農商工等連携事業で新たなブランド梅が誕生(2021年12月)

                                かすみがうら市
JA水郷つくば千代田梅部会

かすみがうら市はナシ、クリ、ブドウ、ウメ、カキなど果樹類の栽培が盛んな地域です。
現在、JA水郷つくば千代田梅部会は部会員数14名・栽培面積約5.3㏊で、市場や県内加工業者に出荷しています。
品種構成は「白加賀」「梅郷」「石川一号」「玉英」が中心で、近年は農研機構が育成した品種「露茜」の生産に取り組んでいます。

経営補完品目として導入

約30年前、かすみがうら市千代田地区における農業振興の一環として、JA理事や旧千代田村議会議員による熱心な先進地視察等が行われた結果、
ウメ栽培に注目が集まりました。
当時、先進地では販売単価300円/㎏、基準収量1000㎏/10aという実績があり、千代田地区でも農業経営の補完品目としての導入が始まりました。
本格的な出荷開始を迎える頃に生産者の組織化が図られ、平成2年に部会が発足し、加工原料として青梅(未熟果実)を地方市場に出荷してきました。


 

 

 

 

 

 

(写真1:選果のようす。一つ一つ目で確認し、等級別に分けられます。)

市の生産推進で導入された「露茜」

2009年、農研機構がウメとニホンスモモを種間交雑して育成した「露茜」が品種登録されました。
同品種は果皮、果肉、果汁が鮮やかな紅色に色づき、ウメの新たな需要喚起につながると期待されています。

かすみがうら市では農政の一環として、市内のウメ生産者を中心に同品種の生産推進を行い、
部会でも『今までにないウメ品種』として苗木導入を始めました。
苗木が育ち、「露茜」の出荷が見込めそうになった頃、部会では販売先の確保に苦慮していました。
そのような中、大洗町のウメ加工業者である株式会社吉田屋と出会ったのです。


加工業者との連携、そして「露茜」の安定生産に向けて

株式会社吉田屋は、県産梅のブランド商品開発に取り組むうえで、連携産地を探していました。
同社は千代田梅部会で栽培されてきた「加賀地蔵」と「石川一号」の梅干し品質の良さ、新たな加工品開発が期待できる「露茜」の紅色の果汁に着目し、
連携に向けて部会とコミュニケーションを重ねました。

部会は品種別出荷や熟梅での収穫という新たな取り組みを始めることとなり、また株式会社吉田屋の農商工等連携事業計画が認定され、
2013年に県産梅の新ブランド「常陸乃梅」が誕生しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真2:株式会社吉田屋の「常陸乃梅」シリーズ商品。)

 

部会では現在、「露茜」の安定生産に向けて栽培方法の検討を行っています。
同品種は果実の大きさが「南高」より大きく、花束状短果枝の着生によって結実良好年はたわわに実ります。
一方で樹勢が弱いため、着果負担によって樹勢がさらに低下しやすく、安定生産が困難な状態が続いています。

今後は、既存品種の成木への高接ぎを試しながら生産量増を目指していきます。

 

 

 

県南農林 経営・普及部門


2021年12月06日