カンショを基幹とした複合経営体の育成(2022年7月)

                     阿見町
阿見町かんしょ生産者

写真1:栽培管理研修会(定植作業実習)のようす

 

阿見町は近年、高速道路やアウトレットのほか、新興住宅の開発が目覚ましいスピードで進んでいます。
その反面、農家の高齢化、担い手の減少など、耕作放棄地が県内でも3番目に多い地域となっています。
これを打開しようと町では、耕作放棄地解消作物としてそば、加工バレイショの導入を推進しています。

令和元年からは、かんしょトップランナー事業を契機にカンショの作付け推進が図られ、阿見町全体の作付面積は令和元年度780a~3年度には2165aと約3倍近く拡大しました。


(写真1:栽培管理研修会(定植作業実習)のようす)

 

 


写真2:農業用ドローンを活用した省力機械現地研修会のようす

積極的な現地研修会、意見交換会の開催

普及センターでは、阿見町と連携し、カンショ作付け拡大に必要な栽培技術の習得支援として、生産者を対象に、令和2年~3年にかけて、カンショ栽培管理研修会や農業用ドローン等省力技術現地研修会などを開催してきました。

また、行方普及センターやJAなめがたしおさい甘藷部会連絡会の髙木連絡会長に協力いただき先進地研修を行うなど、積極的に先端技術の情報収集活動を進めてきました。

また、町外からの担い手である大規模農業法人との現地研修会兼意見交換会により交流を深め、お互いの信頼関係を築く機会を作ってきました。
結果的に、地元担い手の収量や品質、そして販売額も向上したため、ほとんどの経営体が作付け拡大を希望しており、さらに作付け拡大が見込まれています。

(写真2:農業用ドローンを活用した省力機械現地研修会のようす)


農地貸与台帳を活用し農地情報の意見交換会を開催

カンショ作付け拡大のポイントになるのが、条件の良い農地の確保です。
これについて、阿見町農業振興課や農業委員会の協力を得て、地元担い手間で、農地集約・規模拡大に関する意見交換会を行いました。

農業委員会では、農地利用実態に関する情報や、貸付希望農地の圃場写真、地図等を作成しています。
そのため、借りたい圃場の状況が写真で容易に確認できるようになっており、早速貸借を希望する声がでるなど、拡大への意欲向上に繋がりました。


(写真3:農地集約・規模拡大に係る意見交換会のようす)



 

単価向上を目指し、産地化も視野に入れて

現在の経営体はまだ規模も小さく、キュアリング施設や保管庫もなく、コンテナ出荷のため、大きな単価向上が見込めない状況です。
このため、市場出荷ができる体制づくりや組織化のほか、焼きいもパウダーなどの加工品開発に取り組み、収益向上に向けた支援を進めていきたいと考えています。


 


県南農林事務所稲敷地域農業改良普及センター


2022年06月27日