県内を代表する促成なす産地の新たな取組(2021年10月)

                                  稲敷市
JA稲敷なす部会


平成7年から、水田の転作作物としてのナス栽培が始まりました。
水田という土壌水分が多いところで栽培されるため、みずみずしく柔らかいナスが生産され、
「かわちなす」として茨城県を含む首都圏に出荷されています。
部会員は7名で、収穫期間は9月~翌年の7月までと長期に渡りますが、良品質なナスを提供するため、毎月部会員全員による目揃いを行い、品質を統一しています。

(写真1:みずみずしく、柔らかい「かわちなす」)

 

 


人にも環境にも優しい天敵の利用


JA稲敷なす部会の定植時期は8月、収穫が終了するのは翌年7月のため、栽培期間が11か月間と長期間です。
そのため、農薬散布の回数が多く、身体への負担が大きくなっていました。
また、農薬散布の回数が多くなるほど農薬の効果の低減も早く、農薬だけでアザミウマやコナジラミ等の害虫を抑えることが困難となっています。

そこで、数年前から天敵の導入が始まり、アザミウマ類とコナジラミ類防除を目的としたリモニカ放飼、ダニ類防除を目的としたチリカブリダニのスポット放飼が定着してきています。
近年、アザミウマ類とコナジラミ類防除を目的として、リモニカとスワルスキーがセットとなったものが販売されました。
春以降のコナジラミ類増加を抑制する効果が期待できるのではないかと、新たな天敵放飼体系の検討を行っています。

収量品質向上のため、スマート農業技術を導入

 JA稲敷なす部会において、昨年度から1名の生産者が新たに炭酸ガス発生装置とハウス内環境測定装置を導入しました。

炭酸ガス発生装置の導入

JA稲敷なす部会では、以前から炭酸ガス施用に対する関心があり、灯油暖房機による炭酸ガス施用を行っている生産者もいました。

一方で、灯油暖房機ではハウス内炭酸ガス濃度が外気濃度程度までしか維持できない等の課題もあったため、専用の炭酸ガス発生装置を導入し、ハウス内の炭酸ガス濃度が外気濃度以上になるように施用し、収量品質への効果を検討しました。

(写真2:炭酸ガス発生装置)

 

 

 

 

その結果、炭酸ガスを施用したハウスでは、施用しないハウスに比べて、収量が二割程度向上しました。
しかし、炭酸ガスを施用することで、肥料や水の不足による樹勢の低下、また果皮が柔らかくなることによる焼け果の発生等の課題も出てきました。
炭酸ガス施用装置導入により収量品質が最大限向上するよう、施肥や潅水方法、また品種等も含めて今後も検討を行っていきます。

(写真3:炭酸ガス発生装置と環境測定装置に関する現地検討会のようす)

 

 

 

 

ハウス内環境測定装置の導入

ハウス内環境測定装置を導入した生産者からは、今まで行ってきた管理の一部は作物の生育に合っていなかったことが判明したという意見が出されました。

例えば潅水について、ハウスにより土質が異なることは把握していましたが、土壌の水分状態の違いは、測定装置を導入して初めて認識したとのことです。

今までは経験による勘に頼っていた管理が、データに基づく管理になるという変化が起こっています。

(写真4:ハウス内環境測定装置)

 

 

今まで他産地と情報交換を積極的に行い、栽培技術や品質向上のために研修を行ってきました。
今後、新たな技術にチャレンジしていく促成ナス産地のさらなる発展が期待されます。

 

県南農林 稲敷普及センター 


2021年10月01日