わたしたちの県議会 茨城県議会

平成17年第3回定例会で可決された意見書
《意見書》
脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書
青少年を取り巻く社会環境の整備に関する法律の制定を求める意見書
真の地方分権に資する三位一体の改革の実現に関する意見書
つくばエクスプレスの東京延伸の早期実現を求める意見書
道路整備の推進を求める意見書

脳脊髄液減少症の治療推進を求める意見書

 脳脊髄液減少症は,交通事故,スポーツ障害,落下事故,暴力などによる頭部や全身への強い衝撃によって脳脊髄液が慢性的に漏れ続け,頭痛,首や背中の痛み,腰痛,目まい,吐き気,視力低下,耳鳴り,思考力低下,うつ症状,睡眠障害,極端な全身倦怠感・疲労感等のさまざまな症状が 複合的に発現する病気である。
 この病気は,これまで原因が特定されない場合が多く「怠け病」あるいは「精神的なもの」と, 判断されたため,患者の肉体的・精神的苦痛はもとより,患者の家族等の苦労もはかり知れなかっ た。
 近年では,この病気に対する認識が徐々に広がるとともに,検査法・治療法(ブラッドパッチ療法)の有用性も認められつつあり,長年苦しんできた患者にとっては大きな光明となっている。
 しかしながら,医療の中での認知度はまだまだ低く,また,全国的にもこの治療を行う病院が少ないため,患者は大変な苦痛を伴いながら,時間と費用をかけて遠方まで治療を受けに行っている状況にある。
 よって,国におかれては,以上の現状を踏まえ,下記の措置を講じられるよう強く要望する。

1 交通事故後の後遺症で苦しむ患者,外傷による脳脊髄液漏れ患者の実態調査を実施するとともに,患者に対する相談,援助の体制を確立すること。
2 脳脊髄液減少症についてさらに研究を推進するとともに,ブラッドパッチ療法を含め,「むち打ち症」の治療法を早期に確立すること。
3 脳脊髄液減少症の治療法の確立後,ブラッドパッチ療法等に対して保険を適用すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


青少年を取り巻く社会環境の整備に関する法律の制定を求める意見書

 次世代を担う青少年の健全育成は国民すべての願いである。
 しかし,今日の青少年を取り巻く社会環境は,露骨な性描写や残酷な暴力シーンを売り物にした り,青少年の健康を阻害したり,法令違反を助長するような内容の雑誌やビデオ等が氾濫し,さらに情報通信技術等の発達によるインターネットや携帯電話を使った有害情報の入手,出会い系サイ トやワンクリック請求による被害の増加など,極めて憂慮すべき状況にある。
 これらの問題に対し,本県を含む46都道府県においては,青少年のための環境整備条例等を制定し,有害図書等の規制や青少年の保護規定を設けて積極的な対策を講じているところであり,また,国においては「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」や「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(いわゆる「出会い系サイト規制法」)」等の制定や関係省庁による「青少年を取り巻く環境の整備に関する指針」を策定し,社会環境の浄化に向けた対応をすすめているところである。
 しかしながら,近年の青少年を取り巻く環境の悪化は複雑化・広域化しており,単独の地方自治体や個別法令では対応が困難な状況となっていることから,国としての早期の総合的な対策が望まれる。
 よって国においては,青少年を取り巻く社会環境の整備を図るための基本理念や方針を明確にするとともに,包括的・体系的に施策を推進するための法律の制定を強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


真の地方分権に資する三位一体の改革の実現に関する意見書

 「三位一体の改革」は,地方の自主性・自立性を高めることにより地方分権を推進しようとするものであるが,これまでの改革の内容をみると,地方が自ら責任を持って,自主的・主体的な行財政運営を行えるような改革にはなっていない。
 昨年11月26日の「政府・与党合意」においては,3兆円の税源移譲が決定済みであるにもかかわらず,それに見合う国庫補助負担金改革として2兆4千億円が決定されるにとどまっており, 6千億円が未決定のままである。このため,地方六団体は,政府の要請に応じて,去る7月20日に「国庫補助負担金等に関する改革案(2)」を提出したところであるが,国の平成18年度概算要求においては,各省庁が改革案と相いれない要求を行っている状況にあるなど,3兆円の税源移譲の実現は予断を許さない状況にある。
 また,地方交付税については,「政府・与党合意」及び「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」において地方団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税,地方税などの一般財源総額を確保することとされているにもかかわらず,経済財政諮問会議においては,地方交付税のさらなる削減が議論されているなど地方交付税総額の確保に強い危機感を抱いているところである。
  よって,三位一体の改革が真に地方分権に資するものとなるよう,下記事項について強く要望する。

1 3兆円規模の税源移譲を確実に実現すること。
2 「政府・与党合意」で先送りされた税源移譲額6千億円に見合う国庫補助負担金の改革に当たっては,真に地方の自由度の拡大につながるよう,誠意を持って地方六団体と協議を進め,地方の改革案に沿って実施すべきであり,生活保護や児童扶養手当に係る単なる国庫負担率の引下げは絶対に行わないこと。
3 地方公共団体の安定的な財政運営に必要な地方交付税総額を確保すること。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


つくばエクスプレスの東京延伸の早期実現を求める意見書

  つくばエクスプレス(秋葉原〜つくば)は,宅地開発と鉄道整備を一体的に推進することにより,JR常磐線の混雑緩和に資するとともに,首都圏の北東方面の良好な宅地の供給や沿線地域の活性化に大きく寄与するものである。
 平成6年の着工以来,建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構,事業主体である首都圏新都市鉄道株式会社と関係自治体が一丸となって事業の推進を図った結果,去る8月24日に開業したところである。
 今後は,秋葉原と東京を直結し,首都圏鉄道ネットワークをさらに充実させることにより,鉄道利用の促進,沿線開発の一層の進展を図ることが必要不可欠となってくる。
 よって,国においては,運輸政策審議会の答申において「今後整備について検討すべき路線」として位置づけられている「つくばエクスプレスの東京延伸」の早期実現に向けて,特段の配慮を強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する


道路整備の推進を求める意見書

 道路は最も基本的な社会資本であり,道路ネットワークの整備は,国土の均衡ある発展を図るとともに,活力あるまちづくりや安全で快適な環境づくり,さらには深刻化する環境問題に対処し,その改善を図るためにも一層重要になっている。
 本県は,全国第4位の広大な可住地面積を有し,中小都市が広く分散して形成されており,これらの都市間を相互に連絡する道路実延長は全国第2位の規模という地域特性を持っている。
 このような中,常陸那珂港をはじめとする四つの重要港湾,つくばエクスプレス,百里飛行場などの多数の交通拠点や基盤の整備とあわせ,地域の連携強化や活性化及び地域間交流の拡大を図るため圏央道や国道6号などの広域的な幹線道路から日常生活を支える県道市町村道に至るまで道路特定財源を活用して,計画的な整備を進めてきたところである。
 しかし,現在なお,国が管理する国道の4車線化率が約20パーセントと関東地方においては最下位であるため,県内の各地域の幹線道路において慢性的な渋滞が発生している。また,県が管理する道路には,いまだに,急カーブ等交通危険箇所が600箇所以上,幅員狭小箇所が400箇所(延べ約300キロメートル)以上,右折レーンがない信号設置交差点が2,000箇所以上も残っており,交通渋滞や,交通事故死傷者数が全国ワースト10位以内の原因となっている。
 県民が安全で安心して豊かな暮らしをするためには,交通渋滞の緩和や,交通危険箇所の解消,歩行者・自転車の安全な通行の確保,さらには高齢者交通事故防止などの諸課題が山積しており,依然として,積極的な道路整備に取り組んでいく必要がある。
 よって,国におかれては,地方の道路整備の重要性を深く認識され,道路整備を計画的かつ重点的に推進するため,道路直轄事業の地方負担金も含めた道路整備の財源確保について特段の配慮がなされるよう強く要望する。

 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


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