産地や地域の活性化に向けて(2014年6月)

大子町
大子町和牛繁殖活性化協議会

写真:雪の降る中放牧されている牛

(写真1:冬の放牧)

茨城県の北西端に位置する大子町では、中山間地ならではの気候や土地条件を活かした多様な農業経営が営まれています。そのひとつとして、和牛繁殖経営が盛んに行われています。

大子町は、茨城県銘柄牛「常陸牛」の生産を支える和牛子牛の産地としては茨城県内第1位です。しかしこの地域は、農業者の高齢化率や耕作放棄地率が県内で最も高く、子牛出荷頭数は減少傾向にあります。

大子町和牛繁殖活性化協議会の設立

写真:茨城県外からの視察の様子

(写真2:茨城県外からの視察の様子)

こうした状況のなか、平成16年に、和牛繁殖経営および地域の活性化を図ることを目的として、大子町和牛繁殖活性化協議会が設立されました。この協議会は、大子町畜産農業協同組合員、茨城県畜産農業同組合連合会、町、茨城県の関係者で構成され、現在会員29名で活動しています。

 

省力飼養技術の導入の推進

写真3:飼料を食べている牛

(写真3:稲WCS給餌の様子)

協議会では、省力飼養技術として稲WCSを活用した冬季放牧(周年放牧)の導入を推進しています。これにより、畜舎の清掃の手間を省き、繁殖成績を向上させることができます。また、冬場の飼料として稲WCS(稲発酵粗飼料)を給餌することで、飼料費を削減することもできます。この技術は3年間の実証試験を経て、平成24年度から普及の段階に入りました。

協議会では、事故防止や放牧を実施する上での問題点の解決のため、農家巡回や検討会を実施しています。

耕作放棄地対策から耕畜連携へ

写真:放牧前は雑草にが生い茂っています。放牧後は雑草が減って見晴らしが良くなりました。

(写真4:耕作放棄地への放牧の様子)

耕作放棄地対策のひとつとして、協議会では耕作放棄地での放牧を推進しています。耕作放棄地に放牧することで、雑草に埋もれた農地もきれいにすることができます。

また、平成24・25年度には、協議会員でもある地元のコントラクター組織が、耕作放棄地対策や産地を守り地域を活性化するためには何ができるのかを考えるシンポジウムを2回開催しました。そして、組織で取り組んでいるWCS生産や耕畜連携の活動の紹介や、活動への参加を呼びかけました。その結果、組織の活動に賛同し、組織の一員となって耕畜連携に取り組む方が徐々に増えてきています。

協議会では、今後も会員一丸となって、産地や地域の活性化に向けた取り組みを続けていきます。

常陸大宮普及センター

2014年05月28日