伝統と高い技術力を誇りに、笑顔も届けるイチゴづくり(2013年4月)

行方市・潮来市
行方地域イチゴ生産者経営研究会

(写真1:霞ヶ浦沿いの水田地帯に並ぶハウス)

行方地域イチゴ生産者経営研究会は、昭和35年に霞ヶ浦いちご研究会として発足しました。発足当時の資料からは、石垣いちご栽培など、新技術の導入に精力的に取り組んでいたことがわかり、先人たちの情熱が伝わってきます。発足から50年以上を経た現在も研究会の活動が続いており、発足当時の技術向上に対する気風と伝統は脈々と引き継がれています。

研究会のすがた

JAなめがたいちご部会・潮来市水原いちご出荷組合・個人出荷者からなり、会員73名、栽培面積は約21ヘクタールです。
研究会では夏と秋の年2回、出荷組織の枠を超えて集まり、現地検討会や講習会を開催して会員内の情報交換、技術向上を図っています。主力品種は「とちおとめ」で、平成24年からは「いばらキッス」の生産と出荷が始まりました。

(写真2:現地検討会の様子)

環境、安全・安心に対する取り組み

行方地域では太陽熱土壌消毒が普及しています。また、平成22年には玉造地区で天敵昆虫(カブリダニ類)によるハダニ防除の実証調査が行われました。

化学農薬の散布回数や散布労力の削減だけでなく、果実品質の向上にもつながることがわかりました。取り組みは地域全体に波及し、現在は会員の栽培面積の半分近くまで利用が広がっています。

また、JAなめがたいちご部会はGAPに取り組んでおり、安全・安心への取り組みに非常に積極的な地域です。買ってくれた人が笑顔になるイチゴづくりをしています。

イチゴの葉についた天敵昆虫観察の様子

(写真3:天敵昆虫観察の様子)

新しいことに挑戦し、良ければ導入する気風

研究会員のハウスに設置された「調査圃場」では、品種比較調査や肥料の特性調査等が行われています。近年は「いばらキッス」についても調査が行われています。いばらキッス栽培者はまだ限定的ですが、ここで得られたデータが「いばらキッス」推進に役立てられています。会員は「茨城県いちご経営研究会」をはじめ、全県的な取り組みにも積極的に参加しています。

情報を集め、果敢に挑戦し、検討を重ね、時代に応じて進化してきたことが、この産地が長く続く理由の一つなのかもしれません。

赤く色づいたイチゴ「いばらキッス」

(写真4:いばらキッス栽培の様子)

 

行方普及センター

2013年03月27日