赤ねぎ「ひたち紅っこ」

研究の背景とねらい

(写真1:ひたち紅っこ栽培ほ場)

赤ネギは本県の「地方野菜」の一つとして広く知られるようになってきました。白ネギと比較して、栽培が難しく、赤ネギの特徴である葉鞘の発色がうまくいかないことや、葉鞘が細いなどの問題がありました。そこで、葉鞘が安定して赤紫色になりやすく、太い赤ネギを目標に品種開発を進めました。

品種の特徴

  • 「ひたち紅っこ」は赤ネギの最大の特長である葉鞘が赤紫色に発色しやすく、これまでの赤ネギより分けつが少ないため、葉鞘が太いことです。
  • 色彩に優れ、葉全体が軟らかく、熱を加えることによって甘味が増しておいしい特長があります。
  • また、葉鞘が太いため煮崩れしにくいことも特徴の一つです。

(写真2:ひたち紅っこ葉鞘部分)

育成の経緯

(写真3:フィルム包装されたひたち紅っこ(左)と箱詰めされたひたち紅っこ(右))

平成4年に白ネギ「長悦」と赤ネギ「在来選抜系統」を交配し、さらに、その後代を母親、赤ネギ「在来選抜系統」を父親にした交配を行い、その後数年間、選抜を進め、収量や外観品質、食味などの評価を続け、平成14年に「園研1号」として選抜しました。平成15年から現地試作を行い、収量・外観品質および食味が優れていることが認められたことから、平成17年3月に「ひたち紅っこ」として品種登録出願を行い、平成19年8月に登録されました(登録番号第15545号)。

育成の裏話

赤ネギは葉鞘が赤紫色になることが特徴ですが、白ネギと交配すると発色しにくく、収穫期になるまでは優劣がつきにくいことがありました。また、収穫期も晩秋から冬季に限定されているため、育成には時間がかかりました。
多くの系統の中から当初の目標に適ったのが「ひたち紅っこ」で、色彩が優れるだけでなく、食味も好評です。