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藻類種ごとの生態的特徴および景観に及ぼす影響
霞ヶ浦における夏期優占藻類種の変遷と藻類種ごとの生態的特徴および景観に及ぼす影響
〜1986年
- 主要な優占藻種
藍藻類 Microcystis属 (ミクロキスチス属)
- 生態的特長
日周期的に混合する湖沼で優占しやすい。
高温,高光照度(光阻害)に耐性を持つ。
ガス胞による高い浮力を持つ。
増殖速度は比較的遅い。
- 景観等に及ぼす影響
ガス胞により水表面に浮上し,アオコを形成する。
浮力が高いため,湖流によって移動しやすく,沿岸部でアオコが集積することがある。
霞ヶ浦における優占藻類種の顕微鏡写真
(カッコ内の数値は顕微鏡の総合倍率を表す)

Microcystis (×400)
(ミクロキスチス)
細胞直径2.5-8μm
1987年−1998年
- 主要な優占藻種
糸状藍藻類 Planktothrix 属 (プランクトツリックス属) (旧名:オシラトリア属)
- 生態的特長
濁度の高い混合層で優占しやすい。
高水温を好み,光制限に強い耐性を持つ。
ガス胞により浮力を有する。
増殖速度は比較的遅い。
- 景観等に及ぼす影響
ミクロキスチス属と同じく,ガス胞により浮遊するが,アオコ状に集積することは稀である。
霞ヶ浦における優占藻類種の顕微鏡写真
(カッコ内の数値は顕微鏡の総合倍率を表す)

Planktothrix (×400)
(プランクトトリックス)
細胞幅4μm×長さ2-4μm
1999−2006年
- 主要な優占藻種
珪藻類 Skeletonema 属(スケレトネマ属) Cyclotella属(キクロテラ属)
- 生態的特長
鉛直混合する湖沼で優占しやすい。
光制限に耐性を持つ。
シリカ制限やpHの上昇に弱い。
増殖速度は比較的速い。
- 景観等に及ぼす影響
一時的に高密度になり,湖水を褐色に着色し,淡水赤潮を形成することもある。
霞ヶ浦における優占藻類種の顕微鏡写真
(カッコ内の数値は顕微鏡の総合倍率を表す)

Skeletonema (×400)
(スケレトネマ)
細胞幅4μm×長さ8-16μm

Cyclotella (×400)
(キクロテラ)
細胞直径5-15μm
2007年
- 主要な優占藻種
糸状藍藻類 Pseudanabaena属(プセウドアナベナ属) Planktothrix属(プランクトツリックス属)
- 生態的特長
濁度の高い混合層で優占しやすい。
光制限に強い耐性を持つ。
低水温でも増殖を維持できる。
増殖速度は比較的遅い。
- 景観等に及ぼす影響
湖水を緑色に着色するが,アオコにはならない(但し,冬期には薄く膜状に水面に集積することもある)。
強いカビ臭を伴うこともある。
霞ヶ浦における優占藻類種の顕微鏡写真
(カッコ内の数値は顕微鏡の総合倍率を表す)

Pseudanabaena (×1000)
(プセウドアナベナ)
細胞幅1.5-3μm×長さ5-7μm

Planktothrix (×1000)
(プランクトトリックス)
細胞幅2.5-4μm×長さ1.5-3μm