地域全体のトマト安定生産を目指して (2022年3月)

                            鉾田市
JA茨城旭村トマト部会
JAほこたトマト部会

 

JA茨城旭村トマト部会(部員数218名)と、JAほこたトマト部会(部員数215名)は、茨城県内を代表する組織であり、恵まれた気候風土を生かし、高品質でおいしいトマトを生産しています。

主力のミニトマトの他、中玉、大玉も作付けされています。

また、県青果物銘柄産地にも指定されており、生産者の優れた技術と情熱で栽培されたおいしいトマトは高く評価されています。

(写真1:箱詰めされたトマト)





 

鉾田市を代表する農産物

鉾田地域のトマト栽培は主に、春作といわれる3月を中心に定植される作型と、6月中旬頃から定植を開始する抑制作の二つの作型で行われています。
春メロン等と組み合わせて無加温の単棟パイプハウスで栽培されることが多く、施設園芸経営体の重要な収益品目として取り入れられています。

 

(写真2:栽培のようす)

 

 

近年の課題と良品安定生産のための取り組み

鉾田地域のトマト栽培では、アザミウマ類やコナジラミ類等の病害虫と夏季の高温による生育不良等が課題となっています。
特に近年では、タバココナジラミが媒介する黄化葉巻病による減収への対策が求められており、園芸研究所と民間企業が共同で開発した簡易検出キットを用いた罹病株の早期発見・抜き取りや農薬のローテーション散布等を行ってきました。

(写真3:黄化葉巻病罹病株。葉が黄化し縮小します。)

 

 

 

黄化葉巻簡易検出キット、30分程度で判別が可能です。   

 

 

(写真4:黄化葉巻簡易検出キット
     30分程度で判別が可能です。
     陰性の場合はラインが1本、陽性の場合はラインが2本現れます。)










また、各JAの部会内には研究会や研究部が組織されており、新品種や資材、栽培技術等の研究に熱心に取り組んでいます。
研究成果は毎年、生産者大会で部会員に報告され、有効な新技術は積極的に導入されており、黄化葉巻病対策では耐病性品種の試作・検討により、本年度から、耐病性品種が作付けされるようになりました。
その他、良品安定生産のため、栽培講習会および目揃会の開催やJA、メーカー、普及センター等による圃場巡回等も行っています

(写真5:圃場巡回のようす)






 

産地のさらなる発展に向けて

今年度から本格的に栽培が開始された黄化葉巻耐病性品種も一長一短があるため、さらに地域に適した品種を明らかにするために、今後も試作試験を行っていきます。
また、鉾田地域全体でより効果的に病害虫の発生を抑制し、安定生産を行うために、普及センター、JA茨城旭村、JAほこたが一堂に会して、黄化葉巻病の多発地域の情報や各JAの試作品種の情報などを共有する情報交換会を開催しています。
これからも、高品質で消費者に支持されるトマト生産のため、産地のチャレンジは続きます。

(写真6:意見交換会のようす)

 

 

鹿行農林 経営・普及部門


2022年03月07日