わたしたちの県議会 茨城県議会

平成14年第2回定例会


 議会は6月21日の本会議において、次の5つの意見書(「森林・林業政策の充実と雇用創出」に向けた森林関連予算の拡充を求める意見書、国会等移転の早期実現を求める意見書、地上放送のデジタル化に伴うNHKの県域放送を求める意見書、警察官の増員に関する意見書、道路整備の充実と道路特定財源制度の堅持に関する意見書)を可決し、内閣総理大臣、関係閣僚などにその実現方を要望しました。

「森林・林業政策の充実と雇用創出」に向けた森林関連予算の拡充を求める意見書

 日本の国土の7割を占める森林は、国土の保全、良質な水の確保、地球温暖化の防止や自然とのふれあいの場の提供など、国民に欠くことのできない多面的機能を発揮しており、環境の世紀といわれる21世紀を見据えた時、昨年の第151回通常国会で成立した、新しい「森林・林業基本法」に基づき森林を健全な状態に育成するとともに、これらを支える林業・山村地域の振興が是非とも必要と考える。
 本県においても、国産材の材価の低迷が長期に続く中で、林業の採算性が悪化し、森林所有者の林業に対する意欲低下を招き、森林の多面的機能が低下している実状にある。
 また、世界的にも地球温暖化防止に向けた「京都議定書」の発効に伴い、適切な森林sの整備がより一層重要な課題となっていることや、林業労働者が減少・高齢化の一途を辿り、将来の林業労働者不足が懸念される一方で、国内の雇用情勢がかつてない深刻な状態になっていることなどを踏まえるなら、いま、国としてやるべきことは、着実な森林整備を進めるための森林・林業政策の充実と、森林を活用した山村地域の雇用の場の確保・拡大であると断言する。
 よって国においては、今こそ森林を公共財、環境財と明確に位置づけながら21世紀にふさわしい林政の推進にむけ、次のことを早急に実現するよう強く要望する。

1 林野公共事業は、「森林」という国民生活に不可欠な環境を創造する事業であること から、まさに21世紀の公共事業として重点分野に位置づけて必要な対策の拡充をす ること。
2 地球温暖化防止対策や森林・林業基本法に即し、具体的な森林・林業政策の充実や 山村地域における雇用創出も念頭に国として森林関連予算の最大限の確保をすること。


国会等移転の早期実現を求める意見書

 国会等の移転については、国会開設100周年に当たる平成2年に国会自らが決議し、同4年には、議員立法によって国会等の移転に関する法律を制定し、その実現を国の内外に示したところである
 特に衆議院の特別委員会では、本年5月を目途に候補地を選定することを自ら決議していたが、誠に遺憾ながら、現在もなお結論を得るに至っていない。
 国会等の移転は、国家百年の大計であるにもかかわらず、低迷する現下の経済情勢等からこれを疑問視する向きもあることに対し憂慮の念を禁じ得ない。
 このまま移転の方向性が明示されず、万が一にも白紙に戻すようなことになれば、国民の政治不信はその極みに達し、世界における我が国の信頼が失墜することは想像に難くないところである。
 移転法の制定から10年が経過し、すでに議論は尽くされ、もはや決断の時期である。
 よって、国会及び政府は、国会等移転の早期実現に向け、次の事項について早急に対応するよう、強く要請するものである。

                 記

1 国会は、期限を切って、早急に移転先候補地の決定を行うこと。
2 移転先候補地の決定に当たっては、国会等移転審議会の答申及びこれまでの衆参の 特別委員会の検討結果を十分尊重すること。
3 国家の危機管理対策の緊急性に鑑み、東京都との連携に優れた「栃木・福島地域」 において、国会を開会できる施設を早期に確保すること。

 地上放送のデジタル化に伴うNHKの県域放送を求める意見書

 2000年12月に始まった衛星放送のデジタル化により、テレビ放送の高画質化、多チャンネル化が身近なものになりつつある。一方、国では、地上デジタルテレビ放送について、2003年(平成15年)の関東広域圏での放送開始に向け、検討・調整が進められているところである。
 県域の民放テレビ局がない茨城県においては、自然災害、原子力災害時における被災地の状況など県民生活における安全安心情報が充足されないだけでなく、地域の伝統文化活動やスポーツなど県民向けの身近な情報が依然として不足しており、県域情報を収集する手段としてテレビ放送に期待する役割は大きい。
 よって、国においては、県民生活の向上とともに、情報・IT産業の振興や経済対策にも効果のある、地上放送のデジタル化に伴うNHKの県域放送にあたっては、全国に先駆けて茨城県で実現されるよう特段の措置を講じられたい。


警察官の増員に関する意見書

 本県は首都圏に位置し、人口の増加や常陸那珂港の供用拡大、高速道路網の整備、つくばエクスプレスの開通、百里飛行場の民間共用化等の大型プロジェクトが推進されており、県勢の発展はめざましいものがある。
 こうした中で、事件、事故の発生は増加の一途をたどり、その内容も凶悪化、複雑化しており、昨年、本県で実施した県政世論調査においても、回答者の8割が「毎日の生活の中で事件や事故に不安を感じている」と答えているなど、安全で安心できる生活を求める県民に大きな不安を与えている。
 一方、本県警察官一人当たりの業務負担は、平成14年度の増員後においても人口で全国第2位となっているほか、免許人口で第2位、凶悪犯罪認知件数で第4位、重要窃盗犯認知件数で第3位、道路実延長で第3位、交通事故発生件数で第6位に位置しているなど、極めて過重な業務負担となっている。
 よって、国におかれては、このような本県の実情を十分に勘案され、県民の安全で安心できる生活を確保するため、本県警察官の大幅な増員を行い、警察体制の強化を図られるよう強く要望する。


道路整備の充実と道路特定財源制度の堅持に関する意見書

 道路は、県民の日常生活や経済・社会活動を支えるとともに、県土・国土の均衡ある発展を図るうえで最も根幹的な社会資本であり、その計画的な整備は県民が強く熱望するところである。
 茨城県は、首都圏近郊に位置し全国第4位の広大な可住地を有していることから、県内には一定の人口集積を持つ中小都市が広く分散して形成されており、これらの都市間を相互に連絡する道路の延長は全国第2位の規模となっている。
 このような中、これまでに円滑な交通流の確保や未改良区間の解消のため、さらには大規模プロジェクトを支える道路整備が展開されてきたところであるが、現在なお、改良率ならびに整備率は全国で最も低いレベルにあるのが実情である。さらに、県内における鉄道やバス等の公共交通機関の整備水準が低いことから、本県は車依存型社会となっており、県民が安全で安心して豊かな暮らしをするためには、自動車利用がとりわけ重要な交通手段である。
 このため、本県においては、これからの交流の時代を迎え、更なる地域間の交流・連携による活力ある地域づくりや豊かな暮らしづくりを支援し、良好な生活環境を回復・創造するために、北関東自動車道や首都圏中央連絡自動車道等の高規格幹線道路はもとより、国道、県道及び生活を支える市町村道の整備を一層推進することが是非とも必要である。
 よって、茨城県議会は、いまだ立ち遅れている県内の道路整備を渋滞解消対策や広域交通ネットワーク構築の観点から着実に推進するとともに、新たな社会環境の変化に対応したバリアフリーや道路環境対策及び救急医療支援などの視点から道路整備を充実させるため、これに必要な道路整備費の確保にあたっては、受益者負担の原則に則った道路特定財源を一般財源化することなく道路整備費として確保されるよう強く要望する。