優良な水稲・麦・ダイズ種子の生産(2020年10月)

城里町
JA水戸かつら採種部会


城里町(旧桂村の地域)で活動するJA水戸かつら採種部会は6支部53名の部会員からなり,県内農家が栽培に用いる水稲4品種,麦3品種,ダイズ2品種の種子生産を行い,茨城県の農業を支えています。
今回は,皆さんが日頃目にする機会の少ない,種子生産の現場をご紹介します。


県基幹品種の種子を生産

当部会では従来から水稲,麦,ダイズの種子生産を行っています。
現在は水稲「あきたこまち」「ふくまる」(今年度からは「ふくまるSL」(「ひたちIL3号」),「コシヒカリ」「ひたち錦」,大麦「カシマムギ」「カシマゴール」,小麦「さとのそら」,ダイズ「里のほほえみ」「納豆小粒」といった茨城県で主に生産される重要な品種について,公益社団法人茨城県農林振興公社で生産された原種種子をもとに,一般農家で使用される種子の生産を行っています。
当部会の採種圃場の面積の合計は水稲で66.8㏊,麦で38.2㏊,ダイズで31㏊にも及び,全品種合計で水稲22.4t,麦7.7t,ダイズ2.3tの種子が生産されています(数字は令和元年産)。

写真1:検査の様子

 

 

 

 

(写真1:生産物も厳正に審査されます。)

 

種子生産には細心の注意を

種子生産の場合,移植または播種後,通常の一般栽培管理に加えて,種子の収穫の時まで繰り返し圃場に入り,異株(栽培している品種と特性・形状(草丈,のげの長さや色,穂の出る時期が違うなど)が異なる株)や雑草,病害の有無を確認し,見つけたときには取り除くことにより,混入物のない良質な種子の確保に努めています。
特に,種子を通じて伝染する病害については,採種種子が汚染されることのないよう,細心の注意を払って観察しています。

写真2:採種圃場(小麦)の圃場審査のようす。

 

(写真2:採種圃場(小麦)の圃場審査のようす。)
圃場には1筆ごとに必ず圃場番号,圃場面積,品種名,生産者名等を記した標札(手前)を設置しています。
奥に見えるのは審査員です。


他より1本だけ長く育っている麦の穂が混ざっている。

 


(写真3:異株(背が高い)がでてくることも・・・)

 

 

 

 

優良種子を農家のもとへ


これらの管理や,2回の圃場審査(水稲,麦:出穂期と糊熟期,ダイズ:開花期と成熟期)をクリアして得られた種子は,下見審査,発芽試験,生産物審査を経て,農協を通じて県内各地の生産農家に届くことになります。





 

 

 

 

 

(写真4左:発芽試験のようす。写真5右:講習会で種子生産の重要性を確認します。)

当部会では,毎年部会員を対象とした講習会を開催して栽培管理上の注意点を学ぶことにより,部会員の種子生産技術の維持・向上や部会内の共通認識を深めていくことに努めています。

当部会の小幡利克部会長は「今後も茨城県農業の発展のため,部会員一丸となって優良な種子を生産していきたい」と話していました。

 

 

写真5右:講習会で種子生産の重要性を確認します。

 

 

 

 


                                              (写真6:種子としてのダイズ)

 

今後も県内の作物生産の縁の下の力持ちとして活躍し,茨城県の農業に寄与していくことが期待されます。

 

県央農林 笠間普及センター



2020年10月08日