グラジオラス「常陸あけぼの」

生物工学研究所果樹・花き育種研究室

研究の背景とねらい

茨城県のグラジオラス生産量は、切り花生産が全国3位、球根生産では全国1位と、トップクラスの産地となっています。県ではそのニーズに応え、産地活性化を図るためにオリジナル品種の育成を進めています。グラジオラスはフラワースタンドや大きめのアレンジメントなどに好適で、特に弔事・ブライダルの現場で重宝されています。
「常陸あけぼの」は、オレンジ色の中輪系品種で、産地から要望の高い「極早生」品種として育成しました。

品種の特徴

「常陸あけぼの」の特徴

  • 露地季咲き栽培で普及品種の「トラベラ」より2週間程度開花が早い極早生品種です。
  • 花径7~8センチメートルの中輪系品種で、花色は淡いオレンジ色に紫赤色のブロッチ(斑模様)が入ります。
  • 同時開花数が多く、高い観賞性があります。
  • 季咲き、抑制いずれの作型でも栽培可能です。
写真:「常陸あけぼの」

(写真1:「常陸あけぼの」)

また、中輪系品種であることから、業務用の他にホームユース等の新たな需要が期待できます。
写真:常陸あけぼのの花色は、朝焼けを思わせるオレンジ色のグラデーション。同時開花数が多く、観賞性の高いグラジオラスです。

育成の経緯

写真:「圃場で咲く様子」

(写真2:「圃場で咲く様子」)

平成9年に、生物工学研究所育成系統である「No.504」を母親に、同じく生物工学研究所育成系統の「G.H.S.1」を父親にして交配しました。得られた69個の実生個体の中から、花色・草姿が良好で極早生であることを条件として選抜を重ね、平成15年に、優良な「生研9号」を選抜しました。平成16年に園芸研究所で生育特性調査を実施し、有望と認められ、「ひたち8号」となりました。平成17年には、現地適応性試験、市場性等の調査を行い、優良性が確認されました。さらに、平成16年から平成17年にかけて品種登録に向けた特性調査を行い、品種登録の要件である区別性、均一性、安定性を確認して育成を完了しました。

「常陸あけぼの」は、育成系統の中でも、最も早く咲くグラジオラスのひとつでした。季咲き栽培で6月下旬に開花します。極早生であることは、栽培期間を短縮させ、農家の負担を軽減させるメリットがあります。

写真:「グラジオラス育種圃場の検討の様子」

(写真3:「グラジオラス育種圃場の検討の様子」)

「常陸あけぼの」は品種候補となった後も、何度も圃場検討し、およそ10年かけて品種となりました。

育成の裏話

育成された系統は品種名が必要です。生産現場からは、最近輸入球根が多くなり海外産をイメージするカタカナの品種名よりも、茨城産をイメージできる和名にしてほしいという強い要望がありました。そこで県内から名称を募りました。その結果、茨城県をイメージさせる言葉として常陸の国の「常陸」、淡いオレンジ色から朝焼けのイメージを浮かべる「あけぼの」を組合せた「常陸あけぼの」が採用されました。
「常陸あけぼの」は、平成20年3月18日に品種登録(登録番号第16902号)されました。