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更新日:2021年5月16日

茨城県沿岸で採取される二枚貝のノロウイルス等汚染状況調査について

背景

 日本では毎年約2万人が食中毒に罹患し、その50%以上はノロウイルス(以下、「NoV」という。)を主とする腸管ウイルスが原因です。また、食中毒の原因の一つに二枚貝(アサリ、牡蠣など)の調理が不十分であることがあげられ、二枚貝のNoV等汚染は食中毒のリスクとなります。

 茨城県の太平洋沖合は暖流と寒流が交錯し、天然の岩牡蠣、はまぐり、ホッキ貝を収穫する漁場が豊富にあります。茨城県における2017年の海面漁業生産量は295,345トンで全国3位の生産量を誇り、はまぐりの漁獲量は茨城県が全国1位です。しかし、茨城県沿岸で収穫される二枚貝の腸管ウイルス(NoV、サポウイルス等)汚染状況についてはデータがありません。

 そこで、茨城県で収穫された天然の二枚貝(岩牡蠣、はまぐり及びホッキ貝)に含まれる腸管ウイルスについて、長期的(2014~2018年)に調査を行いました。

 

結果

 一部の天然の岩牡蠣からNoVが検出されましたが、その検出頻度とウイルス量は少ない結果でした。一方、はまぐり及びホッキ貝から腸管ウイルスは検出されませんでした。

 岩牡蠣から検出されたNoVの遺伝子型はGII.4とGII.6であり、ヒトで流行しているNoVと近縁でした。しかし、岩牡蠣からの検出時期は、感染症や食中毒の流行時期と異なっており、岩牡蠣に含まれるNoVが食中毒の原因となった可能性は低いと考えられました。

 

結論・考察

 今回の調査で、茨城県沿岸の天然の二枚貝(岩牡蠣、はまぐり及びホッキ貝)は比較的安全であることが分かりました。

 これまでの研究で、NoVによる感染症・食中毒の発生は冬にピークを迎えることが知られており、冬に旬を迎える養殖の牡蠣からNoVが検出されたとの報告が多数あります。本研究では市販品を検体とし、岩牡蠣の旬である夏に検体を採取しました。また、一般的に養殖の牡蠣は波の穏やかな場所で養殖されているのに対し、岩牡蠣は荒波や岩場の多い沖合に自然発生し、はまぐりとホッキ貝は沖合の砂場に生息しています。検体の採取時期と生息状況が養殖の牡蠣と異なったため、これまでの研究と異なる結果になったことが考えられます。

 二枚貝の腸管ウイルス汚染は、その収穫時期や生息環境、同時期におけるヒトの胃腸炎の流行状況に左右される可能性があります。二枚貝による食中毒を防ぐため、本研究のような継続的な調査が必要であると考えています。

 

本研究について

 詳細はこちらの論文(外部サイトへリンク)をご覧ください。

 A longitudinal study on enteric virus contamination in bivalves along the coast of Ibaraki Prefecture, Japan(茨城県沿岸の二枚貝における腸管ウイルス汚染に関する長期的研究)

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