建設計画については、本年4月から3極間で非公式政府間協議が行われており、今後、公式政府間協議を経て最終的な建設地が決定されることとなっている。
 ついては、政府におかれては、21世紀に向け科学技術創造立国を目指しITER誘致に一層積極的に取り組まれるとともに、国内誘致先として本県那珂町の日本原子力研究所那珂研究所用地が、次のとおり立地に最適の条件を満たし、地元の理解のもと円滑に建設を進めることができることから、早期にITERの建設地として選定されるよう強く要望する。


  1. 日本原子力研究所那珂研究所は、既にJT―60による核融合の技術・研究成果の蓄積があり、またITERの工学設計チームが活動しているなど核融合開発の世界的な研究拠点になっていること。
     また、地域における核融合研究に対する理解も深く、海外からの研究者を多数受け入れ、良好な国際交流が図られていること。

  2. 那珂研究所の立地に当たっては、JT―60はもとより、次の核融合実験炉までを見通した計画に基づき用地確保の要請を受け、最適な用地を提供するなど、県及び町として最大の配慮を行った経緯があり、ITERの建設に必要な用地を既に確保していること。

  3. 本地域は、地震等の自然災害に対する安全性にも優れており、また水、電力等の必要なインフラの条件が十分であり、建設時に必要な道路、港湾等も十分対応できること。

  4. 本地域はわが国の原子力センターを形成しており、原子力関連産業が集積している外、日本最大の頭脳集積地域である筑波研究学園都市には数多くの研究・教育機関が立地しており、相互の連携・協力が容易であること。

  5. 首都東京に近く、国際空港にも近接しており、都市基盤や生活環境整備が進んでいることから、研究者等の生活にとって利便性が高い地域であること。


降ひょう被害対策に関する意見書

 去る4月23日から5月24日までの間、7回にわたって発生した強風雨や記録的ともいえるピンポン玉大の降ひょうは、取手市、岩井市、水海道市、つくば市、筑波郡、北相馬郡、猿島郡、新治郡内の市町村に大きな被害をもたらしました。
 とりわけ、農作物や農業用ハウスは壊滅状態となり、加えて、公共施設や家屋等の被害も甚大なものとなりました。
 このような中にあって、被災者の災害復旧や生活再建はままならない状況にあります。
 よって、国においては、これら被災者の速やかな生活再建のため、次の事項について早急に対処されるよう強く要望します。


  1. 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の適用のほか局地的災害に対する救済制度の創設

  2. 特別交付税の増額

衆議院議員選挙における中選挙区制の復活を求める意見書

 衆議院議員選挙は、平成6年の公職選挙法の改正に伴い、それまでの中選挙区制に代わり、小選挙区比例代表並立制が導入されたところであり、去る6月25日の第42回衆議院議員総選挙も、この小選挙区比例代表並立制により行われた。
 しかしながら、この選挙制度は、政治に反映しない大量の死票が出ることや、各地域の個別的利益が優先され、国全体の視野に立った意見が政治に反映されないなど、最も重視すべき民意の反映という点で不十分であるとの指摘と批判が国民世論となっている。
 よって、国においては、小選挙区比例代表並立制を直ちに廃止し、中選挙区制に戻すよう強く要望する。


警察官の増員に関する意見書

 本県は首都圏に位置し、社会基盤の整備とともに、県南、県西地域を中心に人口増や都市化の形成が著しく、昨年には人口が300万人を突破するなど、県勢の進展はめざましいものがある。
 こうした中、本県においては、犯罪や交通事故の発生が毎年増加しており、安全で安心できる生活を求める県民に大きな不安を与えている。
 しかしながら、本県警察においては、警官1人当たり、人口負担が全国2位、運転免許人口が第1位、凶悪犯罪発生件数が第3位、交通事故発生件数が第3位に位置し、各種事件、事故等に対する業務負担が極めて過重な実態にある。
 よって前記について、政府におかれては、このような本県の実情を十分に勘案し、県民の安全で安心できる生活を確保するため、本県警察官の大幅な増員を行い、警察体制の強化を図られるよう強く要望する。


少年法の改正を求める意見書

 バスジャック殺人事件、愛知県の主婦殺人事件、名古屋の中学生たちの5,400万円恐喝事件、岡山県のバット殴打事件など、少年犯罪はますます凶悪化、低年齢化し、とどまるところを知らない。
 たしかに、少年たちを取り巻く様々な社会環境の変化にも原因はあるが、「少年法」の在り方にも問題があると思われる。
 少年法の目指す「少年の健全な育成」という理念は堅持しつつも、少年を甘やかす保護主義に偏るのではなく、少年に自分が犯した罪についての責任を自覚させ、自省をもとめることが重要である。罪を犯せば罰せられるとの法規範を明示することは、犯罪の抑止と少年の自己責任の自覚につながるものである。
 よって、政府におかれては、我が国の将来を担う少年の健全育成を図るうえから、次の事項にかかる少年法の改正を早急に行うよう要望する。


  1. 刑事罰対象年齢の検討
  2. 少年審判での被害者への傍聴許可
  3. 少年犯罪における親の責任の明文化

付託された請願

総務企画委員会
      
  • 情報公開制度の改善を求める請願 【→継続審査】

保健福祉委員会
  • 茨城県立医療大学付属病院にリウマチ科設置及び教育に関する請願 【→継続審査】   
  • 盲・重複障害者の施設の充実に関する請願 【→継続審査】

土木委員会
  • 歩道橋撤去に関する請願 【→継続審査】

文教治安委員会
  • 「北茨城警察署」設置に係る請願 【→継続審査】
  • ゆたかな教育を実現するための教育予算の充実、30人以下学級を柱とする新たな標準法の制定を求める請願 【→継続審査】