わたしたちの県議会 茨城県議会

平成14年第1回定例会


 議会は3月22日の本会議において、次の3つの意見書を可決し、内閣総理大臣、関係閣僚などにその実現方を要望しました。

国会等移転の早期実現を求める意見書

 国会等の移転について、国は平成2年の「国会等の移転に関する決議」以来、平成4年には法律を制定し、国会等の移転を内外に公表するとともに、移転のための調査会や審議会を設置し、着実に調査審議を重ねてきた。
 平成11年12月、国会等移転審議会は、北東地域の「栃木・福島地域」を最高の評価で移転先候補地として選定し、また「茨城地域」は「栃木・福島地域」と連携し、これを支援・補完する役割が期待されるとの答申をしたことは周知のとおりである。
 しかるに、答申後2年を経過した今、最終決定をするべき国会の動きは鈍いと言わざるを得ない。移転法制定から10年、もはや検討の時期は終わり、決断の時期を迎えている。
 国家百年の大計に立った国会等移転は、今政府が唱え、実行に移さんとしている構造改革に大きなインパクトを与えるものである。
 加えて、大都市を襲う大地震やテロ等に対する国家の危機管理の観点から、一刻も早く政経分離を図り、国の安全を確保することは政治の重大な使命である。
 よって、国においては、国会等移転の早期実現に向け、下記の事項について早急に対応されるよう要望する。

1 国会は、現在開会中である通常国会において、移転先候補地の決定を行うこと。
2 移転先候補地の決定に際しては、国会等移転審議会が客観的かつ公平に点数化した 結果を十分尊重すること。
3 国家の危機管理対策の緊急性に鑑み、交通利便性に優れた「栃木・福島地域」にお いて、早期に国会を開会できる施設を確保すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成14年3月22日  

                          茨城県議会議長 香取 衛
(提出先)
 衆議院議長              
 参議院議長              
 内閣総理大臣              
 国土交通大臣


湖沼の水質保全に関する意見書

 霞ヶ浦、涸沼、牛久沼など茨城県内の湖沼は、県民の生活や農業、工業等にとって貴重な水資源であり、水産や観光の面からも重要な役割をもつばかりでなく、その景観や生息する動植物が訪れる人々に安らぎと感動を与える貴重な財産となっている。
特に、霞ヶ浦については、琵琶湖に次ぐ全国第2位の湖であり、流域面積は、2157平方キロメートルと本県の約3分の1の面積を占め、栃木県、千葉県の一部を含む43市町村に及んでいる。
現在、約130万人が水道水として利用しているほか、2万ヘクタールの田畑を灌漑し、また鹿島臨海工業地帯をはじめとする工業用水としても活用されるなど、本県のみならず首都圏の貴重な水資源となっている。
 しかしながら、本県の湖沼は、流域内における人口増加や経済活動の活発化に伴い、いずれも水質汚濁という問題を抱えており、流域住民や国、県、市町村その他の関係機関による水質浄化に向けたこれまでの諸活動によっても、状況の改善は思うような進捗が図られていない状況にある。
これらの湖沼の環境を保全し、豊かな水資源を維持・継承していくためには、これまで行ってきた水質浄化対策をより一層推進していくことはもとより、湖沼の特性を踏まえた水質汚濁メカニズムそのものを抜本的に解明して対処していくことが喫緊の課題であり、そのことによって全国の湖沼環境の保全にも資するものと考える。
 よって、国においては、湖沼の水質保全並びにその生態系の保全と回復のため、必要な諸施策を積極的に推進されるよう、以下の点について強く要望する。


1 流入・湖内負荷削減対策の推進
汚濁負荷の削減を進めるため、下水道、農業集落排水施設及び合併処理浄化槽の整備等の生活排水対策をはじめとする水質保全事業に対し、補助枠の拡大、補助率の嵩上げなど、次のような特別の財政措置を講じること。

(1)下水道及び農業集落排水施設については、霞ヶ浦総合開発事業における水源地域対策特別措置法の適用を受けた事業と同等以上の国庫補助率の嵩上げを行うこと。
(2)合併処理浄化槽については、高度処理型合併処理浄化槽の国庫補助率の適用範囲を湖沼流域全体にまで拡大すること。
(3)底泥の浚渫、植生帯の整備など湖内浄化対策の推進を図るため、直轄事業費の確保と直轄負担金の見直しをすること。
  @維持管理費に係る負担金については、早急に廃止すること。
  A国が直轄管理する湖沼や河川については、国の責任において効果的な直接浄化対策を実施すること。
(4)地方が行う事業に対する支援措置を拡充すること。

2 水質浄化に関する調査・研究の推進
  国においては、窒素、燐などを高性能で除去できる技術開発など、より効率的に汚濁負荷削減対策が進められるよう、新たな水質浄化技術の 開発を推進するとともに、霞ヶ浦や涸沼、牛久沼などをモデルとして海跡湖、汽水湖等の湖沼特性を踏まえた汚濁メカニズムの抜本的な解明を行うこと。
また、これらに関して地方が行う調査研究・技術開発等についての支援を行うこと。

3 流域住民活動との連携の促進
流域住民との連携を含めて地域住民の活動と行政が一体となった水質浄化に取り組めるよう、県や市町村が行う河川流域ごとの情報共有化や浄化運動の促進など新たな浄化運動の仕組みづくりを支援すること。

4 水辺環境整備の推進
湖沼や河川の水質浄化とあわせて、親水性の高い水辺環境の整備を積極的に推進し、又は支援すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成14年3月22日

     茨城県議会議長 香取 衛

 (提出先)
 衆議院議長              
 参議院議長              
 内閣総理大臣              
 財務大臣              
 農林水産大臣              
 国土交通大臣              
 環境大臣              


雇用対策の充実・強化を求める意見書

 本年1月の完全失業率は5.3%と、依然として雇用情勢は厳しさが続いており、特に、倒産やリストラによる中高年齢者の失業の増加や新規高校卒業予定者の就職内定率が過去最低になることが予想されるなど、雇用対策は緊急かつ効果的に実施される必要に迫られている。
本県においても、企業の倒産や事業縮小による多数の希望退職募集が行われるなど雇用情勢が一段と悪化し、地域経済はもとより住民生活への影響も計り知れない。
このような中、国民の雇用不安を解消し、「先の見える安心社会」をつくるため、新たな産業の育成等による雇用の受け皿整備を進めるとともに、再就職を阻む主たる要因と言われている求職・求人のミスマッチ解消を図るための、実効性のある雇用対策が求められている。
よって、国においては、雇用対策の充実・強化のため、下記事項について、速やかな措置を講じるよう強く要望する。

1 雇用創出効果が期待される教育、医療、介護、環境などの分野において、新市場や 新産業を育成し、雇用の受け皿整備を図ること。
2 地域における雇用の安定、創出の取り組みに対する支援など、環境整備を行うこと。
  特に、「緊急地域雇用創出特別交付金」制度について、雇用期間の延長を認めるなど 要件を緩和すること。
3 解雇ルールの法制化、パートタイム労働者の処遇のルール化にあたっては、労使双 方の意見を十分に踏まえ、早急に適切な対応を図ること。
4 地方公共団体が、就職に関する諸事業を行えるよう職業紹介業務の規制を緩和する こと。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成14年3月22日

   茨城県議会議長 香取 衛

 (提出先)
  衆議院議長              
  参議院議長              
  内閣総理大臣              
  経済産業大臣              
  厚生労働大臣